ひまわりの花を見ると思い出す。

6月17日。
母の誕生日。

その日は病院で、母に付き添ってもらったっけ。
どこかへ行くのも、歩くのもつらくて、
熱は毎日38度が普通だった。

お誕生日なのに、
何も買いにいけないから、
病院のロビーのお花屋さんに行った。

ひまわりが
生命力に溢れてて、
まぶしかった。

「元気な夏が来るように」
そう言って母にあげた。

母は自分の誕生日も忘れてた。
死にそうな私がそばにいて
きっと思い出すこともなかったんだろう。

その後診察に呼ばれて、
病名を告げられた。

もうわかってはいたから、
やっぱり、としか思わなかったけれど、
ひまわりを見ながら、
私が母にあげられたのは
ひまわりと娘の病気か。
とぼんやり思った。

元気な夏は結局来なかった。
今年の夏の暑さなんて私は知らない。

でも、
母が用意してくれた結婚式の引き菓子には
ひまわりの造花がつけられていた。

後から
「あなただけをみつめる」という花言葉だと
母が話していたことを聞いた。

きっとこの夏のひまわりを
忘れることはないんだろう。