悪性脳腫瘍で大切な母を亡くしました。


母の看病、介護をした経験から私の感じたことをシェアしたいと思います。この問題は政策に依拠するところも多いですが、大きな議論に広げるつもりはありません。ここではあくまで一個人の経験と感想をこれから苦労する方に向けてシェアしたいと思います。したがって、そんなことみんなが言い出したら?というツッコミや議論はひとまずご遠慮願います。



母が闘病していた2014年末から2018年の夏、日本においては在宅医療が推奨されており、行政のオペレーションはもちろんのこと、ネットや雑誌の特集も、やっぱり自宅で死ぬのが幸せ!、在宅介護でみんなHappy!といった文言が並び、とにかく在宅介護へ誘導する風潮でした。しかも、母の病気は予後が厳しいとされる悪性脳腫瘍。なおさら、自宅へ帰りましょう、自宅で過ごせる時間を大切に、と言われました。余命一年と見誤った診断のもとに。。。



国策でもあるし、医師の指示もあることから、それに従って動いていましたが、私の健康は破綻し、介護離職もしました。その経験から声を 大にして言いたいのは、一律に在宅介護をすべての人に強要するのは無茶だということ。




病状もひとりひとり違う、余命も違う、看病する方の人数、体力、介護者と被介護者の関係性も様々なのに、一律に、健康な家族を病人に張り付けにする在宅介護を推進することは、現実的でないし、健全なことではないと思います。出来る人はやればよい、でも出来ない人に強要する今の施策、風潮はすぐにでもやめてもらいたいです。



介護をしたことがない方や、短い期間で看取った方は、これを書いてる人は介護保険などを活用しなかったのか?と思うかもしれません。わたしも介護をする前に介護自殺などのニュースをみたときはそう思っていました。公的サービスを活用すればよかったのに、と。いいえ、違うのです。病状や家族の人数によっては、マックスまで現状の介護保険を活用しても、介護家族の疲弊と疲労は解消できません。十分な睡眠さえ確保できないのです。


結局、途中からわたしは母を有料老人ホームに入れることにしました。最期は療養型病院で看取りました。この選択に後悔はありません。



むしろ、在宅、在宅とただ繰り返し、みんな頑張ってるんだから、などと言ってわたしを追い込み、そもそも余命を大幅に見誤っていた医師には未だに怒りさえおぼえています。



もちろん、看病、介護にあたれる家族が複数名いて、余命があと一カ月です、と明白な場合は在宅で看取るのもありでしょう。それぐらいの苦労であれば、むしろ遺された家族にとっては達成感もあり良い思い出になるでしょう。

また、どれほど過酷な状況でも、頑張って在宅でみたい、できる、という方はもちろん在宅で介護されれば良いと思います。



しかし、いつ終わるかもしれず、交代できる家族もおらず、家から出られない不自由さというのは、身体だけでなく精神も蝕んでいきます。

うちの場合は働き盛り世代の夫とわたし。

夫もかなり年休を使い、頑張って手伝ってくれましたが、朝から夜まで月金はいない、介護者としての人数勘定には入りません。いまどき、介護に複数名あてられる家族のほうが少ないのではないでしょうか?



もし、いま親が悪性脳腫瘍だから介護のために仕事をやめようと思う、という方がいたら、わたしは反対したいです。患者さんが一人で生活できないのであれば、然るべき場所に預け、自分は仕事を頑張って、たまには遊んで、可能な限り会いに行く、これが健全な姿だと思います。



先日も、膠芽腫は在宅介護に向いている、などと能天気なタイトルの記事を書いている医師が居て、ぞっとしました。たまたま、その方が対応した患者さんが、すっと悪くなって亡くなって、よかったよかったなのかもしれませんが、

母のように、余命1年と宣告されながらも4年、亡くなるまで意識はなくなることはなく、穏やかながらただただできることが少なくなって行く人。ブログで拝見している事例では、身体は元気だけれど高次脳機能障害により家族に暴力を振るう人、泣き叫ぶ人、意地悪になる人、身体が不自由になり、暴言を吐く人。下の管理ができなくなり、さらにそれを認識できず歩き回る人などなど、悪性脳腫瘍の家族の看病をしていて、死ぬほどの苦労をしている人がたくさんいます。

これでも、膠芽腫は在宅介護に向いている、などと言えるのでしょうか?



医師はそんな過酷な現実を知りつつも、在宅医療推進の政策のために扇動的なことを言っているのか、あるいは自分で見聞きした範囲が全てと思い無責任に在宅医療を進めているとしたら許せません。



病気の家族のために、さらに家族が病気になり働けない人が増える、これは個人の悲劇でもありますが、労働人口がどんどん減って行くという社会的なロスでもあります。


長くなりましたが、

看病、介護で苦労していて、耐えられない方はいますぐにでも自らの健康を害する前に、どこかへ患者さんを預ける方法をとられることをおすすめします。お金はかかりますが、、、。


もし、

家族が余命一年といわれたから仕事を辞めて付き添おう、と思っている人がいたら、再考してみてください。もしかしたら、一年が五年になるかもしれないと、、、。


(と、えらそうに書きましたが

わたしも母が余命一年といわれたときに、同じような記事をみました。でも、お母さんを助けなくては!だって、あと一年しかお母さんと一緒にいられない、と思い、その記事の忠告を聞きませんでした、、、)



★詳しい病気の経過と現状はこちらの記事をご覧ください★