※基本的に毎週水曜日前後更新予定。
私は、バスケットを持ちながら浜辺を歩いていた。その前をエリックが歩いていく。
バスケットの中には、お昼ごはんとランプが入ってる。
しばらく歩くと、高い崖とそこにある洞窟が見える。
洞窟は角度的に海からは見えにくくなっていて、私はこんな洞窟があったのを初めて知る。
「これからあの洞窟に入る」
エリックが振り返って言った。
もしかして、ここが彼の言う取って置きの場所なのだろうか?
どこからどう見ても、ただの洞窟にしか見えないのだけれど。
そう思った私の心を読み取ったかのように、エリックは言う。
「目的地は正確には、この洞窟の奥だ。しばらく歩くぞ」
そう言って、エリックは私からバスケットを受け取る。
バスケットを開けると、ランプとマッチ、そして丸い林檎が四個入ってる。
「…………」
エリックが口を開けて、固まる。
どうしたんだろう。
「アクア、もしかしてこの林檎、お前が用意したのか?」
私は頷く。
何日か前に初めて食べた時から、私はこの林檎というものが大好き。
だから、入れたのだけど。駄目だったのかな?
「…………いや、別に悪くないけど」
エリックは何故かうなだれた後、ランプを取り出し洞窟の中へと入っていった。
私もそれに続く。
水の感触が冷たくて気持ちがいい。人魚の時は、こんな風に水が気持ちいいと感じたことは、なかったかもしれない。
つくづく人間になって、良かったと思う。
洞窟をしばらく歩いていくと、水がだんだん少なくなっているのに気がついた。
振り返ってみると、少しだけ道に角度がついている。
またしばらく歩くと、水が完全に無くなる。
時間的に丁度いいこともあり、その場でお昼ごはんを食べる事にする。
おいしい。