連日アップされている楽しい楽しい、yununo様と一葉梨紗様の愛溢れる捧げ合い(応酬)シリーズに、何故かろーりんぐ中であります。
蓮キョ愛捧げあい(応酬)シリーズ企画目次ページはこちら!
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有限実践組-skipbeat-・一葉梨紗様企画目次
【完】蓮キョ愛シリーズ目次1:スタートから2014年9月までに完結したコラボ連載シリーズ一覧と、読切一覧の目次はこちらです。
【完】蓮キョ愛シリーズ目次2 :2014年10月以降完結したコラボ連載シリーズの一覧目次はこちらです。
蓮キョ愛シリーズ<連載中>目次3:現在、コラボ連載中のシリーズ一覧目次はこちらです。
yununoのブログ・yununo様企画目次
企画目次1:応酬コラボ連載中の目次
企画目次2:応酬コラボ完結編の目次
企画目次3:読み切り編の目次
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宝物シリーズ
宝物は誰のモノ?
1 蓮side (セ作)
【噂のCMポスターはこちら】(ロックロック様)
2 光side (リ作)
【番外編】光side (ゆみーのん様)
3 尚side (セ作)
4 貴島side 前編 後編 (セ作)
5 レイノside (ユ作)
6 マリアside (リ作)
7 緒方side (ユ作)
8 社side (リ作)
9 奏江side 前編 後編 (リ作)
10 対決編 前編 後編 (セ作)
11 貴島side (リ作)
12 社side (リ作)
13 飛鷹side (リ作)
14 レイノside (リ作)10/4
15 マリアside (リ作)10/6
16 ルトside (リ作)10/9
17 キョーコside・完結 (リ作)10/12
(その他の作品は企画目次からどうぞ!)
「宝物は誰のモノ?9 side奏江 後編」の続きです。(^-^)/
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
蓮キョ愛捧げあい(応酬)宝物シリーズ
■宝物は誰のモノ?10 対決編 前編~■
「 え?インタビューをあの現場でですか?」
「俺的には、役者が揃っている方が宣伝にもなるだろ~と思ったんすけど、ダメっすかね?」
まったくそうは見えないとはいえど、相手はそこそこ有名な実力派監督である。←
この弱そうな外見と物腰を前にすると、つい命令口調でしゃべってしまいそうになるが、それが厳禁であること位は尚も理解している。
だから面倒臭くはあったが、常日頃はめったに浮かべない愛想笑いを奮発し、自分の希望があのドラマを思うが故であることを印象付けようとこれまた柄にもないセールストークを繰り広げた。
目的遂行の邪魔になる者がいない監督の事務所に押し掛けてまで。
「いえいえ、大丈夫ですよ。曲だけでなく、宣伝まで考えていただけて嬉しいです!出演者の皆さんも喜ばれると思いますし!不破さんに良いオープニング曲を書いていただけましたし、ドラマの撮影も頑張りますね!」
自分より随分年上な筈の男性監督の無邪気すぎる笑顔に若干引きながらも、要望がすんなり通ったことに満足し、彼は次の仕事へと向かった。
そして迎えたインタビュー当日。
某音楽番組のクルーが緒方監督が担当するドラマの撮影現場を訪れた。
まだドラマ自体の放送は始まっていないが、不破尚が担当したドラマのオープニング曲は一足早く彼等の音楽番組でお披露目されることが決まっている。
その際に流されるインタビューを、ドラマ撮影現場にて撮ることになったのだ。
オープニング曲のヒットはドラマのヒットとほぼイコールであり、番宣は不破側にもドラマのスタッフや役者達にとっても大事なものである。
なので、監督だけでなく、主要キャストもそのインタビューに同席することとなった。
基本的には音楽番組に出演する不破尚がメインであるので、その他のものは同席はしているが、話を振られたときだけマイクが回って来て応じるというカタチである。
不破尚の横に座っている監督以外の同席者はカメラのフレームからも大きく外れており、ピンマイクすらつけていなかったので、割とリラックスした状態で小声の雑談をしながらインタビューを見守っていた。
「さて、今回不破さんは初めてドラマのオープニング曲を書き下ろされたという事ですが…難しかったですか?今回のインタビューを受けるにあたり、この現場を指定されたそうですけど、ドラマに出演されているわけじゃないんですよね?初めて訪れたこの現場の雰囲気は如何ですか?」
宣伝の為の特番ではないので、放送される時間は極僅かである。インタビュアーは簡単な挨拶だけ済ませると、前振りもなくいきなり質問を投げかけた。
「そうですね。俺自身は役者じゃないし、自分のプロモの出演経験しかありませんので、こういう現場の雰囲気とかは知らなかったんです。でも、やるからには全力を出し切りたいので、実は監督にお願いして曲が仕上がるまでの間、この撮影現場にお邪魔していたんですよ」
「え?仕上がるまで?通われたんですか?」
「そうですね、結構な回数を通いましたよ」
大げさに驚いてみせるインタビュアーに向かって、誠実そうに頷いてみせる不破尚の姿は、彼がこれまで通してきた “クールでぶっきらぼう” なイメージからすると珍しいものではあったが、それだけこの曲に力を入れてるのだろうと、周囲のスタッフは不自然に思うことなく見守った。
「へぇ、1回雰囲気を見にくるとかは聞きますけど、何度もというのは珍しいですね。曲をイメージするにあたり、スタジオに籠って書くのと、実際に現場に通ってその空気を味わってから書くと言うのでは違いがありましたか?」
「違いましたね。ここに気心知れた奴がいるってのもありますが、直に撮影を見るのは俺自身のいい勉強にもなりますしね。我ながら良い曲が書けたと思います」
「へぇ、それは聞くのが楽しみになりますね!!そういえば、このドラマは兄弟愛をテーマにしているそうですが、不破さんって御兄弟はいらっしゃるんですか?」
先程何気に差し込んだフレーズはスルーされたが、違う方向で良い質問が返ってきたので、尚は内心ガッツポーズでそれに応えた。
「俺は一人っ子なんですよ。ああ、でも、ほぼ一緒に育った兄弟以上の存在ならいます。このドラマの曲をイメージするにあたっては、そいつの事を考えながら曲を書きました」
この応えに秘かに反応したものが周囲にいたが、インタビュアーはそれには気づかず、嬉々として質問を続けた。
「へぇ!ほぼ一緒に育った兄弟以上の存在がいらっしゃるなら、一人っ子でも兄弟愛のイメージは沸きやすかったでしょうね!それで、兄弟以上…って、男性ですか?女性ですか?」
尚の答えに食いついたインタビュアーの余計な質問に、周囲の温度が少々下がったのだか、インタビューに支障がでるほどのことではない。
そのまま、なにごともなくインタビューは続いた。
「 そこ、つっこみます?…一応、異性です」
「おおー?そうなんですか?もしかして特別な関係とか?」
美味しいネタを前にしてニヤニヤと笑うインタビュアーに苦笑して見せながらも、尚は核心に向かってウキウキと突き進んだ。
「そうですね。何をもって特別とするか…は人によると思いますけど、俺にとってそいつは他の人間とは別格というか、際立って特別な存在なのは確かですね」
ここで尚は、カメラからは現在外れているがこのインタビューには同席している主役の俳優にチラリと視線を送った。
すでに冷気と威圧的な視線の発生元となっている男の表情はかなり険しいが、それが逆に嬉しくてたまらない。
勝利を前ににやけてしまいそうになるのを必死に堪え、尚は特別な相手が特別である所以を吐露していく。それが真実であると信じて。
「俺の事をほぼ100%判っているのはそいつだけだと思っています。逆に反対の事も言えますね。そいつの事を100%判っているのは自分だけだと思っています」
この応えに、それまでは「馬鹿がイメージ戦略の為に大法螺吹いてるだけ」と、必死に何でもない振りをして同席していた女優の京子こと、最上キョーコの内面は大荒れに荒れた。
───確かに特別よね?一緒に育っただけの他人なのに、中学を卒業したばかりの幼なじみを働かして、生活の面倒も食事の世話も全部みさせてたんですものね!!ああ!自分のやりたいことをすべて我慢してアンタに捧げた屈辱の日々…思い出すだけで腑が煮えくり返るわ!!ムキーーーっ!
いや、駄目駄目!
今は耐えるのよ、キョーコ!女優でしょ!大事な現場でしょ!監督にも、敦賀さんにも、モー子さんにも迷惑はかけらない!
でもでもでも!
今自分が何を口走ってるのかわかってないバカショーはあとでコ◯ス!!←シメるの意
絶対にコ◯ス!!
笑顔ながら少々物騒なオーラを漏らしだしていたキョーコだったが、隣に座っていた先輩俳優の蓮が身体を寄せて耳元に内緒話を囁いたことで、その危険なオーラは直ぐ様引っ込むこととなった。
恋人同士のヒソヒソ話。
怒りがおさまった京子と敦賀蓮の見た目にはこうだ。
「最上さん、そんな怖いオーラ出さないの」
「す、スミマセン」
「俺的にも彼の身勝手な発言は到底容認できないけど、よく考えたらいい機会かもしれないよ?今が以前軽井沢で言ってた“不破を突き落とすチャンス”と考えたら、腹が立つどころか楽しくなってきたりしない?」
「!!た、確かに!!」
「でしょ?彼の勝手な予定を見事に打ち壊そうよ。俺も手伝うし、きっとここに居る人達も勘がいいから、上手く合わせてくれるよ」←黒い
「そうですね!私頑張ります!ふふふ、ショタローに吠え面かかしてやります!」←黒い
「うん、頑張って!俺も楽しみにしてるから。もし上手く出来たら今度ご褒美にとびきり美味しいハンバーグを御馳走するからね?」←さり気なくデートの約束確保
「とびきりなんですか?それは楽しみですぅ!じゃあ私、あいつをケチョンケチョンにして折り畳んでみせますね!」
実際に交わされていた会話は、恋人同士のものと言うには黒さが際立っていたのだけれど、そこまでは尚にもわかる筈はない。
彼は自分の目前でいちゃベタしている二人が許せず、内心ぶち切れた。←表情はすでに危険
───お前等ぁ、俺様のインタビュー中に何してやがんだ、こぉらぁぁぁ!
「えー!?初耳です!まさか、不破君にとって、とても大切な人とか?」
心の叫びのまま尚の形相は凄いことになっていたが、美味しいネタを前にしたインタビュアーはそれを「マズいことをバラしてしまった」が故だと理解し、押せ押せと質問をかぶしてくる。
「ええ…まあ…」
それに必死に応えた尚の頑張りは、このあとの叫び声で無になることとなった。
「いやぁぁぁぁーーーーーーーー!!っ!!あ、大声あげてすみません~!!」
照れまくった真っ赤な顔で可愛らしい雄叫びをあげてしまったキョーコは、穴があったら入りたい!と涙目になりながらインタビューの邪魔をしてしまった謝罪をした。
「叫んだのは京子のせいじゃなく、俺のせいです。今映ってなかったから、思い出した懐かしい話題をついつい振っちゃったんです。すみません」
京子の頭をよしよしと撫でるだけに留まらず、その頭を胸に抱き込んで謝罪する男の顔はまさに似非紳士。
勿論キョーコの叫びは演技であり、彼女の計画にはない少々過剰なスキンシップを何故か加えた蓮のフォローも演技であったのだが、これにより共演者による悪気のない暴露…結果的に掩護射撃となるその発言を得ることに成功したのだった。
宝物は誰のモノ?10 対決編 後編に続く。
リーちゃんから追加でもらった資料分も混ぜて大幅加筆修正しました!
ほぼ共作です!っていうか、リーちゃん指導の下、頑張りました!( • ̀ω•́ )✧
蓮キョ愛捧げあい(応酬)シリーズ頑張れ~な応援は拍手かコメ欄に!(●´ω`●)ゞ
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4 貴島side 前編 後編 (セ作)
5 レイノside (ユ作)
6 マリアside (リ作)
7 緒方side (ユ作)
8 社side (リ作)
9 奏江side 前編 後編 (リ作)
10 対決編 前編 後編 (セ作)
11 貴島side (リ作)
12 社side (リ作)
13 飛鷹side (リ作)
14 レイノside (リ作)10/4
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16 ルトside (リ作)10/9
17 キョーコside・完結 (リ作)10/12
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「 え?インタビューをあの現場でですか?」
「俺的には、役者が揃っている方が宣伝にもなるだろ~と思ったんすけど、ダメっすかね?」
まったくそうは見えないとはいえど、相手はそこそこ有名な実力派監督である。←
この弱そうな外見と物腰を前にすると、つい命令口調でしゃべってしまいそうになるが、それが厳禁であること位は尚も理解している。
だから面倒臭くはあったが、常日頃はめったに浮かべない愛想笑いを奮発し、自分の希望があのドラマを思うが故であることを印象付けようとこれまた柄にもないセールストークを繰り広げた。
目的遂行の邪魔になる者がいない監督の事務所に押し掛けてまで。
「いえいえ、大丈夫ですよ。曲だけでなく、宣伝まで考えていただけて嬉しいです!出演者の皆さんも喜ばれると思いますし!不破さんに良いオープニング曲を書いていただけましたし、ドラマの撮影も頑張りますね!」
自分より随分年上な筈の男性監督の無邪気すぎる笑顔に若干引きながらも、要望がすんなり通ったことに満足し、彼は次の仕事へと向かった。
そして迎えたインタビュー当日。
某音楽番組のクルーが緒方監督が担当するドラマの撮影現場を訪れた。
まだドラマ自体の放送は始まっていないが、不破尚が担当したドラマのオープニング曲は一足早く彼等の音楽番組でお披露目されることが決まっている。
その際に流されるインタビューを、ドラマ撮影現場にて撮ることになったのだ。
オープニング曲のヒットはドラマのヒットとほぼイコールであり、番宣は不破側にもドラマのスタッフや役者達にとっても大事なものである。
なので、監督だけでなく、主要キャストもそのインタビューに同席することとなった。
基本的には音楽番組に出演する不破尚がメインであるので、その他のものは同席はしているが、話を振られたときだけマイクが回って来て応じるというカタチである。
不破尚の横に座っている監督以外の同席者はカメラのフレームからも大きく外れており、ピンマイクすらつけていなかったので、割とリラックスした状態で小声の雑談をしながらインタビューを見守っていた。
「さて、今回不破さんは初めてドラマのオープニング曲を書き下ろされたという事ですが…難しかったですか?今回のインタビューを受けるにあたり、この現場を指定されたそうですけど、ドラマに出演されているわけじゃないんですよね?初めて訪れたこの現場の雰囲気は如何ですか?」
宣伝の為の特番ではないので、放送される時間は極僅かである。インタビュアーは簡単な挨拶だけ済ませると、前振りもなくいきなり質問を投げかけた。
「そうですね。俺自身は役者じゃないし、自分のプロモの出演経験しかありませんので、こういう現場の雰囲気とかは知らなかったんです。でも、やるからには全力を出し切りたいので、実は監督にお願いして曲が仕上がるまでの間、この撮影現場にお邪魔していたんですよ」
「え?仕上がるまで?通われたんですか?」
「そうですね、結構な回数を通いましたよ」
大げさに驚いてみせるインタビュアーに向かって、誠実そうに頷いてみせる不破尚の姿は、彼がこれまで通してきた “クールでぶっきらぼう” なイメージからすると珍しいものではあったが、それだけこの曲に力を入れてるのだろうと、周囲のスタッフは不自然に思うことなく見守った。
「へぇ、1回雰囲気を見にくるとかは聞きますけど、何度もというのは珍しいですね。曲をイメージするにあたり、スタジオに籠って書くのと、実際に現場に通ってその空気を味わってから書くと言うのでは違いがありましたか?」
「違いましたね。ここに気心知れた奴がいるってのもありますが、直に撮影を見るのは俺自身のいい勉強にもなりますしね。我ながら良い曲が書けたと思います」
「へぇ、それは聞くのが楽しみになりますね!!そういえば、このドラマは兄弟愛をテーマにしているそうですが、不破さんって御兄弟はいらっしゃるんですか?」
先程何気に差し込んだフレーズはスルーされたが、違う方向で良い質問が返ってきたので、尚は内心ガッツポーズでそれに応えた。
「俺は一人っ子なんですよ。ああ、でも、ほぼ一緒に育った兄弟以上の存在ならいます。このドラマの曲をイメージするにあたっては、そいつの事を考えながら曲を書きました」
この応えに秘かに反応したものが周囲にいたが、インタビュアーはそれには気づかず、嬉々として質問を続けた。
「へぇ!ほぼ一緒に育った兄弟以上の存在がいらっしゃるなら、一人っ子でも兄弟愛のイメージは沸きやすかったでしょうね!それで、兄弟以上…って、男性ですか?女性ですか?」
尚の答えに食いついたインタビュアーの余計な質問に、周囲の温度が少々下がったのだか、インタビューに支障がでるほどのことではない。
そのまま、なにごともなくインタビューは続いた。
「 そこ、つっこみます?…一応、異性です」
「おおー?そうなんですか?もしかして特別な関係とか?」
美味しいネタを前にしてニヤニヤと笑うインタビュアーに苦笑して見せながらも、尚は核心に向かってウキウキと突き進んだ。
「そうですね。何をもって特別とするか…は人によると思いますけど、俺にとってそいつは他の人間とは別格というか、際立って特別な存在なのは確かですね」
ここで尚は、カメラからは現在外れているがこのインタビューには同席している主役の俳優にチラリと視線を送った。
すでに冷気と威圧的な視線の発生元となっている男の表情はかなり険しいが、それが逆に嬉しくてたまらない。
勝利を前ににやけてしまいそうになるのを必死に堪え、尚は特別な相手が特別である所以を吐露していく。それが真実であると信じて。
「俺の事をほぼ100%判っているのはそいつだけだと思っています。逆に反対の事も言えますね。そいつの事を100%判っているのは自分だけだと思っています」
この応えに、それまでは「馬鹿がイメージ戦略の為に大法螺吹いてるだけ」と、必死に何でもない振りをして同席していた女優の京子こと、最上キョーコの内面は大荒れに荒れた。
───確かに特別よね?一緒に育っただけの他人なのに、中学を卒業したばかりの幼なじみを働かして、生活の面倒も食事の世話も全部みさせてたんですものね!!ああ!自分のやりたいことをすべて我慢してアンタに捧げた屈辱の日々…思い出すだけで腑が煮えくり返るわ!!ムキーーーっ!
いや、駄目駄目!
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「!!た、確かに!!」
「でしょ?彼の勝手な予定を見事に打ち壊そうよ。俺も手伝うし、きっとここに居る人達も勘がいいから、上手く合わせてくれるよ」←黒い
「そうですね!私頑張ります!ふふふ、ショタローに吠え面かかしてやります!」←黒い
「うん、頑張って!俺も楽しみにしてるから。もし上手く出来たら今度ご褒美にとびきり美味しいハンバーグを御馳走するからね?」←さり気なくデートの約束確保
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彼は自分の目前でいちゃベタしている二人が許せず、内心ぶち切れた。←表情はすでに危険
───お前等ぁ、俺様のインタビュー中に何してやがんだ、こぉらぁぁぁ!
「えー!?初耳です!まさか、不破君にとって、とても大切な人とか?」
心の叫びのまま尚の形相は凄いことになっていたが、美味しいネタを前にしたインタビュアーはそれを「マズいことをバラしてしまった」が故だと理解し、押せ押せと質問をかぶしてくる。
「ええ…まあ…」
それに必死に応えた尚の頑張りは、このあとの叫び声で無になることとなった。
「いやぁぁぁぁーーーーーーーー!!っ!!あ、大声あげてすみません~!!」
照れまくった真っ赤な顔で可愛らしい雄叫びをあげてしまったキョーコは、穴があったら入りたい!と涙目になりながらインタビューの邪魔をしてしまった謝罪をした。
「叫んだのは京子のせいじゃなく、俺のせいです。今映ってなかったから、思い出した懐かしい話題をついつい振っちゃったんです。すみません」
京子の頭をよしよしと撫でるだけに留まらず、その頭を胸に抱き込んで謝罪する男の顔はまさに似非紳士。
勿論キョーコの叫びは演技であり、彼女の計画にはない少々過剰なスキンシップを何故か加えた蓮のフォローも演技であったのだが、これにより共演者による悪気のない暴露…結果的に掩護射撃となるその発言を得ることに成功したのだった。
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