本日は、2012年に書いた懐かしいお話の番外編をお届けします。

 

未読の方は先にこちらをお読みください。
【極甘地獄へようこそーサンドヘルに埋もれた男達ー】
<プロローグ> / <その1 勇者社の不幸> / <その2 貴島氏の災難 前編> / <その2 貴島氏の災難 後編> / <その2.5 それでも君には戻れない(空中楼閣さんから強奪)前編後編> / <その3 勘違い男の最期・完結>
*魔人のサンドヘル<その3>の前に入れるのにピッタンコなお話ということで、「空中楼閣」翠蓮悠璃さんから強奪頂戴した作品も読んでくださいね。

 

 

【極甘地獄へようこそ番外編】GREEN23様&魔人コラボ

<勇者ヤシロの反撃ーヤッシーヘルの蓋が開くー>

 

 

敦賀蓮は焦っていた。

 

 

苦節うん年。拷問レベルの我慢と、苦労の末に漸く手に入れた愛しい恋人のキョーコ。

 

そんな彼女と、誰にも邪魔されずにイチャイチャイチャイチャ…

 

プライベート空間でも、

仕事場である所属事務所やテレビ局の廊下でも、

 

綺麗で可愛い俺のキョーコと!

 

イチャイチャイチャイチャ…

 

心ゆくまでイチャイチャイチャイチャなイチャラブが出来ていたのに。

 

ずっとずっとイチャイチャしていたいのに。

 

 

 

何故か数日前からそれが叶わなくなった。

 

 

 

 

「おーい!蓮、そこにいるのはわかっているんだ。出てこい!」

 

ほんの数分前、偶然にも撮影スタジオの廊下ですれ違ったキョーコを「これも運命」だと捕まえた。誰にも邪魔をされぬように非常階段に続くドアの向こうに隠れイチャイチャしようとしていたのに。

 

──────もぉ、見つけるが早すぎますよ!

 

 

 

「こら、蓮!いい加減にしろ!そこかしこから、苦情がきているぞ!」

 

事務所のエレベーターホールでキョーコと遭遇してから、まだ立ったの5分しか、キョーコを抱きしめていませんよ!!まだ仕事の時間じゃないでしょう?

それに、苦情なんてこれまで来たことなかったじゃないですか! ←皆さんがサンド・ヘルに埋もれていたおかげです。

 

それに、なんですかっ!そこかしこって!?

誰ですか、俺とキョーコの愛を邪魔する奴は!?

 

──────地獄へ送っても良いですか……?

 

 

 

「蓮〜〜〜〜〜!!」

 

折角キョーコを抱きしめイチャイチャしてるのに、すぐに邪魔される。

それが嫌で、人目につかない場所に移動するようにしたというのに、何処に居ようが見つかってしまう。←これまではサンドヘルのおかげで、誰も邪魔をしなかったので、関係を見せつける意味で、目立つ場所でもイチャイチャしていた蓮さんです。

見つからないようにと、空き部屋に閉じこもり鍵を架けようが、やっぱりすぐに声をかけられてしまう。

 

以前なら、仕事に行かなきゃいけないギリギリの時間まで好きにさせてくれたのに、何故だ?いや、理由なんてどうでも良い。俺もキョーコも仕事はちゃんとしてるし、する気でいる。だから、空き時間に邪魔される覚えはないだ。ここはどうにか彼を…

 

──────ああ、そうだ!!これならっ!

 

 

そこから先の蓮の行動は早かった。

 

 

 

「キョーコ!会いたかったよ!」

 

「敦賀さん、お疲れ様です。私も会いたかったです」

 

「まだ移動まで時間あるんだよね?ゆっくり落ち着ける、いい場所があるんだ。ほらこの部屋!キョーコ、入って?」

 

事務所の廊下で会ったキョーコを、ストッパー対策を施した部屋に連れ込んだ蓮は、家の外では久しぶりとなる濃いイチャラブを堪能しようと愛しい恋人の身体を抱き上げた。

 

 

流石にこの部屋に怒鳴り込まれることはないだろう?

ああ、事務所の総務に掛け合った甲斐があったな。

 

このソファーの座り心地は抜群だし、俺の上に座っているキョーコの抱き心地も最高!戸締りも完璧で安心だし、もう心ゆくまでキョーコを堪能しよう。家も良いけど、外で抱きしめるとキョーコは俺のものになったんだっていう実感が増すんだよな。

 

──────ああ、キョーコ愛しているよ。

 

 

 

 

「あの7階の中会議室、他の会議室みたいに特別な設備もないし、俺が専用で使っても問題ないですよね? ゚+.(◕ฺ ω◕ฺ )゚+.キラキラ」

 

「い、いや、あのっ!」

 

「俺、この会社の売り上げに結構貢献してますよね? ゚+.(◕ฺ ω◕ฺ )゚+.キラキラ」

 

「そ、そうですけど、でもっ!(な、なんか敦賀くん…)」

 

「休憩するのに良いソファーを見つけて総務宛に送っておきました。届いたらあの部屋に入れておいてくださいね? ゚+.(◕ฺ ω◕ฺ )゚+.キラキラ」

 

「は?でも、あのっ!(な、なんか敦賀くん…)」

 

「あそこの鍵、古いタイプですよね。セキュリティーが心配なので、電子キーに付け替えたほうが良いんじゃないですか?ちょど良いのが掲載されていましたよ、このカタログのこのページに…所属芸能人を守るのは事務所の仕事ですし、当然速攻で付け替えてくれますよね?(◕ฺ ω◕ฺ )゚+.キラキラ」

 

「や、でも、それは…無理っ…(な、なんか敦賀くん…)」

 

「……電子キーとソファーの件、お願いできますよね?(▼д▼)」←

 

「ヒィ!!:(´・ω・)ω・`): ガクブル(敦賀くんが怖いよ〜〜、誰か助けてぇえええええええ!!)」

 

それ、お願いじゃなくて、脅しですから!!

そんな総務部全員からのツッコミを、何処吹く風と聞き流した蓮の希望は即座に叶ったという。

 

 

 

 

 

「キョーコ、このソファー良いだろう?部屋の鍵も最新の電子キーなんだ。忙しい俺達が休憩出来るように、事務所が用意してくれたんだ」

 

「ん…そ、そうなんですか。流石、事務所の看板俳優な大スターですねっっ。やん、つ、敦賀さん!」

 

「チュッ。キョーコだって事務所の稼ぎ頭でしょ。チュッ。ほら、30分あるし…ちゃんと補給させて…チュッ。」

 

事務所の会議室にはゴージャスすぎるように見える、その大きなソファーは寝心地も抜群。

 

座るだけでなく、寝ることを考えてソファーをセレクトした男は、そこに恋人を押し倒した。

 

「あんっ!ここ、じ、事務所ですっ!やん!だ、誰か入って来たら…」

 

「チュッ。大丈夫だよ、結構高級な電子キーだし?チュッ。」

 

「?やん、ボタン外しちゃダメです!つ、敦賀さん!」

 

「彼だって、高くて大事な備品を壊して侵入なんてしてこないよ。二人きりなんだから、ちゃんと名前で呼んで…ほら、キョーコ。チュッ!」

 

「?れ、蓮…やだ、だめ…」

 

「キョーコ、可愛いっ、チュッ。ねぇ、脱がして良い?」

 

 

さてこれからと云う時・…蓮は浮かれ、忘れていた。

 

あの彼の能力が発動するのは10秒後だという事を…。

 

 

 

総務に泣きつかれた彼、敦賀蓮の敏腕マネージャー社は、ドアの前につくと躊躇せずにマスターキーを廻した。

 

 

3、2、1、

 

ジィ---カシャーン。

 

 

 

──────電子キーにして会議室に篭れば、クラッシャーマネに邪魔されず、思う存分に××出来るよな♪

 

そんな蓮の計画は数分で潰された。

 

 

3秒もあれば、ドアの鍵は開く。

 

クラッシャーマネであっても、事務所の高級な備品を壊す心配などなく、普通に解錠が可能なのだ。

 

 

 

 

10:遭遇してしまったら、即座にその場を立ち去るべし!さもなくば、恐ろしい地獄に飲まれることとなろう

それに遭遇し、視線が固まったらもうおしまい。固まってしまった目からは後悔の涙、口からは砂を吐き続ける大苦行がその者を襲う。そして、その辛さに耐えぬいたあとにも、恐ろしい後遺症が訪れることもあるらしい。

 

業界では今や知らぬ者はいないという、恐ろしいサンドヘル。

 

 

蓮と京子のバカップルが生み出すサンドヘル、通称「極甘地獄」にもっとも耐えた、耐え続けている勇者として、業界での尊敬と同情を集めていた社は、恐ろしい後遺症に悩まされながらも、それを克服し、進化していた。

 

いつの間にかサンドヘルへの耐性が出来た敏腕マネージャーは、無敵の勇者イチャラブストッパーへと進化したのだ。

 

もともと彼は、担当俳優の思考と行動パターンを世界一把握しているとも言える敏腕マネージャーである。そんな彼が無敵の勇者イチャラブストッパーとして動く気になれば、蓮達が何処に居ようが、鍵をかけた部屋に隠れようが、見つけるのは簡単だった。

 

事務所や仕事場である局の廊下をあり得ない生産物と屍で埋める前に、苦情が来まくる前に、芸能界を恐怖の渦に巻き込んだ、諸悪というか、サンドヘルの根源を止める。

 

それが勇者ヤシロ…敏腕マネージャーの使命なのだ。

 

 

11:見つかったらもう諦めろ!さもなくば、恐ろしい地獄に連行されることとなろう。
 

地獄の釜の蓋が今日も開く。

 

蓮の耳には、ヤッシーヘルの蓋が開く音が聞こえた。

 

 

 

「れ~ん?何、無駄な時間と金を使ってる?」

 

電子キーに守られていた筈の天上の愛の巣は、いつの間にやら地獄の一丁目へと引越しを済ませていたらしい。

 

 

部屋の、いや地獄の入り口で、彼のマネージャーはにこやかに微笑み、こう告げた。

 

「暇なら早めに次の現場に向かうぞ。無遅刻キングな蓮くんなら当然の行動だろう?さあ、出発しよう。ああ、俺の仕事場には、もう謎の砂山も屍も、作らせないから…」

 

 

 

 

ヤッシーヘルの蓋は今日も実に軽やかな音で、項垂れる蓮を歓迎していた。

 

 

 

Fin

 

拍手40000hit のキリ番床板を豪快に踏み抜いたGREEN23様による、下記の番外編案に、コラボという形で魔人が加筆させていただきました。GREEN23様有難うございました。

 

番外編案:蓮キョいちゃラブも味わえるし、とーっても愉しいお話でした。ヤッシーは不憫だったけど(^△^)・・・ そんなヤッシーの為に、サンドヘルならぬ○○ヘル小話を・・・【敦賀蓮は焦っていた。ようやく手に入れた恋人のキョーコと、誰にも邪魔されずにイチャイャラブ出来ていたのに ←皆さんがサンド・ヘルに埋もれていたおかげです(笑) 耐性の出来た敏腕マネージャーに、何処に居ようが、鍵を架けようが見つかって「そこかしこから、苦情がきている。」と、愛しいキョーコと引き離される毎日だからだ。そこで蓮くん考えた、電子キーにして会議室に篭れば、クラッシャーマネに邪魔されず、思う存分に××出来る♪早速事務所の総務を脅して、良い感じのソファーがある応接室(!)に電子キーを装備させた蓮くん。ソファーにキョーコを押し倒し、さてこれからと云う時・・・蓮くんは浮かれて忘れてた・・クラッシヤーマネが発動するのは10秒後だという事を・・ 総務に泣きつかれた敏腕マネがマスターキーを廻す・・3・2・1・ジーカシャーー■▲■れ〆~ん?何無駄な時間と金を使ってる?~■▲■ 地獄の釜の蓋が開く。ヤッシーヘルの蓋が開く、此処は地獄の一丁目~~。】

 

拍手はこちら。