この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。







キッチンと居間
2015-10-28 00:10:11
テーマ:クロネコ物語



彼はタブレットを抱え、
居間に腰を据えて勉強し始めた。



今どきの子どもは
お母さんのいる居間で勉強するのが
流行りらしい。



このお家はね、
それが、
お母さんじゃないから困るのよ。



ほら。



「ねぇ、何作るの?」

「それ嫌い!」

「食べたら何くれる?」

「今日は泊まれる?」

「なんでダメなの?」

以下省略! 


………………お前は小学生か???
って思うわよ。
サガさん、
あなたも叱りなさいよ。





居間とキッチンは
対面式の設計だ。
母親と子どもを繋ぐ愛の設計図って感じかしら。



繋いでるわね、
確かに。
キッチンと居間が一体化してる。




「ちゃんとやってるよ!」

ニャー
してないけどね。




「こっちの方が集中できるんだ。」

ニャー
してから言いなさいね、坊や。




「じゃあ、見てよ。」

そこで
嬉しそうに
タブレット持ってキッチンに行く?






サガさんに
タブレットを見せている。

「ね?」
とか、
「ここ今やったんだ。」
とか、

甘い声が
部屋を満たしていく。





…………これがねらいか。


頑張ってたもんね
サガさんが来る前に。




サガさんは
ホントに大きい人だ。
甘えて体を擦り寄せてる彼より
頭一つ大きい。



サガさんは
大根の桂剥きをしている。



こりゃ動けない。



いつの間にか
タブレットは手近な棚に置かれ、



「それ、苦手だな。」だの


「あ、それ洗うね。」だの



勉強の話じゃなくなってる。
この甘えん坊の小悪魔ときたら!!



…………仕方ない。


ニャーッ
ニャー
ニャー



「こらっ!!」


本家本元には敵わないのよ。


魚を狙うなんて、
私としては不本意なんだけど、
緊急避難ってもんでしょ。



彼は私と一緒に追っ払われた。
サガさんは無事に調理を終えた。



ねぇ、サガさん
そんな調子でだいじょうぶなの?



私は雌猫になったわ。
この子は
あなたになついた
仔猫になったみたいよ。


画像はお借りしました。
ありがとうございます。


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