暑い日が多くなった昨今。皆様どの様にお過ごしでしょうかお久しぶりです胡蝶にございますよって、あ、知ってる?
いつの間にやらGWも終わった中。今日も今日とて私はギュイェワールドへと頭からドップリ浸かっていたりたり(笑

はてさて今回は久しぶりな短編を書いてみました。
というのもこの度アメンバ様が400という数字へと達しまして……最近では滞る更新である此処を、それでも訪問して下さる皆様へと感謝と御礼を。
とは言っても私の出来る事はお話を書く事位なので……

皆様へと私とウチの二人から「ありがとう」を心から。あ、でも期待はしないでくださいましね私の書くモノなのでヘンテコワールド全開やもしれませぬ故←



それでは参りましょうっ!!
久しぶりな短編は前後編だよっ!今回の二人はどんななの?勿論えっちぃ場面もあるよね?なーんて私同様、何処までも貪欲に二人を好きだと叫べるえっちぃ方はどぞっ!!(おまっ










【Lips(前編)】



穏やかな風が流れる春を過ぎ、そろそろ陽射しが体を強く差し始める夏の訪れを感じる頃。

突如訪れた二日間の休暇をメンバー達はそれぞれに満喫していた。ドライブと託けて朝から出掛ける者も居れば映画やショッピングをと午後から出てしまった者も居る。
そんな中でイェソンは自室にて。ベットヘッドへと背を預けたまま緩く訪れる午後の空気を満喫していた。その耳はイヤホンという名の機械で覆われて、膝の上へと乗せた雑誌を目で追いつつ口元は仄かに小さな音を奏でる。

イェソンという人物は同時に数種類の動作を行える体質らしく、その光景を見る度に「楽しめてるのか?」「疲れそう…」等と皆が口々に言っていたりするのだが。
今まさにその光景を目前に軽く溜息を吐く人物が一人。

(また歌ってる………)

部屋のど真ん中。その床へと腰を下ろし、同じ様に床へと置いたノートパソコンのキーをパチパチと鳴らしながら。キュヒョンは毎度の事ながら目前で繰り広げられる光景に一つ溜息を吐き出した。
普段から休日は共に同じ部屋で過ごす事の多いキュヒョンとイェソン。今日も今日とて当たり前の様にイェソンの自室へとパソコンを持ち込み同じ空間を静かに共有していたりするのだが。

(誰の歌だろ……)

キーを叩く音に紛れて聴こえてくる声は本当に僅かな音。だがその音は静かな室内へと緩やかに落ちていき、キュヒョンの耳へと心地良く響いていく。
毎度ながらのイェソンの行動に半ば呆れはするものの、彼の声が知らない歌を奏でるだけで興味の対象となり得るのだから不思議だ。
それはキュヒョン自身がイェソンの声とその歌唱力。そして人へと音で伝える表現力を高く評価しての事なのだが、それをイェソンへと伝える事はない。

「ヒョンは嫌いな音楽とか無いんですか?」

自分の声が届くだけの音量で聴いている事は知っている。だからと不意に聞いた事へも、イェソンは数種の動作を行いながら当たり前の様に答えてくれるのだ。

「音にはそれぞれ想いがある。それを嫌うのは、ソイツの身勝手な感情でしかない。」

要するに嫌いな音楽はナイ。という事かと毎度ながらのこ難しい言い回しにキュヒョンは軽く肩を竦めた。
イェソンという人物は本当に音楽を……音を愛して止まない人間だ。肌に合わない音も恐らくはあるだろう。それでも音楽とは一つ一つの音を愛して止まない者が作っているから。それを嫌うという行為は同じ音を愛する者としては許し難い行為でしかない……

一つの筋を貫くそんな兄を、だからキュヒョンは普段は彼をからかったりしているが心の奥底では尊敬している。そうして吸収出来る事の多いこの相手の傍に居る事が心地良く、何時も同じ空間を共有しているのだけれど。

また独自の世界へと戻ってしまったイェソンの仄かに響く声へと顔を上げたキュヒョンは、ふとある一点へと視線を釘付けにされた。

(……………なんか……)

それは時折訪れる、奇妙な感覚。
普段は信頼する大切な兄だと思っている彼の……
イェソンの二人きりの時に見せるその唇の動き。

(やっぱ………美味しそ……)

そう。時折そんな事を思い目が離せなくなる時がある。別にイェソンへと特別な感情を抱いている訳では無い。寧ろ少し変人めいた彼を時々面倒だと感じる事すらあるというのに、だ。

なのに何故か魅入ってしまう、その唇………



「……ソコって、何時も手入れしてるんですか……?」



また掛けた声は音量を大きくしてしまったのだろう。イェソンの耳に届く事は無く答えの無いまま虚しさだけを室内へと落としていく。
それも何時もの事なのだけれど……
だから普段は直ぐに頭を切り替えられる事柄な筈なのに。

「言わないなら……確かめちゃいますよ…?」

この日は何故か切り替える事が出来なくて……

そうそれは本当に気まぐれな感覚。
ただ彼の……イェソンの唇を。


瞳を捕らえて離さない、仄かに音を奏でる唇の。その感触を感じてみたかった。

たた、それだけだったのかもしれない…………






「っ!?」

歌へと入り込んでいたからだろう。瞳を閉じて音を奏でていたイェソンは、その柔らかな感触に思わずその瞳を大きく押し開いた。そうすれば目前にはボヤけた影が一つ……
至近距離でのその姿に一瞬何が目前を遮っているのかすら判らなかった。
だが自身の唇から感じるその感触……

それを感じたと同時。

視点の合わないまま閉じる事の出来ないその黒い瞳へと。やっと認識出来たのは、見慣れた弟の澄んだ瞳。


「………ッ…………」


自分の唇へと何が触れたのか認識した瞬間、イェソンの喉がコクリと空気を飲み込む。それを合図に触れ合わせていただけの場所が離され、少し視点の合う様になった目前の相手をイェソンは呆然と見つめた。

「『…………………』」

「…………は?」

パクパクと動く弟の唇に素っ頓狂な声を上げる。
音量を上げたイヤホンからはイェソンの惹かれる声が奏でられているというのに、その声すら今は遠く聴こえる気がした。

そうして目前の相手。キュヒョンはまたその口を開くのだ。今度はイェソンが読み取れる程の、ゆっくりとしたその動きで……



「『キス、していいですか?』」


「…………え………?」



返事は一瞬。問い掛けとも言えるソレはそのままキュヒョンの唇へと吸い込まれていく。
何がどうしてこんな事態になっているのだろう?
深く考えてしまうとイェソンは脳以外を動かす事を忘れる。塞がれた唇で弟の名を呼ぼうとして、開いた瞬間に差し入れられた生暖かいモノにビクリと肩が揺らいだ。


「…………ッ………ンッンンッ……」


『キュヒョン。』と呼んだつもりだったのに声は言葉を成さない。代わりに自分の耳へと聞こえてくるのはやはり好きな歌声と、その合間に耳へと響く自身の鼻に抜ける声。

ゆっくりと絡め取られた舌は逃げる事を忘れる程の痺れを来たしていく。
角度を変える度に深くなっていくキスは、その合間に柔らかく唇や舌を吸われて。
乱れ始めた息に苦しさからイェソンはやっとキュヒョンの胸元を軽く叩く事に成功した。

その講義に舌の裏側をゆっくりと舐め取られて、同時にイヤホンをユルリと外されながら。



「やっぱり、柔らかい。」



眩暈のする様な甘さと息切れの合間にやっと聞こえた弟の声は、何処か艶を含んだ響きを模していた。







※さてはて短編と銘打ちましたが長くなりそうなので前後編に分けます。
後編は、ねぇ?(何だよ

危うい場面がドドーーーンッ!!なると思われますので限定とさせて頂きますレッツえっちぃ世界へGOっ←止まれ