かさっと何か物音がして、直は意識を呼び覚ました。

 

見慣れない部屋。着慣れないパジャマ。記憶の断片をジグソーパズルみたいに、必死につなぎ合わせる。

 

 

(あ、そっか、月征先輩の部屋だ!)

 

と気づくのに、たっぷり5秒。眠る前までの記憶を辿るのに、更に5秒。さっきまでこのベッドの上でしていた行為を思い出して、直は赤面する。

 

 

「直、可愛い」「大好きだよ」そんな甘い言葉を囁きながら、月征は貸してくれたはずの直のパジャマのボタンを外していく。

「自分のパジャマ着てる女の子脱がすのって、そそられるね」

「や…っ、もう…っ」

月征の目線と言葉に、かあっと体温が上昇していくのがわかる。「無理です、やめてください」直の口から紡がれるのは、そんな言葉ばっかりで。

でも、本気でやめて欲しいと思ってないのは、月征にもバレバレなのだろう。彼の行為は、エスカレートするばっかりだ。

途中からは、形ばかりの抵抗も出来ない程、月征の与える刺激に身体も声も従順に反応する。

月征のものを深く直の中に受け入れながら、嬌声を上げてしまった後のことは、よく憶えていない。恐らく快楽に溺れたまんま、眠ってしまったのだろう。

時計を見ると、あれから30分くらいしか経っていない。

 

(…月征、どうしたんだろ)

 

ベッドの主がいない。直ははっと起き上がって、部屋の灯りを点ける。やはり。誰もいない。

「月征…?」

「あれ、起きたの?」

直の声に呼応して、月征が目の前に現れた。

 

「寝てる間に仕込んでおこうと思ったのに」

バツが悪そうに言うその手には、隠しようもないプレゼントらしい包があった。

「…プレゼント?」

そういえば、小さいころはクリスマスの朝、目が覚めると、プレゼントが置いてあったっけ。あれ、いつまでだったかな…私がサンタを信じてた時。

「うん。ちょっと演出が違っちゃったけど…メリー・クリスマス」

月征から手渡されたのは、手のひらサイズより、もう少し大きめの箱だった。

「開けていいですか?」

「いいよ」

 

一昨年はネックレス。去年は、真っ白いミニリュックだった。今年は、何だろ。直はわくわくしながら、箱に掛かったリボンを解く。

 

蓋を開けてみて驚いた。

「…これ…」

 

 

月征からのプレゼントは、スクエア型のフォルムにギリシア数字の薄いピンクの文字盤が可愛い腕時計。甘すぎないデザインが、直の好みにぴったりだ。けれど、それより何より、直には嬉しいことがあった。

 

「あ、あの私もプレゼントあるんです。今、持ってきますね」

ベッドから素早く降りて、直は自分のリュックから月征へのプレゼントを出す。月征も開封した瞬間、直と同じように目を大きく見開いた。

 

そして、ふたりで互いからのプレゼントを持ったまま、くすくす笑い出す。

 

「俺たち、同じこと考えてたんだな」

――ずっと一緒にいたい。同じ時を刻みたい。

同じものを選んでた偶然が、聖夜だからか奇跡のように思える。

 

 

「大事にするね」

「俺も」

 

お互い腕に嵌めて、時間を寸分狂わず合わせて、左腕を差し出す。並んだふたつの時計が同じリズムで、時間を刻んでいく。カチっカチっ。同時に動く短針みたいに、ふたりで歩いて行きたい。

 

 

「メリークリスマス」



                                              winter Lovers Ⅱ (完)




…というわけで、メリークリスマス♪
既にケーキを食べ過ぎて、やばい感じの紗夏です。

アメブロは確かあんまり過激なのダメなんだよなあと思って、ちょっとおとなしめですみません。
しーちゃんとひなたんのは、まだお預けだし。直前までしーちゃんと一緒に悩んで、やっぱりまだ違うな…と。

陽向は一生DTでもいいんじゃないか?(笑)

やたらに長い割に、甘いシーンが少なくってごめんなさい。


では。次は、「いちばんになりたい」の続きかな?
年内にあと、1,2話はあげたいんですが、割りとこのwinter loversに手間どって大してストック作れていないので、どうなることやら。

年賀状も作ってないし。娘は冬休みだし。買っても買っても牧草すぐになくなるし←

例によってどたばたの年末です((;_;)


でも本日、先日カード作った分のドッドマネーが付与されたので、これをナナコに変えて、ファンデーションでも買おうと思います。タイミングバッチリのクリスマスプレゼントありがとうございます、アマソンさんヽ(=´▽`=)ノ


では皆様も、素敵なクリスマスお過ごしくださいね♪