続きです。

だいぶ暑い日が増えてきた四月。
皆様どうお過ごしでしょうか?夜風も温かさを含み始め、月見酒の美味しい時期だなぁと仄かに思いつつ。

この【好き式】も熱いお話となってまいりましたねぇ(は?
Twitter含め、今連載しているお話の中では唯一この二人だけ未だえっちぃ場面が無いって事に気付きましたよエエ私はっ←今更
しかしかし。前回の流れからいくと………ねぇ?
何やらムニャッと有りそうな!?(どんなだソレ


それでは参りましょう!!
狼ギュから逃れた羊兄さん何時の間にやら逆狼に!?仔犬一体どこ行ったのさ!でもでも兄さんからってぇのもアリだねアリ!!なーんてワクワクしつつもお手並み拝見致しましょ?とお姉様気質で言って下さる方はどぞっ!!










伸ばされた腕へと逆らう事無くその身を狭いベットへと滑り込ませて。
身近になった相手の高い体温に、イェソンはその眉間へと思わず皺を寄せていた。



【好きの方程式 17 】



「………熱い。」

ポソリ呟いたのはそんな言葉。
これからしようとしている事など微塵も感じさせないその声に、だがキュヒョンは気にするでも無くただ小さく肩を竦めて見せた。

「熱があるんです。仕方ないでしょう?」

平然とそう言って退けて、イェソンを自身の下へと組み敷くのだから本当に病人なのかと疑いたくなる。

「病人の割には元気なのな。」

暗闇の中。やっと慣れた目で目前の相手を見上げる瞳は何処までも静かで、それにキュヒョンもまた静かな瞳でクスリと笑った。

「その病人を誘ったのは、何処の誰でしょうねぇ?」

サラリ熱い掌で冷えた頬を撫でる。
それにも何ら反応を示さないイェソンに、キュヒョンはまた静かに笑って一言。

「やっぱり、ギブアップ。」

早々降参の白旗を上げると、そのままポフリと重い体をベットへ横たえてたのだった。



「いくらなんでもこのお仕置きはキツイ……」

ハァ………深く息を吐き出しながらのソレに、イェソンは何の事やらとそ知らぬ顔をして見せる。
とは言ってもやはり暗闇の中。その表情を感覚で受け止めてキュヒョンは軽く唇を尖らせた。

「そんな気なかった癖に………酷い。」

狭いベットの上。互いに顔を突き合わせながらの言葉の攻防戦とは、傍から見たらおかしな光景かもしれない。

「判ってて乗るお前もお前だろ。」

そう。イェソンは抱かれる覚悟をした訳では無かった。というか、はなからそのつもりも無かったのだ。
なのにこんな形でキュヒョンを刺激したのは少し……いやかなり酷な事だったとも思う。
それでも確かめずには居られなかった……

「ちゃんと見てるんだな……お前………」

そっと触れた頬はやはり熱い。
高熱と言われるに近い体温だろうその頬に、イェソンの胸がチクリと痛みを発する。
反省しろとそう言った……冷たい水を浴びせ掛けて、頭を冷やせとそう言ったけれど。

「バカなやつ………」

どれだけ長時間水を浴びたらこうなるのだろう?
自分の言った言葉にどんな想いであの冷たい水を浴びたのだろう?

「バカなんです………僕は。」

擦り寄る様に掌へと熱い頬を寄せられて。
その言葉は何処か感傷にも似た響きを含ませる。

「好き過ぎて、相手を見る事が出来なくなる。」

だから頭を冷やすのにも時間が掛かったのだと、そう言って笑う相手に本当に嫌なやつだと……
どうしてこうも意表を突いて本当の想いを口にするんだと………



「だから………嫌なんだ。」



こんな風に胸を締め付ける言葉なんて要らない。
相手の言葉次第で自分の気持ちが左右されるなんて、バカげてる。
そう今まで思っていた筈なのに………
だから深みに嵌らない様にと、強い自分でその想いに背を向けていたのに…………



「お前の、せいだ………」



こんな風に苦しくなるのも。
本当の想いを時折見せられる事にも………
その想いに痛い程に反応するこの心が………だから嫌いなんだ。


「な、んで……俺を俺で、いさせてくれない?」


なんで…………何でお前は…………


「俺に………っ好きにならせたんだよ………」


「それ…………メチャクチャ嬉シイ言葉ナンデスケド…」



バカみたいに嬉しそうに笑う顔を見たくない。
本当に反省しないといけないのは、自分なんだと知らしめられている気がするから。
本心を言わせてやれない自分に苛立つか

「せっかく我慢してるのに……我慢出来なくな」

「前言撤回お前のその熱を今から脳内で沸騰させて爆発させてやろうかきっと世界記録としてギネスに載れ」

「ヒョンに好きって言えなくなりますよ、僕?」



やっぱり素直にさせてやるには早すぎた気がする。
こんなんじゃ、心臓が幾つあっても足らない………


「気色悪いかお………」


「いいんです。好きだから。」


言いながらコツリ額を合わせてきて、腫れたタンコブに思わず額を抑えて痛がる姿に笑う。

今はまだ、これ位が丁度いい。そう今は………

だけど何時か………



「いつかヒョンが僕とまた、あの星達を……そう思ってくれた時に………」


思った言葉を横から攫う様に。



僕はヒョンを。



「貴方の全部を、貰います………」



「……………キュヒョン………?」



一瞬消えた筈の何か……そのビジョンが見えた気がした。

それは霧がかった映像でしかないモノなのに、見覚えのある様な………

「いきなり寝るとか………やっぱ、犬。」

熱で急速に深い眠りへと落ちた相手。
その相手の手がいつの間にか自分の手を握り締めている事に苦笑が漏れる。


だから仔犬扱いなんだお前は。


そんな事を思いながら早く熱が下がるようにと。
腫れて痛いだろう額へと静かに唇を寄せたまま。


イェソンもまた、消えた記憶を探る様に深い眠りへと落ちていった。






※まさかのエロ無しっ!!!!←

ええ皆様。我らが愛しの兄さんはやはりというか、やらかしてくださいましたよエサ目前でのお座りっ!(待てw
そしてそしーてこのお話での重要な鍵となる兄さんの消えた記憶をポロリ仄めかすキュヒョンさんって熱が出てると無意識に口が緩むんでしょうなエエ←

謎に包まれた記憶を兄さんは何故消しているのか。


続きます。