On Your Mark | 【三國志online】曲長の無駄話【泰山魏】

On Your Mark

明け方に、枕元の携帯が鳴った。


ぼんやりしながら見たメールの一文に、飛び起きた。





「火事」







某所にある、とあるお店の事務所。


オーナーの好意で、当方含む友人一同の会合場所兼、趣味道具の置き場となっていて、


休日などはよくヒマ人が集まってアホな話や遊びに興じていた。





それが焼失したという。





数日後、当方が自らの目で確認したその場所は、


完全に何も無い、まさに更地であった。


釣り道具、サバゲ道具、スキー/スノボ道具をはじめ、


さらには服から車、船に至るまで、


各自が10年近くの間に集めて持ち寄った物のすべからくが完璧に消滅していた。




原因は放火。


ほどなく逮捕された犯人は、近所に住む無職の男。


精神科に通院歴があり、寝たきりの母親とツーマンセルで生活保護を受けていた。


被害総額は数千万に上ったが、それを賠償できるような能力は期待できず、


実にまったりとした県警の捜査の後には、ただ灰だけが残った。





数年前の冬の話だ。











何かを失っただろうか。





三國志onlineが終了して、


我々は何かを失っただろうか。





例えばキャラクター。


例えばアイテム。


例えば部曲。





これまで、時間や熱意を注いで来たいくつかのものは確かに消えた。


しかし、


それで我々は何かを失っただろうか。





場所や物を無くしても、


それを手に入れ、育み、楽しんで、愛した、


「我々」はいまだ健在だ。









あの見事にすべてが消し飛んだ日から数年、


事務所は焼け落ちる前よりも広く綺麗かつ快適にリファインされ、


再び買い揃えられて、持ち込まれた遊び道具の数もやはり、焼け落ちる前に勝るとも劣らない。w


そして、


「紅白が見たいんじゃぁ~」とか言いながら寒風の中でバラック然とした小屋に電気とアンテナを引いたこと、


「派遣村以下だなこりゃ」とか言いながら真冬の野外バーベキューに凍えたこと、


すきま風に野郎共が身を寄せ合いながら寝たこと、


そこに全裸のオーナーがダイブしてきてヒジが顔面に入った者もいたこと、←実話


などなど、


あらゆるエピソードが今、週末の酒の肴になっている。









三國志onlineが終了して10日余りが経った今、


あらためて自らに問う。






何かを失ったか。








否、だ。






それぞれのプレイヤーがそれぞれのフィールドに解き放たれたあの日、


終了と言うには余りに確かな再会の手応えに、


当方が見た言葉は「END」ではなく、


「To Be Continued」だった。


そしてそれは紛れも無く、


焼け跡で復興を誓った数年前の感覚と似ている。





無いのなら作ろう。






ぶっ壊れたのなら直そう。






無くしたのなら探し出そう。








そのパワーとハートを手放さない限り、


我々の軌道はいつかどこかで、必ずまた交錯する。


その確信ゆえに我々は、次の一歩を力強く踏み出さなければならない。








さて。




そろそろ当方も、新たなる地に向かうとしようか。


増える一方のクソ重たい荷物をごっそり担いで、


しかし速度は落とさずに、駆けていこう。


そしてまた会った時には、


それぞれの旅路で手に入れた雑多なモノをめいめい持ち寄って、


建て直しがてら一杯やろうや。






【三國志online】曲長の無駄話【泰山魏】





さぁ絶影! 前進だ!!!











そして僕らは いつもの笑顔と姿で


埃にまみれた服を払った




この手を離せば 音さえたてない


落ちて行くコインは 二度と帰らない




君と僕 並んで


夜明けを追い抜いてみたい 自転車




On Your Mark いつも走りだせば


流行の風邪にやられた




On Your Mark 僕らがそれでも止めないのは


夢の斜面見上げて 行けそうな気がするから




そして僕らは 心の小さな空き地で


互いに振り落とした 言葉の夕立




答えを出さない それが答えのような


針の消えた時計の 文字を読むような




君と僕 全てを


認めてしまうにはまだ 若すぎる




On Your Mark いつも走りだせば


流行の風邪にやられた




On Your Mark 僕らがこれを無くせないのは


夢の心臓めがけて 僕らと呼び合うため




そして僕らは




On Your Mark いつも走りだせば


流行の風邪にやられた




On Your Mark 僕らがそれでも止めないのは


夢の斜面見上げて 行けそうな気がするから




On Your Mark いつも走りだせば


流行の風邪にやられた




On Your Mark 僕らがこれを無くせないのは


夢の心臓めがけて 僕らと呼び合うため




On Your Mark Get Set Go



そして僕らは