話しを進めていく中で段々とギュが積極的になってる気がする…
兄さんて言わないと気付かなそうな感じするのは私だけでしょーか(笑)

そんな訳で(どんなだ)続きです。
甘め度合いが増し始めた内容でOKな方だけどぞ!






【Time to fall in love7】



何時ものダンスレッスンが終了して、さぁシャワーでも浴びようかと皆で話している中、キュヒョンの携帯が不意に鳴り響いた。

「あれ?キュヒョナ着信音変えたの?」

メールだったらしいソレを真剣に読んでいる横でリョウクは首を傾げた。
いつも聴こえてくる音とは明らかに違ったからだ。だがそれに変えてないとだけ答えて返信している姿に一層首を傾げる。
誰の着信からも全て同じ音だったキュヒョンの携帯音。それを未だ変えてないという事は、先程のメールの相手のモノだけを違う音にしているという事か…それって特別って意味なんじゃ?そこまで考えが行って、その相手が誰なのか。それが急に気になりだすのは人間としての本能だろう。
それは二人のやり取りを聞いていた周りも同じだったようだ。

「誰なんだよー?」

肘でキュヒョンを突きながらウニョクが携帯を覗き込もうとする。
それに隠す事なく携帯を開いたままだったキュヒョンのソレが、また着信を告げた。今度は電話がかかってきたようだ。やはり何時もとは明らかに違う音。その名前の表示を見たウニョクの動きがピタリと止まった。
それさえも気にしていないキュヒョンは通話ボタンを押すと、メンバーが聞いた事のないような優しいトーンで声を発した。


「今丁度僕も電話しようとしていた所です。足の具合はどうですか?痛みは?ちゃんと薬、飲みましたか?」


そう言って電話越しに蕩けるような表情を見せたキュヒョンに、今度はウニョクだけでなくその場の全員が固まった。



「……さて。僕は用事が出来たんで先に上がります。」


通話を終えたらしいキュヒョンの言葉に固まっていた皆がハッと顔を上げる。が、その時には既に稽古場を出る所で。着替えもしないまま脱兎の如く出て行った背中を呆然と眺めるメンバー達。

「……内容で大体の予想は付くけど…ヒョン、電話の相手って……」

聞かれたウニョクはやっぱり呆然としたままで、それでもどうにか口を動かして電話の相手を口にした。


「………イェソンヒョン…だった…」


予想通りの相手の名前に全員がキュヒョンの出て行った扉を見つめた。







ガチャリ。鍵を開けて足元へと降ろしていた荷物を持ち上げる。
イェソンからのメール、それは買い物の頼み事。飲み物と食べたいと言われたお菓子、暇潰しになるだろう新作のDVD等様々な物を頼まれた為結構な大荷物になってしまった。
両手一杯のソレを持ち上げてドアを開けたキュヒョンは目の前を見て思わず固まってしまった。

「おかえりー」

そう言って立っていたのは自分へと買い出しを頼んだ張本人、イェソンだったからだ。

「っ何してんですかっ」

慌てて荷物を全て降ろして自分の肩を掴んだキュヒョンに、イェソンは小首を傾げてキョトンとしている。慌てるのも当然だろう、イェソンの怪我は全治一ヶ月に近い。なのにまだ一週間も経っていない足を引きずって玄関まで歩いてきたのだ。驚きを通り越してキュヒョンは怒ってしまった。


「ダメでしょう!?何で歩いたりするんですかっ」


周りからすれば少し過保護じゃなかろうかという距離。
それでもキュヒョンは心配からつい口を出してしまうのだ。

「治りたくないんですか!?」

そんな風に言われて、折角出迎えたのにとションボリしてしまったイェソンはプイッと顔を背けた。その行動にも聞いてますか?なんて言われたものだから、何だか余計に悲しくなって。


「…喜ぶと思って、待ってたのに……」


言って瞳を揺らめかせる。それにやっと気付いたキュヒョンは、自分の為にここまで歩いて来たのかと漸く理解した。


「……僕を…待っててくれたんですか…?」


恐る恐る聞いてもイェソンは頬を膨らませてプイッとソッポを向いてしまうだけ。その顔を覗き込めば、やっぱり瞳は潤んでいた。


「スミマセン…怒ったりして…」


そうやって困ったように微笑まれて、イェソンはムゥっと頬を膨らませたまま暫くその顔を眺めてから。

「………おかえり、キュヒョナ…」

ポツリと呟いた言葉に今度こそ優しい笑みを向けて。

「ただいま、ヒョン…」


コツリと額を寄せられて、その温かさにイェソンは瞳を閉じる。
怪我で宿舎に一人で居る時間が増えた分、人の温もりが恋しいらしい。
こうやって恒例のように額を寄せられる事が心地いいのだ。そのままそっと抱き締められて、ポンポンと背中を叩いてくれる優しい手に淋しさが紛らわされているのだとイェソンは最近気付いた。

「……お腹、すいた」

それでもやっぱり気恥ずかしさはあって。だからぶっきらぼうに言えば、キュヒョンはハイハイと体を離す。


「軽く食べられる物を買って来ましたけど、部屋で食べますか?それともリビングで食べます?」


それにウーン…と悩んでから部屋でDVD観ながら食べる。そう言えば一つ返事でキュヒョンは頷いた。そのままヨイショとしゃがんだキュヒョンを目で追ったイェソンは、自分の体が突然浮いた事で驚きの余り思わずキュヒョンの首へと腕を回す。


「っなっ!?何してんのお前!?」

「え……何って…お姫様を抱き上げてるんですけど?」


そう、キュヒョンの言う通り。所詮言うところのお姫様抱っこをされているイェソン。体重が軽いだけに余り身長の変わらないキュヒョンに軽々と持ち上げられている。それが何だか恥ずかしくてバタバタと暴れるのだが。

「この間ミニヒョンにもされてたでしょうに。」

「…あれはっ……緊急事態だったし…」

モゴモゴ口篭るイェソンにフーン?と据わった目を向けて。


「ミニヒョンは良くて、僕はダメだと?」

「違っ!!そーじゃなくてっ」

「………オレが何だって?ってか、二人とも玄関で何してんの…」


突然聞こえた声に二人はギョッとして後ろを振り返る。そこには今正に話題に登っていたソンミン、その人が立っていた。

「レッスン場飛び出したと思ったら、こんなトコでイチャついて…」

ヤレヤレ、そんな風に頭を横に振るソンミンに慌てたのはイェソンで。


「違っ!これはキュヒョナが勝手にっ」

「早かったですね…二人共もう帰って来たんですか……」


慌てるイェソンとは対照的にキュヒョンは冷静な目を向けている。ソンミンの後ろに隠れるようにして立っていたリョウクにも目線を向けるが直ぐに逸らしてイェソンを抱き抱え直した。


「あれ、俺達早すぎた?」

それに態とらしく言うソンミンはもうキュヒョンの気持ちに気付いているらしい。それはリョウクも同じで、ソンミンの裾を引っ張ってやめなよと警告している。


「まあ、別にいいですけど…」


そのままスタスタと歩き出したキュヒョンに慌てたのはやっぱりイェソンだった。と言っても慌てたのは全く見当違いの事。

「ちょっ!キュヒョナ荷物ーーーっ!!」

置いたままの荷物に手を伸ばそうとするイェソンに、三人は思わず目を合わせてから吹き出してしまった。
どうやらこの空気に気付いていないのはイェソンだけらしい。


「え、え?何笑ってんの?」


キョトンとして三人を見るイェソンはどこまでも鈍感だ。
キュヒョンの気持ちを知ってしまった二人の複雑な気持ちなど判っていない鈍感ぶりに、笑いしか出ない。
というかキュヒョンの想いの通じなさが逆に哀れに思えてしまう。


「キュヒョナ…大変だなぁ、お前…」

ソンミンの深々とした溜息に軽く肩を竦めて見せる。

「覚悟の上ですから。」

そうやって笑うキュヒョンへとリョウクがガッツポーズを見せてきた。

「ボク、応援してるからっ」

それに眉根を下げて笑うキュヒョンを見て、ますます訳が判らないとまたイェソンが首を傾げた。

「……お前ら、何か…ズルイ…」

三人だけが知っているような雰囲気にまた頬を膨らませたイェソンへとキュヒョンは優しい瞳を向ける。


「その内、判りますよ………」


そうやって頬へと落ちてきた唇に、真っ赤になったイェソンが1人。





※兄さん鈍感すぎて哀れなギュ…



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