続きです。

今回は連投となりましたこの好き式。
気持ちを伝え合って初めての記念日となるであろう、二人のこの日を祝うべく。

ええ頑張って書きましたよ猛スピードでっ(サボり癖治らず←
いやはや……この二人を読むのは中々に難しいのです私としては(笑)なのーで少し遅い執筆になりますが、お付き合い頂ければ幸いです………


それでは参りましょう!!
とうとう来たよキュヒョンさんの生誕日!兄さんはどんなお祝いするんだろう?って朝から大胆極まりない?行動しちゃう、何だかんだで言う事聞いちゃう兄さんも大好きだよーーっ!なーんて言って下さる兄さんと共に仔犬をお祝いしたい方はどぞっ!!









「早く食べろ。予定が狂うだろ……まぁ狂った所で、俺は構わないけどな…」

手が止まったまま、ジーッと自分を見つめるキュヒョンへと。イェソンは表情一つ変える事無くチクリ釘を刺した。



【好きの方程式 12】



何がどうなっているのだろう?
確か今日のイェソンの予定は朝8時から雑誌の撮影が入っていると聞かされていた。その後はバラエティ番組に出演し、そのまま今度は違う雑誌のインタビューを受けて。また雑誌の撮影3本と最後は2本のラジオ収録だと聞かされていた。だから誕生日は共に過ごせないと………

なのにだ……壁の時計に目をやれば、既に午前10時を回っている………
そうしてまたイェソンへと目を向けてみると、何とも優雅に珈琲を飲んでいるのだ。
いくらあのキュヒョンといえど食べる手が止まっても仕方のない事だろう。


「えー……と………ヒョン………?」


約束は約束。だからと朝から布団越しとはいえ、自分を抱き締めてくれて。誰よりも早く「おめでとう」を言って欲しいという願いをイェソンは叶えてくれた。
その事にキュヒョンは本当に心の底から嬉しさが湧き上がったのだ……ほんの一瞬だけ。

そう、一瞬だけだった……噛み締めたかったその喜びを、だがイェソンは誰もが見惚れる微笑みと共に。その思考を瞬時に打ち崩す程の言葉を投下してくれたのだ。『次は朝食だったよな?』と……

「あの……仕事は…………?」

未だ夢から覚めていない様な素っ頓狂な顔。それと気の抜けた声を耳にして。
それまで珈琲を優雅に啜っていたイェソンは、軽く肩を竦めてみせた。

「初耳だな……それ。」

何の事だ?なんて軽く言って退けてから、悪戯が成功した様な笑みを口元へと浮かべた姿に今度こそキュヒョンは目を見開いて動きを止めてしまった。

イェソンは時々思ってもいない場面でサプライズを起こす。というか、彼にとってはそこまで大きなモノでは無いのかもしれないが。周りにとっては驚き以外の何ものでもないその行動……

「じゃあ……今日は、一日………オフ………?」

キュヒョンの驚きを隠せない声に、イェソンは笑いを堪えて小首を傾げた。

「早く食べないと……映画観る時間、無くなるぞ?」

言って楽しそうに笑んだ唇に、今度こそキュヒョンは脱力と共にその瞳を恨めしそうに眺め見たのだった。





「…………観ないのか……映画……」

居心地の悪さから、イェソンは言葉少なめに眼下へと目を向ける。広めのソファへと腰掛けてDVDを流し始めた矢先。キュヒョンはそのイェソンの膝の上へと頭を乗せて、腰へと腕を回したまま無言を貫いていた。
テレビ画面からは反対を向いた状態……自分の腹部へと顔を埋めてダンマリを決め込んでいるのだ。

普段であれば引き剥がすソレも、今のイェソンにはそれが出来ない。拗ねてしまったのは自分のせい……
それは自覚しているから。

「ワイン……温くなる。」

キュヒョンへとプレゼントとして買った赤ワイン。高めのソレを二人でと思っていたが、どうやら今のキュヒョンにはそれすらご機嫌を向上させるには至らないらしい。

「……………俺が悪かった……」

溜息混じりにそう言って、ポンポンと優しく背を叩く。それでも返って来ない返事……代わりにギュウギュウと締め付けてくる腕に、若干苦しさも伴って。
グリグリ腹部に押し付けられる顔の感触に、いい加減擽ったさでイェソンはその顔を無理矢理引き剥がした。

「いい加減にっ」

言い掛けてハタと口を噤む。1時間振りに自分の腹部から上がった顔は、見た事の無い程の拗ね具合で……
どうかしたら子供にも見えてしまう様なソレ。
ジー………っと見つめて来た瞳はクリクリしていて、いつにも増して仔犬に見えるのだから。
そろそろ自分は脳がやられてるんじゃないだろうか?
そうイェソンは自分の脳内が本気で心配になった。

「ヒョンは、いじわるだ。」

「……………は?」

やっと口を開けばそんな子供じみた言葉。

「僕がどれだけ我慢しようって……努力してたか知ってます?」

キュヒョンは言うのだ。本当は恋人となってから初めてのこの誕生日を、二人で過ごしたかった。だがそれが叶わない……そう知った時、どれだけ自分がショックを受けたのかと。だけど仕事だから仕方無い……
我が儘は言えないと、そう自分の想いを我慢したのだと。

「お前なぁ………」

言おうとして、またイェソンは口を噤む。
何処の恋人同士にだって、こんな時はある。必ず共に過ごせるとは限らないのだ。だが、キュヒョンはこうした関係になるまでも随分と我慢をしてきた……彼なりに、ではあるが……
そうしてやっと叶ったこの関係に、やりたい事はきっと沢山あるだろう。その一つがこの誕生日を共に過ごす事だとしたら……それを軽くあしらう事など、出来ない。

「もっと……早く言っとけば良かったな……」

休みが取れていたと。仕事だなんて嘘を付いて驚かせてやろうと、そんな事は思わずに。
この甘えん坊で子供で、自分の大切な相手へと……

「ごめんな………?」

サラリ茶色がかった髪を優しく撫でて、キュヒョンの顔を覗き込む。普段は言わない謝罪の言葉と共に……
そうしてやっと不機嫌が和らいだ瞳が、またお伺いを立ててくるのだ。

「今日は僕の言う事……聞いてくれます?」

ジィッと仔犬の目で見つめてくる瞳に、イェソンは一瞬声を詰まらせた後で。

「き………聞ける範囲内、なら………」

無理難題を言われたら堪らない。ヒクリ引き攣る笑みで答えてやると、キュヒョンはそれでも満足そうにニッコリ笑顔でイェソンの腹部へとまた顔をグリグリ押し付けて。それに若干の身の危険を感じつつ、イェソンは今日が無事に終わる事を切に願った。






「ヒョーン。ほら、星が凄いっ!」

白い息が闇の空へと溶け込んでいく。寒さで身が凍りそうだというのに、それすら感じていないかの様にキュヒョンは楽しそうに声を弾ませる。
パーティーも済み、後は最後の約束として残った公園へと足を向けた二人。
何がそんなに楽しいのだろう?大の大人が両手を広げて空を見上げる。その姿に、イェソンは今日何度目かの目眩を覚えていた。

「今日の空は、また凄く広いですねぇ……」

広げていた両手をコートのポケットへと仕舞い、背を向けたままキュヒョンはそんな事を言う。
冬の空は深い……だから時々イェソンも、こうして空を仰ぎ見る事がある。
最後に見たのは、確かつい先日の事だった気がするが……そこはキュヒョンへは内緒にしたまま。

(あの時の空とは……違うな……)

痛い胸を秘めて見る空と、今目の前に広がる空は全く異なる色合いを見せ。イェソンの瞳を惹き付ける。

「………あの時と、同じ空だ………」

不意に呟かれた言葉に空へと向けていた瞳を移せば。それまで背を向けていたキュヒョンが、此方へと振り向き笑顔を見せていた。
それはとても柔らかく、優しい笑み………

「覚えてますか……?僕は一度、此処にヒョンと来た事がある。」

言われて向けられた笑顔に、見覚えのある姿だと一気に記憶が蘇る。あれは………確か宿舎で彼が療養していた時の事。軽く散歩をとファンの居ないだろう深夜に、メンバー達の目を盗みこの公園へと二人で出掛けた。その時は、こんなに寒さを感じる事は無かったが……
確かに二人で来た事が、ある。

「あの時……僕はまた貴方と……何時か違う形で此処に来たいって、そう思ったんです。」

「…………え……」

一瞬何を言われたのか、理解出来なかった。きっと馬鹿みたいに口を開けて目の前の相手を見ているかもしれない。それでも今言われた言葉に、イェソンは驚きを隠せないのだ。
だってそれはまるで………

「あの時、僕は貴方を意識した。」

振り向いていた体が近付いてくる。ゆっくりとスローモーションの様に見えて、なのにイェソンは動く事が出来ないまま。

「此処で僕は………貴方に恋をしたんです……」

そのままフワリ抱き締められて、息が出来なくなった。まさかそんな前に……しかもこの場所でだなんて。

「あの時貴方が僕に言った事……覚えてますか?」

囁きは耳を擽る。それに一瞬背を震わせて、だが言った記憶が思い出せなくて……言葉に詰まる。
それをキュヒョンはクスクスと笑いながら仕方なさそうに言うのだ。

「貴方のあの時の言葉で、僕は夜の空が好きになったんです……」

でも思い出せないなら、その言葉は言わない。
そして何故此処で恋をしたのかも……言ってあげない。

「本当に欲しいモノは……まだ我慢しますから…」

だから、今はこの場所で。


「貴方の……ヒョンの大好きな此処で、僕を抱き締めてくれれば……」

それだけで、今はいい………


「………風邪引いても、知らな」

「ヒョンがあったかいから、平気です。」

「…………………ばかなヤツ。」



何故この今日という日に此処に来たかったのかも。
どうして自分を好きになったのかも伝えて貰えないけれど………だけど、こうして全身で好きを伝えてくる相手に。今は望むそのプレゼントを………



「……誕生日、おめでと…………キュヒョナ……」



そう囁きと共に抱き締めてやると、キュヒョンはとても嬉しそうに抱き締め返して。



「………今日を、ありがとう………ヒョン……」



それだけ呟くと、互いの体温を確かめ合うように。
今日という日を暫くの間、静かに二人は感じ合った。






※……………ん?
も少し甘くなる予定が………何故!?←

急ピッチで書いたコレもギリギリで更新となりまして……スイマセン消化不良くさいですけどーも!!


続きます!!


キュヒョンさん、本当に……おめでとう。





Android携帯からの投稿