この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。






禿げちゃった!
2015-10-22 23:33:17
テーマ:クロネコ物語



テンテキ?
っていうのが
やっと終わった。

前肢の毛を剃られちゃったの。
やん!
みっともないよね。
彼に見られるの…………嫌だな。

なんて思っていたら、
やっぱり退院だった。
………………大きい人が迎えにきた。

彼じゃないんだ。

ほっともするけど……彼が来ると思ってたのに。

ばかだからかな?
ごみ箱あさったからかな?
恥ずかしいって言われたけど…………。

ううん!
だいじょうぶ?
って聞いてくれたもん!

でも
ホントに
恥ずかしいな。
前肢が禿げちゃった。

なんか青っぽい。
気味悪くない?
私の手。

お家に着いた。

…………………あれ?

大きい人が
さっそくスープを出してくれた。
でも…………彼がいない。

彼がいない日は続いた。
ご飯は
毎日
大きい人が来て
出してくれる。

いつの間にか
私は
すっかり
元気になった。

禿を除いて……。



カチャン ガチャッ

「ただいま」

彼??

「どこにいるの?
出ておいで。」

彼が私を探してる。
どうしよう。

「あれ?
退院したはずだけど……。」

だんだん近づいてくる。

テーブルの下で
私はドキドキしている。
来ないで
来ないで
来ないで

「見付けた!」

「おいで」

「どうしたの?」



お尻を向けて
じっとしてた。

「この子、
僕を忘れちゃったのかな?」

違うの
違うの
違うの

彼がテーブルの下に入ってきた。
膝をついて
そっと
私に触れる。

「あれ?」
私の前肢を
彼が持ち上げる。

「点滴したんだね。」
抱っこされる。

前肢が
そっと撫でられて
「可愛いよ。
僕の食いしん坊さん」

私、泣いちゃう。
ありがとう!
私、可愛いのね!!

彼は遠くに行ってたみたい。
大きな荷物だった。
何処に行ってたのかな?

彼が買ってきたケーキを
二人で食べた。

「さあ、
これなら
食べて大丈夫だよ。」

うん!
おいしい!!



画像はお借りしました。
ありがとうございます。



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