さて。続きでございます。


前回、とうとう初ちぅをしてしまった二人!
何だか早すぎだろ!?な展開に私もビックリしているのですがー(え
ほら、ここの兄さんも何やら手強そうな感じ…しません?←

このままトントンッと上手くいってしまうのか。はたまたそう美味しい事にはならんのよっ!なのか。


それでは参りましょうっ!!
かなりの動揺に兄さん強気でいられるの!?仔犬ギュが狼ギュに大変身だよだけどまだまだ仔犬も見たーーいっ!!なーんて言って下さる、仔犬ちゃん好きな方はどぞっ!!








(あー……疲れたな………)

宿舎のエレベーターへと身を滑らせて、イェソンは静かに息を吐き出した。



【好きの方程式5】



夜遅くの帰宅は久しぶりだ。メンバー全員での活動時には良くある事だが、今は個々の活動が多い。
そうなると、そこまでの忙しさでは無いイェソンは夜宿舎に居る率が高かったりする。
だが今日は、珍しく一日通してギュウギュウにスケジュールが組まれていて。

漸く帰宅出来たのは、深夜零時に差し掛かる頃……

(明日は何時だったかな……)

ボンヤリそんな事を考える。確か仕事は入っていた筈…少し遅めだったら良いなぁ……
上へと昇る狭い箱の中で。寄り掛かった壁の振動が何だか心地好く感じる。
と。不意に意識を緩めた瞬間に思い出す、あの日の出来事。

(………ッ……また…)

途端に眉根へと皺を寄せて。思い出した事を振り払おうと緩く頭を振ったと同時。
小気味の良い音と共に扉が開き、11階へと到着した事を知らされる。
何となく重くなってしまった足をどうにか動かして、イェソンはまた一つ息を吐き出すと、静かに宿舎の扉を開いた。



「お帰り、ヒョン。」

風呂から上がったばかりなのだろう、ソンミンが濡れた髪をタオルで乾かしつつ。ニッコリ笑顔で出迎えてくれる。それだけでフッと体の力が抜けるのは、彼特有の優しい笑みの力かもしれない。

「ただいま……リョウギは?」

上着を脱ぎ、ソファへとドサリ腰を沈めての言葉。
その姿に今日は随分疲れてるんだなと、苦笑と共に冷蔵庫から水の入ったペットボトルを一つ。

「ラジオの収録で遅くなるって。」

ハイ。同時に手渡されたペットボトルに、イェソンの顔が綻ぶ。こうした気遣いをしてくれる弟に、何時も気持ちが柔らかくなる。言葉ではない、心遣い。
仲が悪いんじゃないか…そんな噂があるらしいが、こうした言葉を交わさないやり取りが多い自分達。それ故の噂だろうと、イェソンは思っていたりするのだが。

「お湯、まだ抜いてないけど…」

実はそろそろイェソンが帰宅するだろう。ソンミンはそれも予想して、遅めに風呂へと入っていた。どうせ食事は採らないだろうから、せめて温かい湯で疲れを取って欲しい。
そんな想いでの言葉に、やっぱり出来た弟だとイェソンは笑う。

「お前のそういう所、やっぱいいな……」

ヨイショと腰を上げて、まだ濡れていたソンミンの髪をクシャリ撫でるとそのまま浴室へと姿を消した。
そして残されたソンミンはといえば。

「……あの笑顔……ズルいなぁ…」

撫でられた場所を押さえての言葉。誰もを魅了するあの笑顔を見ると、ドキリとする。キュヒョンの様な恋愛感情では無いが、あの笑顔には皆弱いのだ。

「寝よ……」

何となく照れて熱い頬に、苦笑を零してソンミンはその場を後にした。






「…………1時……」

リビングの時計を見上げて、溜息が漏れる。どうやら浴槽で一時間近く眠ってしまったらしい。ふと意識を戻した時には、湯が冷めてしまっていて寒さを覚えた。やらかしたなぁと思ったが、このまま直ぐにベットに入ってしまえばいい……そう思いながらリビングを通り抜けようとして。

「遅い……」

ボソリ聞こえた声に、イェソンは思わず声を上げそうになった。

「っお前、何時から……」

人が居るなど全く気付かなかった。その上、今は一番会いたく無いその相手ともなれば。尚更……

「僕はヒョンよりも早く、帰ってましたけどね。」

何だか拗ねたその口調に力が抜ける。デカい体を縮こませてクッションを抱き締めている姿など、あまり見ない光景だ。

「ただいまって、言ってくれなかった……」

ムゥッと唇が尖る姿は、何だか可笑しくて吹き出しそうになる。

「わざわざお前に言いに行けって?」

少し近付いて見下ろした先。そこには此方をジトリ目で見上げてくる、仔犬の様な瞳が一つ。


(………だから、その目……)


弱いのだ、その瞳に。甘える様な、でも拗ねたその瞳を見るだけで。無条件に甘やかしたくなってしまう。その上ショボンと垂れた耳と、パタリパタリと元気無く動く尻尾が見え隠れするのだから質が悪い。
飽くまで気のせいなのだけれど。

「ヒョンが……冷たい。」

「…さっき風呂で寝て、湯冷めしたからな。」

何か含んだその言葉に、だけど知らぬ振りをするものの。そこはあの最強の末っ子だ。見逃してくれる訳が無いのだ……だから、会いたくなかったというのに…


「あの日から僕の事…避けてますよね……」


途端に眉尻が下がり、泣き出しそうな瞳を向けられて。そうなると慌てるのは何時もイェソンの方なのだ…
騙されていると判っていても。

「っそんな顔するな……」

そのまま戸惑い気味に頭を撫でようとした手をガシリ掴まれ、力強く引っ張られてしまって。構えていなかった体は簡単にソファへと押し倒されてしまう。
これも彼の、常套手段。

「おまっ!こらっ……離っ」

「さっき、ソンミニヒョンの事……好きって言った。」

「……………は?」

唐突に言われた事に思考が停止する。そうなるともう、主導権はキュヒョンのモノ。何でソンミンとのやり取りを知っているのかとか、何時から見てたんだとか。そんな疑問すら頭に浮かんで来なくて。

「好きって、頭撫でてた。」

図体のデカい子供が親に甘えている光景、とでも言おうか。キュヒョンの体の下敷きにされ、腰辺りをギュウギュウと抱き締められて。胸元へとグリグリ顔を押し付けてくる感触に、やっぱりコイツはガキだ……
そんな風に思いながら。

「……弟として、好きだって意味だ。」

ヤレヤレ。

こうなってしまうともう、拒絶しても仕方が無い。あの日あの時、初めてキスをされてから久しぶりに感じた体温。近付かない様にと……思い出さない様にと努力していたのに。けど………だけど……


「じゃあ……僕は?」


「……………さぁな…」


この体温は、やっぱり嫌いじゃない。
感じれば感じる程、心地良さが増していく温かさ。
これを一体、どんな感情のカテゴリーにすればいいのか……


「それ、好きって意味に取りま」

「お前の脳内はどんな回線で繋がってるのか毎度謎に思うがそのお祭り脳な思考回路を俺に押し付けるなってどさくさ紛れに何しようとしてんだその口糸で縫ってやろうか?」


近付いてきた顔面に押し当てた手がキュヒョンの言葉を塞ぎにかかる。最後はモニャモニャと変な音が漏れるもんだから、思わずイェソンも吹き出してしまったが。

「ヒョンの、イジワル。」

一度したのだからいいじゃないか。そんな口振りのキュヒョンに、釘を刺すことは忘れない。


「もう一生アレをしないか、99%無いだろう奇跡を待つか……どっちがいい?」

「……………1%を、100に変えます。」

「……………言ってろ。」


釘を刺したつもりなのに、逆に言葉を封じられてしまった気がする。こんな恥ずかしい事をペロリ言ってしまう相手に、顔が熱くなるのを感じて。
もう黙れと抱え込んだ頭からクスクスと笑い声が聞こえる。
そして、フリフリと嬉しそうに振られる尻尾が見え隠れ。

「体、温めてあげますからね…」

ギュウウッと体を抱き締められて、イェソンはそれには答えないまま。何時もよりも少し長く、その体温を静かに感じていた。








※おんや……?(激汗
何ですかこの二人結構イイ感じになり始めておりませんかイヤイヤ気のせい気のせっ←動揺w
久々な仔犬ギュ舞い戻りに、兄さんもやっぱり甘くなっちゃうんだなぁと(笑)ドキハラしてた癖にねぇ…

甘えん坊ギュ……俄然力を発揮ちう!
って事で続きます←






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