昨日、やっと十八歳の誕生日を迎えた。

さくらさんと結婚できると思うと、胸がワクワクする。

さくらさんは、僕の婚約者。

小さい頃から、さくらさんと結婚するのよ! と散々母に言われた。

式場も、きちんと豪華なところで……披露宴も煌めきがある。

こう書いていると、親に言われて結婚するみたいに思われるかもしれないが、僕は本気だ。

けど……

「もうすぐ式ねー」

最近つまらなそうにさくらさんは、そう言う。

なんだか乗り気じゃないみたいで、式をやめた方がいいんじゃないかと思ってしまう。

「嫌なの?」

「別にー」

さくらさんは、適当にそう答えた。

やけにあっさりして、どうでもよさそうだった。

いつもなら、そこで終わった。

でも、今日は違った。

「あんたは?」

そう聞かれた。

「僕は、さくらさんさえ良ければ、いいかなって」

「じゃあ、私が嫌って言ったら、やめる?」

その問いに、僕はどう答えるべきか迷った。

さくらさんとは一緒にいたい。

だけれど、さくらさんの気持ちを無視してまで、結婚したいとは思わない。

もし、さくらさんが嫌だと言うのなら、僕はそれを受け入れよう。

「うん」

「じゃあ、やめちゃおっか? 結婚」

さくらさんはおどけた様子で、そう言った。

僕は何も答えなかった。答えられなかった。

「もう一つ、答えてくれる?」

急に真剣な顔で、さくらさんは聞いてきた。

「うん」

「私と結婚するのは、親に言われているから?」

それなら、答えられる。答えることが出来る。

この思いに一切の迷いなどない。

「もしかしたら、それも少しはあるかもしれない。けど、僕は親が何も言わなくても、さくらさんと結婚すると思う。

さくらさんが、好きだから」

そう答えた。

すると、さくらさんの美しい目から、一粒一粒涙が零れたのだった