拍手からの移動のパラレルファンタジーです。

あの森を目指して 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 11 / 12 / 13 / 14 / 15 / 16 / 17 / 18(アメンバー限定)or18(アメンバー限定を読めない方はこちら) / 19 / 20 / 21 / 22 / 23 / 24 / 25 / 26 / 27 / 28 / 29 / 30 / 31 / 32 / 33 / 34 / 35 / 36 / 37 / 38 / 39 / 40 / 41 / 42 / 43 / 44 / 45 / 46 / 47 / 48 / 49 / 50 / 51 / 52 / 53 / 54 / 55 / 56 / 57

拍手御礼「あの森を目指して 58」

“獅子の咆哮亭”で大人気な絶品の食事を楽しむ夕食の時間。

キョーコにとって至福の筈のその食事時間は、優雅でも和気藹々でもなく、非常に落ち着かないひとときとなっていた。

言葉がほとんど通じない同席の者達は、最初の挨拶を終えたあと、互いに観察し合い睨み合うだけで、打ち解けようとする気配がまるでなかった。

緊張感漂う空気の中、時折何故か双方から放たれ空中で火花を散らす殺気にも似た気配。

奏江が前の席に座る男に向ける嫌悪感は親友である自分を心配するが故だと理解していたが、男が何を考えここまで不機嫌なのかは全く検討もつかないキョーコである。

何の縁もないうら若き乙女に世話をかけるだけかけ、未だに何のお返しもしていない、しかもよくよく聞いてみればお礼の言葉さえ伝えていない度厚かましい男。

そんな男の存在を、奏江が許容できる筈がなかった。

初対面の、しかも、世話になってる大恩のある筈の人間の親友である自分に向かって “ケンカを売っている” 様にしか見えない男のその態度と、透けて見えるキョーコへの “薄気味悪い執着心” が益々奏江の怒りを大きくしていたのだが、危機感ゼロのお人好し娘は双方の相性がここまで悪いことに只々驚いていた。

───モー子さんみたいな美人さんを前にすれば、少しは嬉しそうにすると思ったんだけど、なんだか機嫌が悪いわねぇ。まあ、モー子さんの方は予想通りだけど…。

内心溜め息を吐きながらも、折角の絶品料理を少しでも美味しく味わわいたいキョーコは、テーブルに漂う不穏な空気に気づかぬ振りをして、給仕の責任者である女将を呼んで「出発の前夜にお弁当を頼めば応じてもらえるのか」「このパンは数日分頼めるか」などという特に急ぎではない質問を笑顔で交わしてみていたのだが、そんな事位ではテーブルの面々は和んだりしなかった。

───こんなことなら、タカトウ(貴島)さんにもう1泊してもらえばヨカッタ!彼ならきっとこの重くて痛い空気をブチ破ってくれたのに!

女性への賛辞を惜しまないタカトウ(貴島)のことだから、親友の美貌をしつこく褒めて、それをうっとうしがる奏江が怒り出すことはあるかもだが、それは今の緊迫した空気よりずっといい筈だとキョーコには思えた。

キョーコが存在を恋しく思っていたタカトウ(貴島)は、彼等が食後のベニ茶を飲んでるときに顔を出した。

「こんばんは。今日はお疲れ様でした。あれ?さっきのお友達もここに泊まることにされたんですね。えーと、お寛ぎのとことを申し訳ないですが、今から金匠にご同行願えますか?」

「ええ、積もる話がゆっくり出来ますし、彼女もこの宿に泊まってみたいと言ってくれましたので。金匠にって、今日のトラブル関連で?護衛契約の変更とかですか?なら今日は友人とゆっくりしたいので、明日にお願いしたいのですけど」

「いえ、護衛は関係ありません。お嬢さん宛の伝言やら何やら金匠から色々話があるらしいんですよ。連れの彼とご友人を宿にお待たせするのは申し訳ないですが」

「…行けばいいわよ!私も一緒に聞きに行くから!」

「え?モー子さんが?でも付き合ってもらうなんて悪いわ…」

「親友の大事な話はちゃんと聞いておきたいの!ね?キョーコ、良いでしょう?」

首をコテンと倒し、可愛いお強請り顔をつくってみせた奏江の願いをキョーコが拒否できる訳がない。それはそれは嬉しそうに、同行を許可した。

「も、モー子さんたらっ!///勿論言いに決まってるじゃない!親友は一心同体ですものねー」

「(あんた私に内緒にしたまま死ぬ気だったくせに!)ねー!一心同体ラブラブなので、一緒に行きます!」

「そ、そうですか?まあ、御依頼主が秘密厳守なので拒否と仰られないのなら、構わないと思いますけど。じゃあ、彼だけ置いていきますか?」

「そうですね。《金匠から話があると呼ばれたので、ちょっと聞きにいってきます。“親友”の彼女は同行してくれるそうなので、あなたは宿でゆっくりしていてください》」←親友を強調

《俺も行く!》

「は?貴方も同行?」

1人宿に残れと言われた男は、即それを拒否し、何故か同行すると言って聞かなかったのであった。


第59話に続く。

さてさて、ここからどうしましょうかねー。
拍手はこちらヾ(*ΦωΦ)ノ ヒャッホゥ
↑ ↑ ↑
クリックで拍手できます。
拍手やコメ欄に、感想コメントをいただくと魔人がやる気を出します。←単純


「あの森を目指して」では、まずダーーッと勢いで書いたものを拍手御礼として出し、一晩おいて頭を冷やしたあと(?)、加筆と修正をした上でアメバ記事で公開し直しています。加筆時に設定が変更になることも多々あります。拍手のみを読んでくださっている方は内容が繋がらない場合があるかもです。もしお時間が許す様でしたら、外に移動後もまた読んでいただけると嬉しいです。m(_ _ )m ←またというところが欲張りですみません。