国内でMtF性別適合手術(SRS)を受けた、ちょっとした記録

国内でMtF性別適合手術(SRS)を受けた、ちょっとした記録

私はいわゆる性同一性障害(GID)のMtFです。2012年夏に例の手術を受けましたが、うまくいきませんでした。その情報提供が目的のブログです。

Amebaでブログを始めよう!

2度目と3度目の手術のことを書くと言いながら長い時間が経ってしまってごめんなさい。とりあえず今日は今の状態を書かせて下さい。

 

大腸を使ったSRSのことをよく「侵襲が大きいから避けたほうが良い」などど言いますよね。

実際にその手術を受けた私が今思います。「侵襲が大きい」といった分かりにくい言葉を使うべきではありません。もっとわかりやすく「体にものすごく悪影響があります」と言うべきです。

 

腸を切ってしまうということは、便を溜めておくことができなくなるのです。私の場合この手術を受ける前は家以外のトイレで排便をすることはほとんどありませんでしたが、今はまったく珍しいことではなくなりました。それどころか我慢ができず大変なことになりかけたことが何回もあります。生活は手術で一変してしまいました。

 

仕事によっては退職に追い込まれることもあると思います。大腸がんで腸を切除したのなら人の理解が得られるかもしれませんが、SRSは人に言えないことも多いのではないでしょうか。あの人はトイレに行き過ぎると変な噂をされることでしょう。

実際支障のある仕事は多いでしょうね。大事な場面でいきなり便意を催すことはあると思いますし、我慢していては集中力が削がれてしまいます。

 

遊びでもトイレのない場所に行くのは心配です。なにしろ便意を感じたと思ったらあっという間に我慢できなくなってしまいます。もし登山に行ったら…と考えると恐ろしいです。

 

人生をめちゃくちゃにされてしまったと思っています。

 

このようなことになるとはまったく説明されていませんでした。それどころか術前にレントゲン写真の一枚も撮っていません。術後「思ったより腸が短かったので12センチしか切れなかった」と医師に言われた時は唖然としました。

 

前にも書いていますが私の場合、一度目の手術で排便に障害が出ています。膣の空洞があるため直腸がその方向に押され、便がひっかかって出にくくなってしまったのです。普通の女性の直腸膣壁弛緩症と同じような症状ですね。

 

つまり私は、便が頻繁に下りてくる上に末端では引っかかって出難いという、もう障害者と言ってもいいぐらいの状態です。トイレに人生の何分の一の時間取られるのだろう…と本気で悩むほどです。

 

一度目の手術で術後ホテルに放置され壊死など起きなければ少なくとも腸は切らなくて良かった。そう思うと腹が立つやら情けないやらです。私は一生許しません。

更新が止まっていてすいません。ちょっと忙しくてなかなか書けないでいます。

 

自分を卑下してはいけないとは思うのですが、たまに鏡で陰部を見ると卑下もしたくなります。きったない造形。本物とは似ても似つかない、まるで交通事故にでも遭って局部が潰れ、やむを得ず緊急に縫い合わせたような‥。

 

生きるのも恥ずかしくなってしまいます。

 

すみません。自分のことを悪く言うなんてダメですよね。できればタイのちゃんとした先生に修正してもらいたいけど、なかなかそれもかないません。

 

近いうちに手術記書きたいと思ってます。

SRS後の患部が治らず膿を垂れ流しながら生きるのも限界に達し、

ついに退職を決めたある日の夕方のことです。携帯電話に着信があることに気付きました。

留守番電話が録音されています。それはなんと、あのSRSの執刀医からのものでした。

「大腸を使った再手術を無償で行う用意があります」

これは驚きました。

なぜ私の体調悪化を知っているのでしょう。ここまでひどくなるずいぶん前からもう、ナグモ名古屋へは行っていませんでしたから。

 

数日後 ノコノコ とクリニックへ出かけてみると、そこには相変わらずの医者がいました。私の気持ちは既に「ここで無料の手術を受けるしか道は無い」と固まっていました。‥しかしその前に言うべきことを言おうと思いました。これまでの苦しみや怒りをぶつけたのです。

すると彼はバカにしたように舌を出して見せました。

ちょうどこんな感じです。

またしても驚かされました。

他院の患者ならともかく、ここで手術を受け苦しんでいる人間を前にこんな態度ができるものかと。

でも私はあまり腹は立ちませんでした。どうでも良かったのです。冷静に、「なんですか?その顔は?」と訊くと舌が引っ込みました。

「謝らないんですか?」と私は続けて言いました。すると少し間を置いて彼は、「申しわけ、ございませんでした」と頭を下げました。

心がこもっているとはまったく思いませんでした。

前にも書いた通り、私の気持ちは決まっていました。ここでこの医者の手術を受けるしかないのです。

前提として形だけでも謝ってもらわないと先に進めない。それだけのことでした。

そして文字通り"断腸の思い"ではありましたが、この日から約2か月後、腸を使ったSRS再手術を受けることが決定したのです。

 

(今から2年ほど前の話です)