※後、二回で終わる予定。


 私は、カイトさんに手を引かれながら人ごみの中に居た。
 街は華やかだった。
 沢山の明り、楽しそうな声。
「エリックの奴どこに行ったんだよ!」
 カイトさんの声は大きくて、騒がしい人ごみの中でもよく聞こえる。
 これだけ人が居るのだから、エリックに会うことはないかもしれない。
 エリックに会わなくてすむという安堵感と、少しの寂しさを感じながら私はそう思った。
「     」
 えっ?
 どこからともなく、エリックの声が聞こえてきた気がした。
 私は辺りを見渡す。
 すると、人ごみの中からエリックの姿見えた。
 笑っていた。
 私も見たこともないような、素敵な笑顔で笑ってる。
 知らない女の人に向かって。
 気がつくと、私はその場から逃げ出していた。