続きです。ココから二人の関係が一気に変わっていきます。
平気だよーって方だけどぞ!




【Time to fall in love8】



「………キュヒョナは?」


足を引きずったままリビングの入り口でポツリと呟くイェソンに、リョウクとソンミンは顔を見合わせた。

「今日はチャンミンと呑みらしいよ?」

引きずったままヨロヨロと歩いてくるイェソンへと手を貸しながらソンミンが言えば、フーンとだけ返事が返ってきて。それに知らなかったのかと二人の方が驚いてしまった。

「遅くなるかもって言ってたけど…」

何となく気まずそうに言うリョウクに首を傾げつつ、その事実を知らなかった事に少なからずショックを受けている自分に気付く。それが何故だかが判らないイェソンはまた首を傾げながら、ソファへと腰を下ろした。


「あれ、そいえば今日は練習、行かないのか?」


今気づいた。そんなイェソンに二人は苦笑した。
昨日の内に今日は1日オフだと言った筈なのだが…その時は確かキュヒョンと映画を見ていた。だから耳を素通りしてしまったのだろう。そんな兄へと優しい二人はもう一度今日はオフなのだと告げてやる。
それにイェソンは嬉しそうに笑って何しようか!?なんてハシャギ始めたものだから今度は慌ててしまった。

「遊ぶなら動かない遊びにしないとっ」

そう言うソンミンにイェソンは頬を膨らます。だがまだ怪我をして二週間も経っていないのだ。動く事は止められている。
それにと二人は出掛ける前のキュヒョンの言葉を思い出していた。



『くれぐれも、ヒョンを歩かせないように。』



そう怖い目を向けて凄まれては言う事を聞かない訳にはいかないじゃないか。

「ほら、拗ねないで映画でも見る?」

ソンミンの申し出に頭を振るイェソン。

「じゃ、ゲームする?」

リョウクの言葉にも頭を振って。

「お酒……飲む。」

「「…………はい?」」


そう断言したイェソンに二人は声を揃えて聞き返したのだった。






「……何してんですか、アンタ達……」


帰宅したキュヒョンは据わった目を向けて三人を見た。その後ろにはチャンミンもいる。早く帰りたいと言うキュヒョンに、じゃあお前の宿舎で飲めばイイだろうと言うチャンミンを連れて帰宅したのだが。

「あ、お…お帰りキュヒョナ…いらっしゃいチャンミナっ」

狼狽え気味のリョウクの声は何処か疲れきっている。その隣ではソンミンもやはり疲れた顔を向けてキュヒョンを迎えた。


「あーっ!!チャンミナだあっ」


1人元気なイェソンがソファの背もたれへと半身をヒョコンと出して手を振っている。それにチャンミンは優しく微笑みかけて手を振り返してはいるが、部屋を見回してキュヒョンの耳元へと顔を寄せた。

「……何で部屋が荒らされてんだ?」

そう、リビングは荒れていた。まるで強盗でも入ったんじゃないかという惨状と化していたのだ。兎角イェソンの周りが酷く散らかっていた事でキュヒョンには容易に犯人の想像がついた。だが問題はソコではない。


「………ヒョンに酒を飲ませたんですか…?」


地を這うような声にソンミンは引き攣った顔を向ける。なんで医者に止められている酒なんて飲ませたのかと怒るのは最もの事だ。それにはリョウクが庇うように前へ出た。

「ヒョンがどーしても飲むんだって聞かなかったんだよっ」

だからミニヒョンは悪くない!それにハァ…と溜息をついて額に手を当てた。イェソンは酒は飲むものの偶に変な酔い方をするのだ。それは暴れるというよりは物を放り投げて遊ぶ。という酔い方…
周りの人物に物をポイポイ投げては楽しそうに笑うという何とも傍迷惑な酔い方なのだが、それは何かムシャクシャした時に出てくる事が多い。


「ほら、何してんですか…」


酔ってしまったものは仕方が無い。ニコニコ笑っているイェソンへと近付いたキュヒョンに、いきなり笑顔を引っ込めたイェソンは持っていたタオルをキュヒョンへと放り投げてきた。

「なっ!?何するんですかっ」

いきなり投げられて驚くキュヒョンへと舌を出したイェソンに目を見開く。


「キュヒョナはヤー!チャンミナがイイのっ」


そう言って今度はクッションを投げ付けてくる。それを受け止めてキュヒョンは少し怒ったようにイェソンを見た。

「人に物を投げちゃいけないでしょう?」

極力抑え目に言った言葉の端々に怒りが見え隠れしている。それは物を投げられた事から来るモノではないなとソンミンとリョウクがハラハラと見守る中、言ってはイケナイ言葉をイェソンは言ってしまった。


「知らないっ!キュヒョナなんて…大っ嫌い!!」


瞬間、チャンミン以外の時が止まった。と言っても数秒の事なのだがそれが長く感じたのはキュヒョンのただならぬオーラからだろう。
酔っているとはいえ、それはキュヒョンにとって1番聞きたくない言葉。
そんな言葉を皆の前で、しかも大声で言われたのだ。キュヒョンの我慢は限界を迎えた。

「………なら、好きにすればイイでしょう……?」


スッと細められた瞳にイェソンの肩がピクリと動く。その瞳のあまりの冷たさに、ソンミンやリョウク、それにチャンミンまでもが驚きに目を見張った。どんな事があったとしても今までこんなに冷たい瞳を誰かに向けた所など見た事がない。それはイェソンも同じ。

「………キュ、ヒョナ…?」

あまりの変貌ぶりに声をかけたイェソンを、キュヒョンは無視したまま背を向けた。そのままリビングから出て行こうとした背中をイェソンの泣きそうな声が追いかける。

「やっ!待ってキュヒョナっ……キュヒョっ」

「ちょっ、ヒョン!!」

「危ないっ!」


ソンミンとリョウクの声に振り返ったキュヒョンは、驚きと同時に体が動いていた。キュヒョンを追い掛けようとしたイェソンがソファを乗り越えようとしたのだ。しかし怪我のせいで力の入らない足がそれを幅んで。
背もたれから床へと落ちる間一髪の所でキュヒョンの腕がイェソンの体を抱きとめた。


「…………っ……何やってんですか…ホント…」


床へと全身を預ける形で寝転がったキュヒョンの体。その上へと抱き止められたイェソンはそのまま下敷きになったキュヒョンの首へと腕を回した。

「……ヒョナ……かな…で……」

ポツリと呟かれた言葉に三人は何だろうと耳を傾ける。そのまま少し震えていた背をポンポンと優しく撫でてやれば、もう一度。


「キュヒョナ……置いてか…ないで……」


今度はハッキリと聞こえたソレ。その声が既に涙で濡れているのが判って、キュヒョンはそのまま自分の胸へとイェソンの顔を埋めた。他の誰にもその涙を見せないように。


「チャンミナ…リョウギ達と飲んでて。」


それだけ言うと突然体を起こし、軽々とイェソンを持ち上げた。それはイェソンの嫌がる姫抱っこと言われる抱き方だったが、持ち上げられた体は大人しくキュヒョンの腕に収まっていた。
首へと回された腕がより一層強くなったのを見て、キュヒョン以外の全員が息を飲む。
それを無視してキュヒョンはイェソンの寝室へと足早にリビングを後にしたのだった。







※マズい…弱虫兄さんになってる…(汗)しかも絶対言わなそうな言葉をバンバン吐かせてる自分て…(-_-;)

次からちょっとえっちぃ話しに突入するんで申請って形にしますね!ても駄文なんで目茶苦茶拙いモンですけど…



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