このお話ではまたもやお久しゅうございます【正きも】番外のはーじまーりだーーーいっ(は?


以前Twitter内にて、ちょっとした妄想を呟いた所。それをお話にして欲しいとのお言葉を頂きまして。
なので今回はリクエストにお答えして、読みたいと言って下さったその方への誕生日プレゼントという形でこのお話を書こうかなぁと←やはり唯我独尊w

皆様もそんな私の唯我独尊に巻き込まれて下さいませ(え


という訳で参りましょう!激甘ギュイェが戻って来たよっ!だけど今回はちこっと様子が違うかも?ションボリふるふる兄さんと、何処までも甘やかし上手な優男の日常覗いちゃおうっ!なーんて言って下さる私同様可愛い兄さんも大好きだーーっ!と雄叫んでくださる方はどぞっ!!







『手にしたら満足が先立つ……だから次へと執着し始めて……それは駄目だってね?判ってるんです。なのに、止められない……』

『…………』

『だからもう……離れた方が、いいのかもしれない………』



淡々とした口調でのその言葉が、今も耳から離れない……



【正しい気持ちの伝え方・番外(迷心・前編)】



何時もの様に夕食を作り、何時でも温かい湯へと浸かれる様にと浴槽も綺麗に洗った。洗濯物には綺麗にアイロンをかけて布団も干して、部屋も全てピカピカにした……

「今日も、頑張った。」

奥様としての役割は旦那様の居心地が良い空間を作り上げる事。そうリョウクから耳にタコが出来る程教えられた。だからと結婚してから早一年……それを守って頑張って来たつもりだ。

そしていつの間にか宿舎で生活するよりも、別邸として構えた新居で寝起きをする時間が増えた気がする。
それは互いが互いを求める時間が前よりも増えたから……忙しい時間が多くなった分、共に居られる時間を深く共有したい。その想いから週の半分以上を別邸で過ごす様になったのだけれど。


「…………今日も………頑張ったもん……」


呟きは広いリビングへと響いていく。
二人だけでもバカみたいに広いこの空間……その中でポツリ。リビングの中央部分へと立ち尽くしたままイェソンは白く広がる床をただ見つめていた。

カチッカチッと鳴り響く時計の音が虚しく耳をすり抜ける。その音を合図に思い出すのは、つい先日のあの瞬間………

「…………ッ……」

それを思い出すだけで胸が張り裂けそうになり、イェソンはキュッとその唇を噛み締めた。

「だいじょうぶ……だいじょうぶ。」

震えそうになる声に目頭までが熱くなり始める。
もう直ぐ帰って来ると連絡があったのだ。だから、大丈夫………

「…………泣かない。」

またポツリ呟いて。イェソンは細く震える息を静かに吐き出した。




「ただいま帰りました。」

玄関での出迎えは恒例行事に近い。おかえりと言えば優しく額へと唇が落ちてくる。それが嬉しいのに、イェソンは同時にチクリと胸に何かが刺さる気がした。

「今日は何をしてたんですか?」

優しく微笑んで旦那様……キュヒョンはイェソンの髪を緩やかに撫でてくれる。こうした時間がイェソンはとても好きだ。自分よりも大きな手で撫でてくれるその場所から、暖かな想いを貰える気がするから。

「いつもと、同んなじ。」

「じゃあ今日も、頑張り過ぎです。」

ダメでしょう?そんなに頑張っちゃ。
そう少し困った様にキュヒョンはイェソンの頬を優しく撫でる。これもお決まりの行事ごと。
それに何時もイェソンは無言でフルフルと首を横に振るのだ。だってリョウクに教えてもらったから。
旦那様を迎える場所は、何時も綺麗に。

それは心の中での言葉。未だ頬を撫でる手をキュッと握りイェソンは無言のままグイグイとキュヒョンをリビングへと連れていく。どうかすればトテトテと音がしそうな歩き具合に何時もキュヒョンは笑ってしまいそうになるのだけれど、それには気付かぬままリビングへと辿り着き。

ジーッと暫しキュヒョンを見つめた後で。


「お風呂。」


ここは奥様の腕の見せ所。どちらが先か当ててその用意をするんだと、コテリ首を傾げて何時もの様に返答を待つ。そうすればキュヒョンは嬉しそうに微笑んで同じ様に首を傾げて見せるのだ。

「貴方は外れた事が無い。」

どうしてでしょうね?なんて聞かれるから、イェソンはチラリとキュヒョンへ視線を送った後で。

「奥様だから。」

そう言って、また胸がチクリ………

「………一緒に入りますか?」

少しの間を置いての言葉にイェソンはユルユルと首を横に振った。ちょっと前までならコクリと頷いていたその首の動き。だけど、今は……ダメ。

「掃除で汗、かいたから。」

だから先に入ったのだと。
目前で静かに瞳を向ける旦那様へとそう告げる。

「……なら、ご飯は一緒に……ね?」

やっぱり優しい旦那様はそう言って、湯は自分で入れるからと何か言いたそうな瞳を伏せて浴室へと足を向けた。



(だって………俺は、良い奥様だから。)


パタンと閉められたリビングの扉へと、それはやっぱり心の中での呟き。

キュヒョンに髪を洗ってもらうのが好きだ。優しく髪を労る様に洗ってくれるから。そうして湯槽へと二人で浸かる時間は至福の時……
何時も彼の背に凭れて眠りそうになる。それがとても楽しみで、だから彼の帰りを何時までも待っていたりした日々。

「だめ………」

呟きと同時にまたあの時の言葉が蘇る。

『今思うと失敗だったのかもしれない………そう思ってしまう自分が嫌なんです……』

どうかすれば今にも耳を塞ぎたくなる様な、その言葉。

『お前……っ…』

何処か怒りにも似たヒチョルの声が何だかリアルを際立たさせていた。

『最低なのは判ってます…でも今は近くに居るだけで…正直辛い…』

自傷気味に。だけど苦しさを胸に秘めたその響きに、息が止まった。



「…………っ……だめ……。」



思い出してはイケナイ記憶。
それは自分にとって、信じ難くもあり有り得てはならない出来事………

『ジョンウナは知ってるのか……?』

そうヒチョルが問い掛けた声に、キュヒョンは暫く押し黙った後で。誰にも聞かせたく無いという様な、本当に小さな声で囁いたのだ……



『言えないから……だから、苦しいんです……』



「ッ……………や……………」



氷を背中に落とされた様な……そんな感覚が背筋へと走った。思い出してしまった記憶に足が震える。
もうアレは一週間も前の事だ……
きっと何かのふざけたゲームにも近いやり取りなんだと。

そう思おうとしているのに。


心は思う様にそれを受け入れてはくれない………


「……………っだって……『愛してる』って、言ったもん……」



『僕達の身体が尽きたとしても……心は永遠に……』



そう言ってあの砂時計を渡してくれたのは、キュヒョンじゃないか。



「一緒…だって……ずっと、一緒って………」



「やっぱり何か、隠してた………」



返事のナイ筈の呟きへと返って来た言葉に、イェソンは一瞬にしてその身を凍りつかせた。






※これまた長くなりそうなので、(前中後編)に分けさせて頂きます。

何がどうして兄さんをこんな状態へと向かわせたのか……というか【正きも】で兄さんの心情書くのって実は結構稀な気がっ←忘れてるだけやも(オイ
そして兄さん目線だと謎が謎のままっていうね…

さてはて中編では優男の優男たる言われを存分に発揮して頂きたいですな優男ファイトーーーっ!!(どんなだ