拍手からの移動です。会話中心な手抜きです。皆様ご察しの通り、コメディです。

 

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『リアルにラブラブしたい』

 

「両思いになった後の、ユウジとユリコの二人きりのシーン可愛かったよね〜!イチャイチャしてるんだけど、バカップルには見えないし!理想のカップルの、理想のラブラブ?あ〜ん、なんて言ったらいいかわからないけど、とにかく良かったわ〜〜!」

 

「あははは!うん!!言いたいことは、わかるっ!すっごいラブラブなのは伝わってくるけど、見苦しくない、ウザくないというか!映画のよう、絵画のようとかじゃないんだけど、絵になるというか!憧れるというか!」

 

「うん、憧れるよね〜〜!日本に住んでる社会人カップルの話だから、リアルに考えたらあんな美形同士のカップルは普通じゃないんだろし、一般人が真似しても勘違いバカップルにしか見えないだろうけどさ。でも、映画の中では芸能人だとか美形だとか感じさせずにちゃんと身近にいるカップルのように見えるんだから、不思議よね〜」

 

「こないだ放送されてた業界パーティの時の蓮と京子は、映画のよう、絵画のようにしか見えない、まさに絵になるカップルって感じだったのにね〜〜!」

 

「まあ、二人とも若手NO.1の実力派って言われてる役者だもん。いつもの蓮と京子と、スクリーンの中の二人は別人で当然なんだよ」

 

「うふふ、でも仲良しだって噂だし、プライベートではユウジとユリコみたいだったりして!」

 

「きゃ〜、それいい!萌える!…でもさ、あの蓮だよ?百戦錬磨でそこらのNo.1ホストの100倍女慣れしてるよ、絶対!ユウジみたいにあんな可愛い照れ顔なんてするわけないよ」

 

「まぁ、そうよね。いつの時代の純情乙女だよっ!って言われてる京子が赤面するのは想像つくけど、ユウジとユリコのように微笑ましいイチャイチャじゃなくて、獲物を前にしたハンターみたいな蓮が京子を…きゃ〜〜、思わず想像しちゃったわ!恥ずかし〜!」

 

「も〜、妄想で一人照れしないでよ〜〜!ってか、私も想像しちゃったじゃない!京子を堪能する気満々なハンター蓮を!楽しいけどやめて〜〜、まだユウジとユリコの世界に浸らせといてよ〜〜!」

 

「ごめ〜ん。(笑)あ、もう3時だ!そろそろ買い物に行こうよ!時間なくなっちゃう!」

 

バタバタとの席を立ち、カフェを後にした20代らしき女性2人組は、横のテーブルに座っていた男女にとびきりのネタを進呈したとも知らずに、足早に駅の方に向かって行った。

 

 

 

 

 

敦賀蓮と京子、初のW主演の映画公開から3週間が経過し、宣伝のための仕事もひと段落した主演の二人は久しぶりの1日オフを満喫していた。

 

その体格からどうしても注目を浴びてしまう蓮は、主演映画上映の場で普段の美形振りを隠さない変装では流石にバレると、野暮ったくゴツイ男に変身し、京子の方は腰まである長い黒髪が目を引く清楚でおとなしそうな女性に化けていた。

 

派手な格好で繁華街を歩くとどうしても絡まれやすくなるので、最近の二人はプライベートで街を歩くときにはこのスタイルが定番になりつつあった。

 

当初はキョーコも野暮ったさ全開な変装にしようと考えていたのだが、「それだと折角街に出ても、おしゃれな服とか可愛い服を買いにくいよね?綺麗だけどおとなしい雰囲気なら、目立ちにくいし、買い物したい店に入っても違和感がなくて良いんじゃないかな?」と、蓮に説得されたのだ。

 

そんな見た目おとなしめな美女と野獣のカップルは、自分達が主演を務める映画を、一般人に混ざって鑑賞し、カフェで休憩中であったのだが…

 

「…ねぇ、最上さん、ちょっと笑いすぎじゃない?」

 

「や、やめてくださいっ! ((⌯˃̶᷄₎₃₍˂̶᷄ ॣ)プッ♪ククク お願い、今話しかけないで!ああ、苦しい!」

 

「どこにそんな笑う要素があった?」

 

「だ、だって!! ((⌯˃̶᷄₎₃₍˂̶᷄ ॣ)プッ♪ククク 百戦錬磨でそこらのNo.1ホストの100倍女慣れって!!全国共通認識だと思いますけど、((⌯˃̶᷄₎₃₍˂̶᷄ ॣ)プッ♪ククク」

 

「…。」

 

「 ((⌯˃̶᷄₎₃₍˂̶᷄ ॣ)プッ♪ククク  その夜の帝王な、つ、敦賀さんの姿が、獲物を前にしたハンターって!!私、人食い人種に食べられちゃう人間に見えるんですね〜!」

 

「人食い人種じゃないけど、美味しそうには見えるよ…」

 

「やめて〜〜、これ以上笑わさないでください〜〜!もう〜〜、自分が丸焼きにされるシーンが浮かんじゃったじゃないですか!食欲中枢が麻痺してる敦賀さんには、人間1人は量が多すぎますし、グルメな敦賀さんには一口食べてそっぽ向かれるのに、無駄に丸焼きにされる私!!間抜けすぎる〜〜!」

 

「男としては最上さんの身体を堪能したいけど、その前にユウジとユリコレベルに健全なもので良いから、ちゃんとラブラブしたいよ…人食い人種扱いじゃなく…それに今日のこれもデートだなんて思ってくれていないんだな…ショボン」

 

「敦賀さん、こんがり焼けた私が不味くて食べられないからってガッカリしないで〜〜!((⌯˃̶᷄₎₃₍˂̶᷄ ॣ)プッ♪ククク」

 

「ガッカリなんかしないよ。焼かなくて良いし…寧ろ焼けてない最上さんが食べたい…食べて良い?」

 

「レアな私〜!ぎゃ〜〜!ワイルドすぎるし、それちょっと怖いデスゥ〜〜!ヒイィィ(゜ロ゜;三;゜ロ゜)ヒイィィ」

 

「いや、違うし!人食いからもう離れようよ!」

 

 

そう、蓮と最上キョーコはまだ付き合ってはいない。

 

故にさっきの女性二人の話を聞いたキョーコの妄想は、ちっともラブラブではなく、蓮の理想はなかなか現実になりそうになかった。

 

「リアルにラブラブしたい」

 

そんな彼の希望が叶うのがいつになるのか。

 

それはまだまだ先かもしれないと、蓮は内心落ち込みながらも、まだ数時間あるデートタイムで少しはイチャイチャしたいと願うのであった。

 

fin

 

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