はてさて。
ずっと停滞していた正きも本編!!
彼が行ってしまってから、ずっと書きたくても書けずにいたこのお話。
只今より、始動致します。

既に本編の内容忘れたーって方も居られるかと思いますがー…
いや、スイマセン読み返す形で!!(待てコラ

そんな今回は記者会見に向かう二人と、それを支えるメンバーを書きたいなと思いまして。皆に愛される二人。だから幸せでいられるんだよーって、そんなお話。


でーはでは!!
久しぶりなこの二人をずっと待ってたんだよーーーーっ!!
やっと結婚に一歩近付いたか!勿体ぶりやがって読んでやるよこんちくしょーっ!!なーんて雄叫びながらも二人を未だ見守りたいって青空の様に全てを汲んでくれる方はどぞっ!!











【正しい気持ちの伝え方(温もり編)】



記者会見の会場。その控え室で、イェソンはムウっと唇を尖らせて鏡と睨めっこをしていた。その両隣ではイトゥクとリョウクがニコニコと鏡越しにイェソンを見つめていて。

「………やっぱり、や。」

唇は尖らせたまま。自分の首元へと手をやると、スルリッ。
結ばれていた紐を解いてペイッと後ろへ放り投げてしまった。
普段はそんな行動を取るイェソンではない。だが今日はコレでもう三度目。そうなると二人も慣れたモノで、ハイハイとニコニコ顔は崩さないまま。

「じゃあ、コッチにしてみようか?」

「うん。やっぱりヒョンには黒が似合うからね。」

そう言ってまた取り出された新たな紐。
それを見た瞬間、イェソンはこれでもかという程頬を膨らませて。

「っだから、もうそれは」

「リボンが嫌。なんですよね…ヒョン?」

言いかけたイェソンの言葉を遮るように。これまで少し後ろの方で事の成り行きを静かに見守っていたキュヒョンは、やっと腰を上げて。

「どんなに色を変えたって…」

床に落とされていた何本かの紐を広い上げ。

「巻かれるのは同じリボン。」

ハイ。とその紐をリョウクへと渡すと、キュヒョンはイェソンの後ろへと立って。

「貴方が欲しいのは……」

言葉と共にイェソンの襟を立ててやって、そのままスルリと自分の付けていたネクタイを引き抜くと。後ろから器用にソレをイェソンの首へと巻いてやり。

「これでしょう?」

そのままフワリッ頬を撫でられて、イェソンはそれまで膨らませていた頬を今度はホンノリ赤く染め上げた。
ね?なんて首を傾げて、鏡越しに自分を見つめるキュヒョン。その手がイェソンの荒んだ心を癒すように髪を優しく撫でてくれる。

「二人共スーツなんだから、どっちかが少しでも可愛くないと。」

イトゥクの言葉にリョウクもコクコクと頷く。
今日という重要な日。その日を迎える二人には、出来るだけ素敵な姿をしていて欲しい。例え発表だけであったとしても、キュヒョンには格好良く。イェソンには可愛らしく。
皆へと結婚を発表して、公へと二人を認知させる。そんな第一歩なのだから。

「イェソニヒョンは花嫁なんだし、もっと可愛くしてもいいと思う。」

リボンが可愛さを引き出させるアイテムになったのは何時からなんだとキュヒョンは思うものの、イトゥクを見遣ればウンウンと頷いている。
どうやらこの二人は如何にイェソンを可愛く見せるか……
そこへと執着しているのだろう。そのままイェソンへと目線を移せば、折角元に戻った頬が若干膨らんでしまっている。
あれだけ可愛い行動をするなと注意したのに、やはり癖は治らないようだ。

「……貴方は、どうしたいんですか?」

膨れた頬を擽るようにチョイチョイっと頬へと触れてやる。
少し曲がった襟首を直してやって、鏡越しの優しい問い掛け。
そうすれば揺れた瞳が見上げるようにキュヒョンを見つめてくる。
鏡を通して会話というのもおかしなモノだが、一つ一つの表情を見逃さずに済むこんな形もいいかもしれない。

「今日の主役は、僕と貴方だ。」

だから、自分の一番求める姿でいればいい。

「嫌なら嫌って……言えばいいんです。」

そう言ってイェソンのギュウッと強く握られた手を上から包み込む。
自ずと距離は近くなり、キュヒョンの頬がイェソンの頬へと軽く触れて。
もうメンバーの前では遠慮の無いそんな行動に、実はメンバー全員が押し掛けていた控え室ではヤレヤレといった空気が流れていたりするのだけれど。


「………れは……」

「……ええ…」

「…俺は……俺、だって………」

守るんだもん……


「……ジョンウナ…」

イェソンの小さな声は、それでも室内中へと伝わるには十分な大きさ。
その言葉にイトゥクは勿論、キュヒョンを覗いた全員が僅かに目を開いて。

「俺だって……守れるって、見せたい。」

大好きな人達を。愛する人を守れるんだと。
だから皆に、自分達の結婚を受け入れて欲しいんだと。

「俺は……だから、可愛いのは……や。」


見た目で人を決めるなんて、そんなのはバカげた行為でしかない。
そこに拘わりなんて無いけれど。今回ばかりは全てに置いて、見た目ですらも強く有りたいのだ。イェソンは……
自分は守られてばかりいる訳じゃ無いと、守れる人間だからと。


「……誰もお前を弱いなんざぁ、思っちゃいねぇけどな?」

静まり返った室内の空気を払拭するような強い響き。
乱暴な言葉ですら、その中に優しさと愛情を込めた想いが詰まっている。
そんな事を言えるのは、このグループの中でも彼しかいないかもしれない。

「見た目なんざどーでもいい。けど、その見た目だけで決めるヤツもいる……ジョンス。判るだろ?お前なら……


壁へと寄り掛かりながら。気だるげなのに、それでも凛とした空気を纏うヒチョルはやはり父親的存在なのかもしれない。

「俺達全員を守ってくれるんだとよ……」

フッと笑った姿にイトゥクは目元を染めて。
オイオイこっちもかよ。なんて言葉が今にも飛び出して来そうだが、ヒチョルに歯向かう者などいる筈も無く。

「守ってくれるから……守るんだもん……」

イェソンの呟きに皆が其方へと目を向ける。
揺れていた筈の瞳が強い光を帯びる。
キュヒョンに握られていた手を握り返して、鏡越しに見つめ返してくる瞳は何処までも皆を……自分を守るという決意の光を宿して。
昨日の夜までは不安に押し潰されそうな弱さを身に纏っていた筈なのに。

この人はどうしてこうも強くなるんだろう?
それはきっと……

「……判ってますよ……」

皆を愛して止まないから。その心が、イェソンを強くする。
だから愛おしくて、その全てを包んでやりたいと思うのだけれど。
そんな風に思いながら、目の前の柔らかい髪へと唇を落とした時。



「そろそろ会見の時間です。」



会場側の人間が扉を押し開き、声を掛ける。
いよいよ来るのだ。一世一代の人生を変える舞台の一つが。


「準備は、いいですね……?」


握り締めた手を一層強く握ってやる。それに応えるように握り返される手に、もう恐れなど……無い。


「ん……皆、驚かせてやる。」


やっぱり鏡越しの言葉。その強い言葉とは裏腹な、穏やかな微笑みにその場の全員が瞳を和らげて。こうやって全てを守ろうとする心を守って行こう。彼の笑顔を失わせないように……涙なんて流させないように。


「俺は……俺達は、強い。」


言葉と同時に立ち上がる体をリードするように、キュヒョンの手がイェソンの手を引いていく。
皆その姿を見守るように、二人の進む道を開いていく。
まるでこれからの二人の道を作ってくれるように……

「待ってるよ、ヒョン。」

リョウクが言い。

「見届けるから…」

ソンミンが柔らかく微笑む。

「何かあったら、直ぐに行ってやる。」

ウニョクの言葉にドンへが頷いて。

「ここはやはり俺がリードを…」

「笑いも忘れんなよ?」

シウォンの言葉を遮って、シンドンがニンマリ笑って。

「待ってるから、行っといで…」

クシャリとイェソンの髪を撫でるイトゥクは深い微笑みを称えて。

「誰にも何も言わせねぇくらい、好きな事…言って来い。」

少し強めにキュヒョンの肩を叩くのは、ヒチョルらしい送り方。



「……行ってくる。」


皆からの心を受けて、イェソンは幸せそうに微笑んで一言。
キュヒョンはただ微笑んでその姿を眺めたまま。
そうして皆に背を向けて、扉を閉めた二人はこの先の自分達の未来の為に動き出す。どんな事がこれから待ち受けていようと。例え、受け入れられないという言葉が待っていようとも。
もう……止まらない。


「……ヒョン…」


記者達が集まる会場の扉の前。そこで声を掛けたキュヒョンへと、イェソンはコトリ首を傾げてキュヒョンを仰ぎ見る。
もう時間も押し迫っているのに、何だというのか?
そんな疑問を訴える瞳に笑って、キュヒョンはパンツのポケットから一つの箱を取り出した。それは、黒い小さな四角い箱……
上質な物で作られただろう箱をスッと目の前へと翳されて。


「貴方への、お守りです。」


パコッと軽い音を立てて、箱の蓋が開かれる。
その中には煌びやかに光る、銀の指輪が一つ……

「……………え……」

呆然とするイェソンを尻目に、キュヒョンはそれをイェソンの左手薬指へと嵌め込んで。

「やっぱり……このタイプが一番貴方によく似合う。」

それは細身の、何の装飾もされていないシンプルなモノ。だけど、その存在を主張するには十分な、銀の輪。

「………こ、れ……」

未だ呆然としたままのイェソンに笑って、キュヒョンはその手を自分の口元へと引き寄せる。

「婚約指輪です……僕から貴方への、気持ちの証…」

今日という日に合わせて特注で作らせたソレ。
これから先を進む為の、道を照らしてくれる光になればいい。
強くあろうとするその心全てを、支えられるように。



「皆を守ろうとするその心を……僕が守ります。」



密やかな誓いの言葉と共に、指輪へと降り落ちる唇。

どんな言葉よりも、強い想いを込めて。
誓いのキスを落とす姿に目を奪われる……


「………ば、かだ……」


バカすぎる。こうやって、全ての事から自分を守ろうとするその心が。
痛い位に伝わってくるから……
だから、離れられない。


「……まだ、泣くのは早いですよ…」


優しい微笑みと共に目元を拭われて、イェソンはその姿に胸をまた高鳴らせる。こうして、恋が続いていく。
何時だって自分の上を行く相手だから、ドキドキを止められない。
卑怯な程に恰好良くて、愛しい相手……

「………俺を……守って……」

ずっと、守るから………

「だから……ずっと…」

囁きは柔らかい感触へと吸い込まれて。甘いキスに瞳を閉じて、一層心の強さを植え付けられる。
もう、揺らぐ事の無い想いと共に……


「ずっと……約束です……」


チュッと音を立てて離れた唇はやっぱり優しい言葉を紡いでくれる。
指に嵌められた暖かい温もりと共に、甘く包み込む…心。



「行きましょうか…」

「………ん。」



甘く微笑む瞳に同じ様に気持ちを向けて。



新たに進むべき道の扉を今、押し開く………







※ひっさしぶりの正きも本編!!如何だったでしょーか?
感覚が若干戻って参りましたが……やー。
甘いですねやっぱりこの二人は!って会場扉前でちゅうとか何なの!?
なーんて思いつつ。優男さん…お守りに指輪とか……
流石です(笑)









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