続きです。
今回は(強く編)です。

この別居話、自分で書いた癖になんだか凄く難しく。
進みがノロノロと遅くなってしまうのですがー…

今回、この別居にやっと進展がっ!!
勉強をして人の想いに気付けるようになった兄さん。元々あったその本質を、相手が好き過ぎて何処かに忘れて来たんでしょーね。
でも周りの皆の事も大好きな兄さんですから!
大好きな人達からの想いにきっと照れつつありがとー。と感じている事でしょうテケテケだから顔には出ないかもだけど(笑)


そんな勉強した兄さんに、そろそろ別居解消したげてママあっ!!
なーんて机バンバン叩きつつママに訴えたいーっなーんてジッタバタしている方はどぞっ!!





【正しい気持ちの伝え方(強く編)】



「少しお痩せになられましたか?」

ウェディングドレスの仮縫いを合わせるという段階。その場で言われた事に、イェソンはコトリ首を傾げる事で答えてみせた。


「やっぱり…だから痩せたって言ったでしょ?」

そんな声が少し離れた場所から聞こえる。
やっぱりとはどういう事だろう?そうは思うものの、この恥ずかしい状態から早く脱したいとイェソンはウェストの寸法を測っていた女性スタッフへと目線を戻した。

「痩せましたか…俺?」

ドレスはやはり新調すべきだ。そう言い出したのは何を隠そうあのイトゥクで。結婚を反対していた上に、別居までさせた当の本人は今、ドレスの仮縫いへと共に訪れていたりする。その隣にはリョウクの姿もあるのだけれど。

「ええ、5センチ程痩せてます。」

少しと言っていたのは遠慮からだろうか。5センチといえば結構な違いがある。それだけ痩せたとは思っていなかったのだイェソンは。確かに近頃仕事や結婚の準備等でバタバタしていて食欲が無くなっている。加えて未だキュヒョンと顔を合わせないまま既に4週間目へと突入しようとしているのだ。
ともなれば食欲は減退するばかりでも仕方が無いだろう。

「……スイマセン… 」

折角寸法を測り仮縫いの合わせ段階まで来たというのに、また測り直して全てを手直ししなければならない。その事に申し訳なさを感じて言えば、スタッフの女性はクスリ微笑んでそのままイェソンの胸元へとメジャーを回した。

「結婚は、負担が花嫁の方に多く掛かる事が多いんです。」

だから花嫁は痩せる事が多いのだとスタッフは言う。

「それでも花婿様へと綺麗な姿を見せたい…だから、頑張るそうですよ?」

そう言って微笑んだ女性に、イェソンは柔らかい笑みを向けた。

「……その気持ち…判る気がする…」

好きだから、大切な結婚という場所で綺麗でありたい。
その気持ちは自分も一緒だから。

「でも、これ以上は痩せないで下さいね?」

倒れてしまいますから!

言われた事にイェソンは苦笑顔を向けて、コクリ一つ首を縦に振って。

「頑張ります……ありがとう…」

そう言って瞳を閉じた姿を、イトゥクは遠目で無言のまま見つめていた。




「ジョンウナー。用意出来たよー。」

呼ばれる声にイェソンはソファへと沈めていた身を置き上がらせると、そのままキッチンへと足を運んだ。リョウクは仕事だという事で11階にはイェソンとイトゥクの二人だけ。

「………お粥…?」

用意されていたのは白い粥と、色とりどりの体に良さそうな添え物。
一日オフという貴重な時間。イトゥクはその時間を朝からイェソンへと使っていた。ドラマのOST収録等で活動の増えたイェソン。昔から体の余り丈夫では無いイェソンは、ラジオ出演等も重なり普段よりも疲労の色を濃くしていた。それを心配したイトゥクがオフを利用してイェソンへと昼食を作ったのだ。

「食欲…無いって聞いたよ?」

だから粥にしたのだとイトゥクは笑う。
その想いに申し訳なさと嬉しさが混ぜ合わさって、イェソンはその唇へと仄かな笑みを称えた。

「…心配かけて、ごめん…」

忙しいのに、久しぶりに取れた休みを自分へと当ててくれて。

「ありがとう……ヒョン…」

イェソンの言葉に、イトゥクは少し驚いた表情を見せてから。
困ったように微笑んで、椅子へと腰を下ろしたイェソンの頭を優しく撫で下ろす。

「……オレの事…恨んで無いの?」

言われた事にイェソンは小首を傾げてイトゥクを見上げた。その瞳は何処までも澄んでいて、その事にイトゥクは少しの胸の苦しさと。
今言った事への答えをその瞳から受け止める。

「別居を強制的にさせたオレを、恨んだり怒ったり…してもおかしくないでしょ?」

イェソンの横に座ったイトゥクは置いておいたスプーンを取り、粥を掬うとそのままイェソンの口元へと持っていく。そうすればイェソンは自然と口を開き、パクリ粥を口内へと引き入れた。

「美味しい?」

ニッコリ笑顔のイトゥクを澄んだ瞳で見つめたまま。イェソンはコクン喉へと粥を通して、そのままコトリと首を傾げて。

「俺の事を……俺達の事を想ってしてくれたって…知ってるもん。」

俺達に必要な事だから、別居…させたんでしょ?

「ヒョンは何時だって自分の事より、俺達皆の事を考えてる。」

俺達が間違えないように。間違えてたら、それを正せるように。
深く考えて、行動してる。

「俺、ヒョンが一番苦しいって……知ってるよ?」

「………ジョンウナ…」

あ、コレ美味しい。
そう言って笑うイェソンに、イトゥクは熱くなる胸を抑えるのに必死だった。油断すれば直ぐにでも落ちてしまいそうになる涙を我慢しなければと、椅子の後ろへと手を隠し強く握り締める。
辛い想いをさせたくて別居を突き付けた訳じゃない。
二人だけの世界に気持ちを閉じ込めてしまわないように。周りがちゃんと二人を見ていると、守れるのはお互いだけでは無く、周りの彼等を愛する人達も見守っているのだと気付かせる為に。

だから、別居をさせた。
前まではきっと気付いていた周りの想い。でも、唯一人の想いだけに固執してしソレに気付けなくなった。だとすれば、きっとこれから先…
耐えられない事に直面した時、その心が崩れてしまうかもしれない。
一人の人間にだけ守れる程、人は強く出来ていないから。

「俺達を、きっと良くは思わない人達だって…いる。だけど、そんな声を聞いても……ヒョン達が一緒だって、知ってるから。」

一緒に頑張れるんだって……気付かせてくれる為に、コレをしたんでしょ?
「俺達には、ヒョンやアイツ等が居て…他にも沢山の優しい人達がいる。」

だから、安心して結婚出来るんだって……

「気付かせてくれて、ありがとう…」


まだ一般的には普通とまではいかない結婚。ましてやアーティストとして自分達は世間に知られている存在だ。だから、結婚という事に対して批判や不の感情を多く受ける事だってあるだろう。
だからこそ、守ってやれる体制を整える為に正式発表をしようと思っていた。突発で関係を知られて、自分の預かり知らぬ所で避難の声を受けさせたくなかったから。そうして周りも固めて、そろそろ発表をと思っていた矢先に空港での騒動が飛び出した。

ネットへと次々に写真を見た時、二人の距離が縮まり過ぎている事をキュヒョンが自分へと伝えたのだと気付いて。だから別居という形を取った。
互いだけを見ている現状をどうにかしなければ。だけど自分だけではどうにもならないのだと、キュヒョンの心が訴えたのだと…だから聞いたのだ。

『一ヶ月でいいのかな?』

その長い様で短い期間で、本当にまた周りへと目を向けるようになれるのか。それには答えないまま、キュヒョンは別居を受け入れた。
きっと本人でも判らなかったのだろう。キュヒョンはすぐに心を冷静に出来る。だが周りが見えなくなっている事に気付けていないイェソンが、どれだけ心を戻す事に時間が掛かるのかがキュヒョンには計れなかった。その状態でまた一緒になれば、きっとまた繰り返すだけだからと。
離れる期間を決めないままに別居へと入った二人。

そして、今。


「………成長、したね……ジョンウナ…」

どうにか熱い胸を押し止めて柔らかい髪を撫でる。
自分の想いをきちんと汲み取ってくれた。周りへと目を向ける心を戻して、こうしてそれ以上の心でもって、答えてくれた。
それが、酷く嬉しい。
周りの想いに気付いてくれれば恨まれたっていい。そう思っていたけれど…

イェソンという人物がそんな狭い心の持ち主では無いという事を、忘れていた。

「…また、そーやって子供扱い……」

プクッと膨れる頬が可愛らしい。
好きだから一緒にいたい。から、この人物だけが自分を判ってくれる。に変わってしまった心。でもそれは違うのだと…
周りの彼を愛する人達だって、きちんと彼を判ってくれている。その事に気付いてくれたイェソンの、その心がとても嬉しくて。

「お前は何時だって、オレにとっては可愛い子供なの。」

だから何時も甘やかしてしまうのだけれど。

「判ってくれて、ありがとう……ジョンウナ…」

これならもう、大丈夫。

「別居、今日で終わりにしよ?」

突然言われた別居解消というその言葉に、イェソンはこれでもかという程瞳を大きく開いて。

「………いいの…?」

もう、離れなくて……いいの?

信じられない言葉というその反応にイトゥクは思わず笑ってしまった。

「だって、もう二人きりだなんて…思わないでしょ?」

キュヒョンがいない時でも強く居られる。それを確証出来たのに、それでも別居する理由なんて。もう何処にも無い。


「強くなったお前達なら、もう大丈夫。」

だから、今日でおしまい。


そう言って優しく頭を撫でてくる手に、イェソンはイトゥクの前で。
久しぶりの花開く笑顔を見せて、その瞳から皆の大好きな嬉しい涙を零させた。






※んー……纏まって無い気もしますが。
長らくお待たせ致しました……別居、解消っ!!

やあ長かった!お話を途中中断した事もあり、結構別居期間が長く感じたような?そして今回久しぶりに登場なトゥギママの想いがやっと見えましたね。深い想いを持つママと、それをやっと理解した息子ちゃん。
そんな感じでしょうか?

この二人の絡みも好きなんです私←
ママの想いが皆様にも伝わってるとイイのですが…文章力がもっと欲しい…




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