「100分で名著」をきっかけに、

昭和40年出版の「小学舘少年少女世界の名作文学」の解説を読んでみまして、

いろいろと興味深かったもので、

購入した当時の若き親世代の攻略ポイントを考えつつ、

時代とはどういうものかなぁと思ってみたくなりました。





プーチン大統領の発言、

ロシア国営放送、

 いったい 

 これを本気で言っているんだろうか

の連続に呆然とする一ヶ月ほどでした。


ロシアの国民みなさんが同じことを言うとは思いませんが、

情報統制とプロパガンダの徹底、

それ以前からの教育等によるロシアとしての諸々に関する認識は世論の土台となっているのは事実のようです。


そして、

ロシアで息づく常識は、

欧米諸国や日本で暮らすまがりなりにも民主主義を基本とする国のそれとは、

大きく異なっているのかもしれません。


「侵略」「戦争」を否定することは共通している。

それは報道管制からわかります。


否定しているはずなのに、

ウクライナでの行為は国民の支持を集めたそうです。

プーチン大統領の支持率、

ウクライナ侵攻後に80%超え。


クリミア併合の際は90%超えだったと3月のニュース特番でグラフと熱狂する国民の映像を拝見しました。

少なくともクリミア併合の際のそれは、

捏造の可能性を考慮しなくてもよさそうです。


とするならば、

自国が他国を凌駕する軍事力を有することと他国の主権を侵しても平和を維持する義務があるということが、

疑問なく合体しているあたりは……ロシアの国是????として、

広くロシア国民に染み通っていると考えてよいかと思います。


国民がもつ共通認識は、

なかなか変えがたい。


そのあたりを思いながら、

店主が小学生の頃、

社会通念の基盤を形作った両親たちが抱いていたであろう共通認識を知る手がかりとして、

改めて昭和40年出版「少年少女世界の名作文学」の大人向け文言、子供向け文言を見てみます。


☆昭和39年 東京五輪




 母は18歳の国民学校教員として、

 戦争を終えました。

 父は出征していません。

 父の兄二人は出征し、

 長男は戦死しました。



ギリギリ成人前まで戦前を生きた世代が、

子どものために購入する本。

とすれば、

民主主義礼賛という表紙をつけられても、

頁を繰れば子供時代から身に付いた当たり前は、

顔を覗かせるのが道理というものです。



民主主義」という表紙は、

天皇至上主義、

軍国主義への傾倒は、

ほぼ抑えきっているなぁと思いました。

新たな教義みたいです。




三銃士、ああ無情を掲載した巻では、


フランスでは、1789年に大革命が起こって、

 人民を苦しめてきた貴族、僧侶などの古い特権階級の力がうち倒され

 王政が廃止されて新しい共和政治が誕生しました


に始まり、


大革命でめざめた人間の自由と平等と友愛の思想は、国民の間に広く深く根をはっていきました


と続く解説があります。



太字にした部分だけ注目すると、

敗戦後の日本を重ね、

自由と平等と友愛を善きものとして掲げた印象があります。


革命と敗戦では、

国民自身の手で行われたか否かという根本的な食い違いがありますが、

民主主義思想へと国は進んでいるんだという世論の反映かもしれません。



では、

戦前から続く一般通念に行きます。

一読しただけで目についたのは男尊女卑です。


ありすぎて迷いますが、

まずは全巻に共通した特色紹介です。



全巻の巻末にこの頁があります。

販売するための宣伝文句も、

おそらくはこの文言だったでしょう。


四つ目が面白いです。

○一冊の中に低学年向き

 高学年向きまたは少年向き

 少女向きの作品を案配併載


えっと

男の子は何歳でも高学年向きを読める?

女の子は高学年になるまで読めない?

と捉えられる分類です。


具体的にどう分類しているのかなと、

第16巻を覗いてみます。



ビミョーに低学年向きはないかな。

「あしながおじさん」が少女向きなんだろうけれど、

全部高学年向きでいいのではと思うラインナップです。


が、

甘かった。

「解説」です。





作者ジーン・ウェブスターの紹介は、

彼女の父がマーク・トウェインと仕事をしたことがあり、

母がマーク・トウェインの姪であったということで終始し、

マーク・トウェインとそれほど近い関係にあったのですから、ウェブスターがのちに本を書くようになったのも、

決して偶然ではありません。」

で締め括られます。


親交があったとか、

ウェブスターがそれに触れていたとかはなし。

なぜ女が小説なんて書いたかの説明は、

マーク・トウェイン三連発で終了です。





枕草子の作者は、

清少納言という女房名だけが残っています。

その女房名は清原家の「清」に一時期夫であったろう男性の役職「少納言」をつけたのではという説などがありますが、

彼女自身の名前は不詳です。

有力な説もありますが、

重要なのは女性自身としての名は残らないということです。

だから、

日本の伝統文化にのっとてはいるのですが、

マーク・トウェイン出過ぎだろうとは思う令和の店主です。



そして、

「少女向き」作品の位置も何となく分かりました。





いちばんの魅力は、

なんといっても、

機知にとんだ手紙からうかがえる、

ジェルーシャの好ましい人がらにあります。

また、

そうであればこそ、

この作品は、

少女向きに書かれた読み物とはいえ、

男の読者にも、

おとなの読者にも、

けっこうおもしろく読めるのです。

そういう意味で、

『あしながおじさん』は、

ほんとうにすぐれた児童文学の作品といえましょう。


えっと

この解説の感想です。



ジュディに謝れ!!

主人公の名前がこれほど重要な作品も珍しいというのに、

それをないがしろにしようたあ、

どういう了見だ!?


偉そうに読んでもらわなくてけっこう!!

児童ってのはな、

学校教育法なら12歳までなんだよ。

「男の読者にも、

 おとなの読者にも」だ?

ふざけてんのかこら!


……………………。



まあ

当時の東大教授でいらっしゃいます。

女子学生の怖さはご存じなかったでしょう。

彼岸に次々と加わる新しい女性たちと語り合い、

今は頭をかいておいでかもしれません。


時代なんですよね。

失礼申しました。



ロシアに生きる方々も、

今のロシアの世相の中で生きておいでです。

ただ、

侵攻をもってうなぎ登りする支持は、

ウクライナで人命を奪い続けることを支持しています。

正しく認識していただきたい。

一刻も早く。

そう願ってやみません。


画像はお借りしました。

ありがとうございます。