続きです。

約1ヶ月ぶり位の更新になってしまいましたが……
皆様前回の内容は覚えておいででしょうか?
のらくらとは言えど、ここまで更新出来なかったのは久しぶりな様な……(汗

待っていて下さる方には本当にスミマセン。
もう三月にも入り、暖かさの感じられる季節が近付いて参りましたね。という事はー……
このお話にも春が来るっ!?(え

なーんて思っておりますが……
どうなんでしょうねぇ兄さん(笑)



という訳で(どんな訳だ)参りましょうっ!!
前回お風呂場で何だかい~い雰囲気になってたこの二人!となると仔犬ちゃんはパタパタ尻尾振り回してるんでない!?いやいや頑固なあの兄さんはまだまだ錬ばってるでしょーよ!?なーんて二人の今後に胸を馳せてる二人ラバーな方はどぞっ!!







「………………それ、また付けてるのか。」

「んー……付けてますよー…」

呆れ半分の声で言えば、のんびりとしたそんな答えが返ってきた。



【好きの方程式 14 】



近頃少し増えた休日。自由な時間が増えると日々の忙しさからの反動だろうか?その分外に出る事も無く、ユッタリとした時間を過ごしたくなるモノ。
好きな音楽を聴いて読書をして……思い立てば買い物などにも出掛けたりと。
イェソンは充実した日々を送っている……筈なのだが。

「お前……どっか出掛けないのか?」

寝そべっていたベットから体を横へと起こし、読んでいた本を伏せると少し離れた場所でパソコンを弄っていた相手へと目を向けた。
パチパチと小気味の良い音を室内へと響かせる指。
そのスラリと長い指は見ていて飽きがこない。
そんな風に思い始めたのは、ここ1ヶ月程の事だろうか?

「……出掛けたいんですか?」

一拍空いてからの言葉。机へと向かって真剣な表情を作る横顔は、普段の彼……キュヒョンの表情とはまた違って見える。とは言ってもやっている事はきっとゲームなのだろうから、その表情とのミスマッチさにイェソンなどは呆れてしまうのだが。

「俺じゃなくて、お前の事だろ。」

何時だってそうだ。キュヒョンは自分の用事で出掛ける事は少ない。こうした休日は、だから大抵イェソンの傍に居るのだゲームをしながら。
イェソンの時間を邪魔するでも無く、かと言って傍を離れるでもなく……
それで彼は本当に楽しいのだろうか?
と、イェソンの近頃の疑問は目下の所そんな事ばかり。

「僕は此処以外に用はありませんから……」

やはりというか、画面から目を離さないままの答え。
だが何となく仄めかされる意味有りげな答えに、イェソンは二の句が継げなくなってしまう。
そうなると途端に居心地の悪い空間が出来上がるのだ。

(……………気まずい……気がする……)

目線を逸らして、またキュヒョンの指を見て。
そうして今度は端整な横顔へと目を向けて、また逸らす……一体自分は何をやっているのだろう?
相手は何ら感じていない様に見えるが、こんな風に静かな空間に居ると……

(あー……また………)

チラリと見た先。横を向いたままのキュヒョンの指……
それがユルリと上がり、そのまま彼自身の唇へと持っていかれる。そうして白く長いその指が……

(……………癖……なんだろうな…)

長い指が彼の唇を撫でるその姿に、胸がドキリと跳ねる感覚……

あの唇を、自分は受け入れてしまった……
何時もの戯れの様な触れ合いでは無くて………
深い深い、キス。
アレを何故受け入れてしまったのかは……未だに判らない。判らないけれど………

(やな………やつ。)

キュヒョンの唇を見る度に思い出してしまうのだ……
あのリアルな感覚を。そうしてまた胸が跳ねるのだから質が悪い。
だからこの部屋にはあまり来て欲しくはないのに。
というか、二人きりのこの空間が気まずいというのに……

「そんなに見られると……勘違いしますよ僕?」

「ッ………な!?」

突然掛けられた声と向けられた視線。
クルリと椅子が回転して真正面へと向く体にイェソンの肩が揺れる。そのまま肘を机に付くと、掌に顎を乗せキュヒョンはニッコリ微笑んだ。

「僕のどこ、見てました?」

クスクス笑って言う姿に腹が立つ。普段から人を食った笑みでこんな風に質問してくるのだ、彼は。
それが何時もの彼ならば、反論する言葉も出てくるのだけれど……

「ぅ………め…」

「え……梅?」

何ともバカなやり取りだと思うが、コレもキュヒョンの遊び心なんだと思うと腹が立つ。
こうも人の心を掻き乱す相手はそう居ない。

「ちがっ!眼鏡だ眼鏡っ!!」

そうしてもう一つ心を掻き乱される原因……

「めがね……ああ、コレですか?」

空いたもう一つの手がスイッと伸びて、フレームを長い指がコツコツ叩く。
そうしてまた満面の笑顔をイェソンへと向けるのだ。

「だってコレ、ヒョンから貰ったモノだから。」

嬉しそうに言う姿にイェソンは頬が熱くなるのを感じた。それを隠す様に半身を起こすと胡座をかきソッポを向いて……
ともすればキュヒョンにとっては浮かれる動作に他ならないのだが、それにイェソンは気付かない。

「………コンタクト……してるだろ。」

だから外せとそう言いたいのだが、そこはあのキュヒョンだ。はて?なんて首を傾げて見せるとユルリ椅子から立ち上がった。

「僕はコレ……掛けてたいんです。」

一歩踏み出す毎に、一歩下がる。

「部屋で伊達は……おかしい。」

ソッポを向いたまま、また一歩下がって。

「でも…………してたい。」

ギシリと片膝がベットへと掛かるのと、イェソンの背が壁へと当たったのは同時。


「それ以上……ちかよ」

「今日も、ヒョンの負け。」


仔犬の様な笑顔は鳴りを潜めて。近付いてきた男の顔に、イェソンは大きく息を吸い込んだ。



キュヒョンが頑なに外さない眼鏡。イェソンから貰ったその眼鏡は、バレンタインの贈り物。
チョコが欲しいとせがむキュヒョンに自分は女じゃないからと。そう冷たく断ったら、瞳を潤ませ部屋の隅に体育座りなんてされた。

そうなるとションボリ垂れた耳と元気なく揺れる尻尾が見える気がして……
チョコなんてモノをあげるのはどうにもむず痒いモノ。だけど………なんとなく。

イベントと託けて、自分へと優しさを向けてくれるキュヒョンへと。あの雪の日に感じた彼の心へと……
何か贈ってやってもいいか……
そう思ったから。

だからと買ってやった伊達眼鏡。
チョコと煩い彼に、チョコレート色をしたフレームをチョイスして。
これで我慢しろと渡した時の彼は……
キュヒョンは子供の様に喜んだ。

そうして訪れた、二度目の深いキスは記憶に新しい。
なのに今………


これは、三度目の………



「ヒョンって、眼鏡に…弱いんですね……」

湿った音に紛れて囁かれる。
だけど、そんなのは知らない……

「コレがあると……逃げない。」

クスッと笑われ軽く唇を甘噛みされ。
そうしてまた深くなるキスは、体に痺れを引き起こさせる。押し返してやろうと上げた手は、そのまま掴まれ行き場を失って。

角度を変える度に目元に眼鏡が当たるから、その度に閉じた瞳を押し開く。

「………これ………邪魔?」

開いた先にかち合った瞳。
強さと優しさを秘めた瞳は、自分の知ってる彼とは違う光を持っていて………

「ッ…………マイナス、30点……」

離された手で眼鏡を取り上げる。
さっきから角度を変える度にゴツゴツと後頭部を壁に打ち付けているのだ。
その痛みとこんな風に仕掛けてくるキスの、これはマイナス点。

「じゃあ直ぐに挽回しないと……」

何時からこんな表情が出来る様になったのだろう?
可愛い弟だとばかり思っていたキュヒョンの……

男の顔に苛立ちを覚える。
こんな風に翻弄される自分は嫌いだ……

スルリと入ってきた舌は、逃げる自分の舌を容易に捕まえてくる。そのままゆっくりと絡んでは優しく舐め上げられて、それだけで背中に何かが駆け上がっていく感覚。そうしてまた頭を壁に打ち付けかけて、でもソレは大きく優しい手に阻まれる。

「また酸欠になっちゃいますよ?」

クスクス笑う顔が悔しい。
バレンタインのあの日、こうしてされたキスは二度目だったがどうにも息が出来なくて。
終わった時には息が乱れて目の前が霞んだ。
だからと囁かれる声に、また腹が立つ。

「じゃ……も、離れ」

「それは、無理。」

何処まで我が儘なんだろう?
というか、貴重な休日に何をしているんだろう自分は?そんな疑問は尽きないけれど。



「眼鏡な僕と素顔の僕……どっちが良いですか?」



傾き始めた日の光の中で。そう言って甘く唇を落としていく相手に。



「…………どっちも、お前だろ………」



悔しいからその唇へと一つの報い。


「ッ……た………噛むならもっと優しく」

「噛まれる位で済んでる事に有り難みを感じろ何ならこのままソコを噛みちぎっても」

「良いですよ……ヒョンになら……」



本当にバカな奴だと思う。
笑顔で言い退ける何処までもバカなこの相手へと、仕方ないから今は大人の顔を見せてやろう。



「手………怪我するなよ……」


「………じゃあ……逃げないで下さいね?」



やっぱりコイツは仔犬だ。

嬉しそうに微笑んだその瞳に、イェソンはまた息を大きく吸い込んで。
その首筋へと腕を絡めた。







※ひっさしぶりの好き式が何だか凄く甘い方向にっ!!(ムハッ←
いやぁ少し前にバレンタイン話を書いてたんですけどね?それが不発のまま終わってしまったので、今回はその反動??(待て

バレンタイン眼鏡事件(笑)はツイショで後程上げようかと思っております故……

興味のあるお方は上がったら覗いてみて下さいませっ←飽くまで未定w