続きです。
今回は(伝わる編)でございます。
久しぶりの更新となってしまいスミマセンでしたっ
引越し作業はまだまだ終わらないものの、心の余裕が少し出来たので。
ご心配下さった方々、本当にありがとうございます!!
徐々に更新していこうと思いますので、気長に待って頂けたら嬉しいです。
さてさて、今回はまたしても切な系になってしまったのですがー…
解決せねばならん事があると思い立ちまして。
ダラダラと長くなってしまったのですが満足頂けたらいいなぁ←
そんな訳で!今回は兄さんメイン話だけど久々だしイチャってなくても読んだるよーっなーんて言って下さるお心広い方はどぞっ!!
【正しい気持ちの伝え方(伝わる編)】
もう暫く使わなくなった自分の部屋。まだ私物はそのまま残っていて、自分の部屋に変わりは無い筈なのに。何処か疎遠になってしまった場所。
其処に必要なモノを取る為にと、ソンミンは遠慮がちに自分の部屋の扉を押し開いた。
居ると思っていた人物は違う事無くその場にいたのに、その姿にソンミンは僅かに頭を傾げる。今はまだ恋人の、別居中であるキュヒョンのベットの上。そこに膝を立てて座り、その膝へと顔を埋めたままピクリとも動かないのだ。それにどうしようか迷ったのは数秒。
「………ヒョン…?」
控え目に掛けた声。それにやっとその肩が僅かに動き、ユルユルと上げた瞳が涙に揺れていて。思わず締め付けられた胸を抑えてソンミンはユックリとイェソンの座るベットへと近づいた。
そのままギシリと音を立ててベットへ座ると、ソンミンは困ったような顔でイェソンの瞳を覗き込む。
「…泣かないって……約束、したんじゃなかったの?」
問い掛けにイェソンはまた瞳を揺らして、コトリ首を傾げるとキュッと唇を噛み締めた。
「…した……けど……知ってる、から……」
「………知ってる…って?」
言ってる意味が判らない。キュヒョンならば一を聞けば十判るのだろうが、生憎そこまでソンミンはイェソンの思考を読み取れる事が出来ないのだ。
それはイェソンも判っているのだろう。
握り締めていた携帯の画面をスッと差し出され、コレを見ろと催促された。その画面に目をやると、簡素な文章が並ぶだけの何て事は無いメール。
だけど、その文字から読み取れたのは……深い想い。
《僕は…何も見えません。》
「……我慢…出来るように、なってきた……けど…」
その画面をイェソンはジィっと見つめたまま、その端に付いていたストラップを指で弄ぶ。ソレは二人で旅行に行った時の、お揃いのストラップ。
帰国後同じモノを付けていたキュヒョンに変なストラップだと言った時。
『でしょう?でも……想いが篭ってるんです。』
だから、持っていないと想いを壊す事になるからと、そう言って笑っていたのを思い出す。
その事にまた胸が少し締め付けられて、ソンミンはイェソンへと目を戻した。
「慣れても…時々、淋しくなる……」
別居して早二週間。後少しで三週間になろういう所か。
暗い顔を見せなくなったイェソンはキュヒョンとは時々電話で話をするものの、未だ顔を合わせていない。
「時々……抱き締めて……欲しくなる…」
「………ヒョン…」
そんな時、キュヒョンはそれを読んだようにこうしてメールを寄越すらしい。自分は離れていて、イェソンの姿を見る事は出来ない。
だから、見ていないから…泣きなさいと。
「いいって……言うから…」
だから泣くのだと。そう言って、イェソンはその瞳からポロリと一筋の涙を零した。
久しぶりに見るイェソンの涙。静かに頬を流れ落ちていく涙は、そのまま顎を伝って落ちていく。堰を切ったように零れていく涙が綺麗だなんて、自分はやはりまだ吹っ切れて無いのかもしれない。
「…だからって……一人で泣くのは…辛くない?」
スッと手を伸ばして、もう触れないと決めた筈の頬へと。
一瞬の躊躇いの後で。そのまま触れた頬に、ソンミンは胸が高鳴るのを感じた。滑らかな感触はあの時と変わらず、もっとと心が訴えてくる。
「……一人で泣かなきゃ……」
キュヒョナも…我慢してるから。
「キュヒョナだって……泣きたい、時……くらいっ」
そのまま続けようとした言葉を遮るように、ソンミンはイェソンの肩を掴み自分の腕の中へと引き寄せた。軽い体はストンと腕の中へと落ちてきて、そのままその体を抱き締める。
「………ソンミナ…?」
驚いたのだろう、間の抜けた声に少し笑って。
「……こーゆー時はさ……甘えても、イイと思うよ?」
アイツだって許してくれる。
そう言えば、イェソンは腕をダラリと横に垂らしたまま。ソンミンの肩口へと顔を埋め声を殺して涙を流した。
掠れた声が仄かに耳を擽る。震える体をあやすように撫でて、何でこうも我慢してまで、この人はアイツを好きなのだろうかと思う。
辛いなら、我慢出来なくなる程辛くなるなら……
「…やめちゃえば…いいのに……」
落とされた声にイェソンはピクリ肩を揺らして、涙のままその顔をソロソロと上げた。
「アイツを好きな気持ち……消しちゃえば、いいのに。」
「ソンミ……」
言いかけた声を止めるように、その瞳へと唇を寄せる。それを受ける瞳は信じられないモノを見るような目をしていて。
言った事の意味を理解出来ないような色をしていた。
「辛いんでしょ?だったら…」
好きな気持ちを、止めればいい。
「傍に居てくれない相手なんて…好きでいる必要、あるの?」
瞳から頬へと唇を滑らせる。柔らかな頬は唇で触れていても、その滑らかさを伝えてきて。
「…オレなら……ヒョンの傍から離れようなんて…思わない。」
そのまま感情に任せて唇へと近付いた時。
「………だめ。」
スッとイェソンの掌がソンミンの唇を塞いで、その行為を止めさせた。
「ここは……だめ。」
キュヒョナのだから……キュヒョナにしか、あげられないから。
「お前の気持ち……知ってるから……だめ。」
その言葉にソンミンはこの時初めて、自分の気持ちがイェソンに知られていた事を知った。あの鈍感なイェソンが気付く筈が無いと思っていた自分の気持ち。それを、今イェソンは知っていると言ったのだ。
柔らかく止められた掌がスッと引いて、パチリ。
痛さも感じ無い程の軽さで頬を叩かれる。両手でパチリとまた叩かれて、そのままイェソンはソンミンの頬を包み込むと柔らかく微笑んだ。
「知ってた……お前の気持ち…」
それを知ったのは、別居をしてから。他へと目を向ける気持ちが持てるようになって、初めて気付いたその感情。
「もっと早く……気付いてやれば、良かったけど…」
ゴメンな?
そう告げてくる瞳からは止め度なく涙が流れ落ちたまま。
「気付いてやれなくて……ゴメン。」
「っ謝らないでよ……」
惨めになる。そんな言葉を言おうとして、今度はイェソンからソッと抱き締められた体。そのままポンポンと叩かれる背中が何だか暖かい。
触れてくる面積は少ないのに、伝えてくる熱は酷く優しくて。
「お前の気持ちに気付かないまま…甘えた。」
それはとても残酷で、傷つける行為。なのに、それを沢山ソンミンへとしてきた。だからゴメンと。イェソンはそう言うのだ。
「今日も、判ってたのに……ゴメン…」
その優しさが今の自分は欲しいと思ってしまった。
だからゴメンとまた謝られて。
「…でも……俺は……」
キュヒョナを想う気持ちは、止められない。
「好きになるのを止めるなんて……出来ない。」
俺の為に苦しい思いをしてまで…離れてくれたから。
「だから……俺は、キュヒョナしか……愛せない。」
「…………そんなヒョンだから……好きになったんだよ…オレ…」
抱き締めてくる体を強く抱き締め返す。それに抗う事の無い体は、きっとイェソンの優しさから。それが残酷な行為である事すら今のイェソンには判っている。だけどと、イェソンは震え始めた体を優しく抱き締めたまま静かに囁くのだ。
「……今日だけ、特別……」
こんな風に抱き締めるのも……抱き締められるのも。
「お前は大事な俺の…弟だから。」
大好きだから……これで、最後。
「………ホント…酷い兄貴……」
これでケジメを付けて欲しい。暗にそう告げられた言葉。
きっとそうさせる為に、今日この時に態と抱き締められたのかもしれない。想いを告げさせて、その気持ちに答える事が出来ないのだとハッキリ判らせる為に。だとすると、本当に酷い人物だと思う。
想いを告げる前に振られているのだから。でも……
「……好きなんだ……ヒョン…」
「………ん……知ってる…」
「……凄く……好き…」
壊れるんじゃないかという程強く抱き締めた体は、それでもその想いを全身で受け止める為にと同じように強く抱き締め返される。
「俺も…大好き……でも、ごめんな……ソンミナ…」
その言葉がストンと心に落ちてきて、好きだと言わせてくれたその想いと、それに答える事が出来ないと突き付けられた答えに涙が溢れ出してきた。
これで……諦められる。
「………好き…だったよ………ありがと……ヒョン…」
小さな声で囁かれた想いに、イェソンは同じように涙を零したまま。
ただ無言でその体を抱き締めた。
※やっっっと!!
少し回復してきた頭が働いてくれました!
という事で更新した今回のお話。……何か、ミンイェ風味なギュイェになってませんコレ?
やぁミン君の気持ちをね?キチンと整理させてあげないとと思いまして。
整理出来ないまま兄さん結婚とか切ないでしょ!?と自分の中での想いがなんともこんな形で現れました。そんな私の耳元ではやはりなノラゴが流れていたり。切な系になりましたが、次回辺りから正きもの甘さが出始める!かな?(ぅおーいっ
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