さて。今回は(友愛編)でございます。

前回、とうとう二人は式を挙げましたね。
皆様それぞれに感慨深いモノがあった様で……
長かったですからね、この二人の物語は。私と共に二人を見つめてきて下さった皆様……

皆様のお力で、二人は本当に幸福な式を挙げる事が出来ました。此処に私から、改めて御礼申し上げます。


皆様……本当に、ありがとう。


っと!さてっ!!此処からは元気ハツラツーー!?なあの飲み物の如く(どんなだ)お送りして参りましょうっ!!
来ましたよーーっ披露宴の時がっ!!
挙式であんなサプライズを仕掛けた訳ですからねぇ……
いい加減サプライズに尽きたんでなーい?なんて思う方も居るやもしれませんが……

彼等が大人しくしてるとは……思えないっ(多大に失礼

という事で参りましょうっ!!
待ちに待った披露宴だよっ!早くご馳走っ早くお酒っ!!と飲める方も飲めない方も。食べたい方もそうでない方も。
二人の為にご祝儀奮発して出席するどーーーーっ!!!!と声高らかに走り込み出来る方はどぞっ!!








【正しい気持ちの伝え方(友愛編)】



会場全体の証明が落とされ、立ち上がるスモークが室内を幻想的なモノへと変えていく。青く仄かに照らされる天井や壁、そして会場全てを覆う白い煙……まるで其処が空の上の様な、そんな不思議な空間……

その空間で柔らかな旋律がその場に居た者達の耳を掠め、これから来るだろう幸福に包まれた二人の姿を今か今かと待ちわびる。
音が徐々に大きくなり、スポットライトが広々とした会場の一点。大きな扉へと当てられた時。

静かにその扉が開き、待ちわびた二人の姿がその光に照らし出された。



「さぁ皆様!僕達を大いに待たせた、今正にっ!!幸せ絶頂な新郎新婦の入場ですっ!大きな拍手をっ!!!!」


微妙に配慮に欠けた言葉で進行するのは、その笑顔と大きな体で人を柔らかな笑いに誘ってくれるシンドン。
その助手として隣に居るのは何故かソンミンで。恐らくはシンドンが暴走しそうになった時のストッパーの役割として居るのだろう。彼等の顔だけが見える状態のその会場を目にして、イェソンは驚きに目をパチリと瞬いた。

「何か……スモーク凄い…」

先程の挙式とは違い、事務所の先輩や後輩。それに身内や親戚、友人……その上ファン達がこの披露宴会場へと訪れている。ともすれば広すぎる会場内を、誰も居ないかの様に白い煙が覆い尽くしていたのだから驚かない訳がない。

「……みんな息、出来てるんですかね?」

何とも現実的な言葉にイェソンはキョトン顔を向けた後で、思わず笑ってしまった。
確かに座っているだろう出席者達の頭すら見えないこの状態。
息が出来ていなくてもおかしくないのだ。
だけどとイェソンは会場内をユックリ見渡して、ホワリ嬉しそうに微笑んだ。

「……雲に包まれてるみたい……」

イェソンは空が好きだ。暇な時はボンヤリ空を眺めて、その空に雲が浮かんでいる事だけで穏やかな気持ちになれる。
だから会場内を覆う白い煙と青いライトに。自分が空に居る様な気持ちになったのかもしれない。

「そうですね……此処は皆の空なのかもしれない……」

やはり多くの者達にドレス姿を見せる事を、イェソンは少なからず躊躇していた。恥ずかしさが先立ち、加えて未だ似合うだろうかという不安。綺麗だからと伝えても「うー…」なんて唸り声を上げるのだから、もうそこは拭い去れない気持ちなのだろう。だからこの会場内を目にして。皆の目を隠す様な、こうした粋な演出へと穏やかな笑みを浮かべたイェソンに。キュヒョンはこの演出を仕掛けただろうメンバー達へと胸の内で感謝の言葉を述べた………と。


「こらっ!早く入って来ないとお客様達が窒息するっ!!」


そんなホンワカ穏やかムードな二人へとシンドンからの激が飛ぶ。オブラートに包むという事を知らないのだろうか?
身も蓋も無いそんな言葉に、二人はスタッフの先導の元。
厳かさや感慨深さの欠片も与えられる事無く、急かされるままに自分達の席へと足を進めた。



「さて。僕達を危うく窒息させかけた二人が席に着きました。皆様改めて大きな拍手をっ!!」

だからどうして言い方を考えないのだろうか?頭を抱えたくなる衝動を何とか抑えて、キュヒョンは会場内へと目を向ける。
段々と引いていく白い雲達。隣のイェソンはそれをやっぱり何処か夢見心地のまま見つめていて。その姿ですら綺麗だと思う彼の思考は他人を心配するという優しさの欠片も今は無い。

「ドレス姿を見せるのは、失敗でしたね……」

「……キュヒョナ?」

ボソリ呟いた声にイェソンはコトリ首を傾げる。可愛らしい行動と、それとは相反する美しい姿……

「……その姿は、僕だけの目に焼き」

「それでは皆様!ちゅうもーーーっく!!!!」

何時もの様にキザな言葉を述べようとして、それを高らかな声によって阻まれる。

「?なに??」

またコトリ首を傾げて。シンドンの言葉によって阻まれた声に、キュヒョンは後でシンドンに対して何か報復してやろう。穏やかでは無い思いを胸に何でもありませんと極上の笑みをイェソンへと浮かべて見せた。



何だか訳の判らない宴会地味た進行が続く。それに周りはクスクスと笑いを溢し、和やかに式は進んでいる様に見えた。
そう、見えたのだが。
本日の主役である二人は度肝を抜かれた状態のまま、声を上げる事すら忘れて会場内を見つめていた。

「それでは先ず我が事務所の代表!イ・スマン先生からのご挨拶をっ!!」

声高らかにシンドンが呼んだ名前で彼が立ち上がる。それに僅か周囲から吹き出す声が聞こえるも、本人は何処吹く風。
颯爽と設置されたステージへと上がり、二人への祝辞を述べ始めた。

「今日という素晴らしい日に。この幸福絶頂となる二人の為にお集まり頂いた皆様、本当にありがとうございます。」

朗々と述べる声はしかし張りがあり、代表としての威厳ある声を響かせる。そう、声だけは……

「いやしかし、イェソン君がこんなにも美しくなるとは……今からでも遅くない。私の元に来ないかい?」

冗談を口にして爽やかに微笑む姿が笑いを誘う。が、イェソンはポカンとしたまま、この時初めて口を開いた。

「先生も……凄い。」

「ん?ああ、そりゃあ今日の晴れの日にコレを新調したからね。」

凄いと言われてスマンが上機嫌に摘み上げた裾。
足元まで長々と隠す様に覆われた薄手の布。それが煌びやかな紫色をしている事にはこの際何も言うまい。
そう、問題はソコでは無いのだ。

「イェソン君の声は芸術的なモノがあり、それを支える様にキュヒョン君の声もまた素晴らしく人を惹き付けるモノがある。」

言いたい事を口にするスマンを眺めつつ、キュヒョンはまた会場へと目を向ける。そこにあったのは、普段とはかけ離れた皆の姿……

女性は男性用のタキシードへと身を包み、髪もアップにして凛々しさを醸し出し。対して男性はそのガタイが逞しかろうとそうで無かろうと、その身を女性のドレスで着飾っていた。
そう……会場内の全ての人間が、だ。

「今回のこの最良の日に、私はこの二人へとささやかながらプレゼントを贈ろうと思う。」

紫のドレスに身を包み、薄く化粧を施し長いウェーブがかったウィックを被ったスマンは意気揚々と二人の後方にある画面へと目を向ける。そこに映し出されたのは、二人だけでは明らかに持て余しそうな恐らく高額だろう一軒家。

「此処をこれからの二人の新居に。これが私からのささやかなプレゼントだ。」

気に入ってくれたかな?笑顔を向けてくるスマンに二人の笑顔が引き攣る。その高額過ぎるプレゼントも大概やり過ぎだが、というかまだまだ宿舎から引っ越す気は毛頭ないのだが。何より目の前の相手の格好が受け入れ難いモノなのだから微妙な反応になってしまっても仕方が無いだろう。

「堅苦しい挨拶は無用だろうからね。今日は皆で楽しもうじゃないか!」

何をはしゃいでいるのか……そんな弾んだ声を合図に、各々が席を立ち我よ我よと二人の元へと詰めかけてきた。

「イェソニヒョンきれーい」

女性陣からは感服の声が上がる。それにイェソンは引き気味になりつつ。

「ぁ……ありがと…」

ポソリ呟けば黄色い声が上がるのだからイェソンはその目元を赤く染めてしまった。

「こんなに可愛い人……隣の彼じゃなくて私が貰おうかしら?養ってあげてよ、オッパ?」

何とも男らしい事を言ってのけるのはジェシカ。
フッと不敵な笑みを浮かべて腰に手を当てる姿など、そこらの男よりも強さを垣間見せる。

「なんなら私が護ろうか?」

背中を押されて仕方ないなぁと同じ様に不敵な笑みを浮かべるのはアンバー。彼女の男らしさはタキシードを着ているせいか、一層目を惹き付けて止まない。それを象徴する様に周りからは悲鳴に近い声が聞こえてくるのだから、もう手が付けられない。

「こんな強いお姉さん達より……ボクみたいな可愛い子と結婚しよーよヒョン。」

いつの間にやら白い布の引かれたテーブルへと肘を着き、掌へと顎を乗せてニッコリ笑ってのけたのはテミン。

小悪魔に近い彼は、栗色の長いウィックを付けて。その白い肌に映える淡いピンク色のヒラヒラドレスを身に纏っていた。
殆ど化粧をしていなくても少女の様な彼に、同じ様な格好をした男性陣が響めく。

「綺麗なヒョンと、可愛いボク。お似合いでしょ?」

目の前でニッコリ微笑まれるとイェソンは弱い。
眉尻を下げて困った様にキュヒョンを見れば、それまで女装したお世辞にも綺麗とは言えないシンドンやウニョク、シウォンに絡まれていた腕を振り払い。


「彼が綺麗な理由……教えましょうか?」


瞬間的に嫌な予感がしたのだ皆。が、とき既に遅し……


「彼が輝くのは……彼が一番に愛する者が隣にいる時のみ……」

なので残念ですが……

「僕を一番に愛する彼を……貴方がたには渡せません。」


これでもかという極上の微笑みと共に、隣に座るイェソンの肩を引き寄せて。チュッと音を立てて頬に落とされたキスに、イェソンはボンッと顔を真っ赤に染め上げてしまった。

「………お前、やり過ぎ……」

騒めく中でボソリ呟いたのは親友であり悪友でもあるチャンミン。
彼の女装はやはりというか、その聡明な顔を引き立たせるに十分な姿をしていて。何と言うか、悔しいがやはり美女の部類に入るだろう。

「いやぁ…言うねぇキュヒョナ。」

ニッコリとチャンミンの隣で微笑むのは彼の兄であるユノその人。襟足長めのウィックを軽く上で纏めて。その身を青いドレスで包んでいる姿は、なのに何処か可愛らしさを呼ぶ。恐らくはノンビリしたその柔らかい笑顔がそうさせるのだろうが……

「…お前達の式には俺が女装してやろうか?」

不敵な笑みでもって告げたキュヒョンに、チャンミンは一瞬チラリとユノを横目に捉えてから。

「………残念だな。イェソニヒョンだけ呼ぶ予定だ。」

最強と謳われたチャンミンの男らしい笑みに、キュヒョンは肩を竦めるだけに留めた。訳の判らないままニコニコとしているユノと、顔を真っ赤に染めて顔を両手で隠してしまったイェソン。

それを横目にキュヒョンはこれから自分達の披露宴はどうなるんだと、僅かに諦めの溜息を吐き出す。しかし騒がしい周りの声に耳を傾けて、この滑稽とも言える場へと僅かに微笑んだ。
恐らくはイェソンの消えない不安を読み取った兄達が、その不安を打ち消す為にと仕掛けたサプライズ。

少し強引な感もあるが、彼だけが女性の姿をしているのでは無いと。男は皆、女性の姿に。そして女性は皆、男の姿に……
そうする事で違和感すら無くして、不安を払拭させようと動いてくれたのだろう事に何だか胸が熱くなる。

まったく……本当に何処までお人好しなのだろう?

キュヒョンは改めて兄達と……そして周りの仲間達のその大き過ぎる優しさへと。

心からの感謝を込めて、胸の内で頭を下げた。







※あー……長くなってしまいましたよ披露宴編!!
皆の優しい愛が詰まったこのお話。書きたい事が山程で、纏められないこの苦痛…←
そして何故だか他にもカップル居ます的主張(え

披露宴編は次に続きますっ!!長いですが、飽きないでね?
因みにレラ様の女装はそりゃ美しいでしょうなぁ…当たり前か(ヒシカを思い出すww




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