この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません







新しい日常
2015-10-25 09:55:26
テーマ:クロネコ物語



日常は
いつの間にか
変わっていくものね。

私は大人になって
彼は子どもになったみたいに感じる。

夕食を終えると、
私たちは
ソファに固まる。

大きい人が本を持って
最初に座ってるの。
彼と私はお風呂。

この頃
お風呂はシャワーなのよ。

私は
水音やら
髪をガシガシ洗う音やら
カーテン越しに
聞いている。

うん!
急いでるわ。

バスローブ羽織ったら
もう居間に直行。
駆け足じゃなきゃ追い付かない。

居間のドアの前でね、
必ず止まるの。

そして、
ゆっくり開ける。

カチャッ

いる?
みたいに確かめる感じ。

彼はソファの前に回り込む。
バスローブの裾が翻り
一瞬内腿の白さが
目に飛び込む。
大人になっても
ドキッとしちゃう。

そして、
覗きこんで言うの。

「まだいたね。」

これ、
毎日言うのよ。
サガさんが1〇:〇〇に
時計を見て帰るのは
決まってるのに。

あ、
サガさんって、大きい人の名前。
私たち仲良しになったから。
二人で留守番も何回したかしら。

こないだは、
サガさんも来なくて
知らない人が来たけれど。
そう
1週間ほど…………ね。


バスローブは
彼には大き過ぎるみたい。

袖口が手の甲までかかってるし、
裾でひざ下まで隠れてる。

華奢なあなた
ローブの下を知っていても
その細身に
心は騙されるわ。

彼はイヤホンケースを開けて
楽しそうに選ぶ。
そして、
ソファに乗っちゃうのよ。

猫なの?
最初はあきれちゃった。
あなたは
私と入れ替わりに
子どもになったみたい。

サガさん、
ホントに大きい。
彼が寄りかかっても
どーんとしてる。

さあ、
最後が私ね。
ソファの上で片膝立てている
脚の間に入る。

見上げる。
もう
じゃれついたりしないわ。
見とれてるだけ。

頭を預けた肩に
洗い髪は
しどけなく散らばる。

右に傾けた首筋からうなじが
真っ白なローブに隠されてるのが
ドキドキだわ。

私はね、
知ってるけどね。

想像しない?

ローブの下の
首から肩
肩から胸を。

顎のラインは
ほっそりしながら
喉元の柔らかさを感じさせるに
充分な円みをもっているわね。

触りたくならない?

触れたら
彼は喉を反らすかしら
それとも跳ね起きるかしら






サガさんは
ただ肩を貸したまま本を読んでいる。

1〇:〇〇
サガさんは本を閉じる。

これが今の日常よ。
私は不思議に
思ってるの。

何かが変わってる。
何かを変えようとしてるの?
それとも考えてないのかしら?

私は雌猫になったわ。
彼は何になったんだろう。


画像はお借りしました。
ありがとうございます。




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