中編です。
やっぱり纏める力の無いワタクシは前中後編に突入でございますってアア皆様知ってらっしゃった?
ならば話が早いですよ仕方ない奴だなぁと肩を竦めて笑ってやって下さっ(おいコラ
さてはて続きな今回は優男さん目線でお話を進めて参りましょか。
兄さん目線ってのは実は苦手だったりするのですよ兎角この【正きも】ではね(え
だって皆様。優男さんの目線で見る【正きも】は、甘さが倍増するでしょう?←どんな言い訳
それでは参りましょうっ!!何が起きたの兄さんに!?ちょっと優男さん早く何とかしなさいよっ!!兄さん目線じゃ何が何やら判らないって!なーんて足をダンダンッしながら頭掻き毟る勢いで二人を愛でたい方はどぞっ!!
「一緒…だって……ずっと、一緒って………」
「やっぱり何か、隠してた……………」
ビクリと揺れた肩に、キュヒョンは静かにその目を細めた。
【正しい気持ちの伝え方・番外(迷心・中編)】
大切な奥様が近頃おかしい。
そうキュヒョンは思っていた。それは本当に数日での出来事………そうだ。
自分達の兄であるヒチョルが別宅へと訪問してから奥様に異変が起きた………気がする。
キュヒョンは深い思考へと嵌りながら浴室へと足を向けていた。
ヒチョルが帰った後から愛しい人は自分へと甘えを見せなくなった。
いや………普段と変わらず何かにつけてペタリと傍に寄り添ってくる。料理が美味しいと言えばホンワカ笑顔を返してくれるしコテリ首を傾げて自分を見つめてくる様は、直ぐにでも食べてしまいたい衝動に駆られる程だ。
そんな愛しい奥様の、近頃の様子が何だかおかしい。
(ヒョンが何か言ったのか?)
ピタリ歩みを止めて顎へと手を当てる。あのイェソンの事だ……何を言われたのかは判らないが、それを素直に受け止めて何か行動を起こしているのかもしれない。毎日の出来事を事細かに伝える事をしなくなった。眠りに就くその瞬間まで口を動かしていたのに、今は黙ってピタリと寄り添うだけ………
そして時折苦しそうに顔を歪めるのだ、それは一瞬にして消える表情だけれど。
今までのイェソンの、それは真逆に近い行動。
本人が何か言い出すまで少し見守る事にしていた。無理矢理聞き出すのは本意じゃない………だが、もうそれも限界だろう。だって今のイェソンは、何かとても苦しい想いを隠している気がするから……
キュヒョンは顎に当てていた手を外すとクルリ踵を返してリビングへと足を向けた。
そうして、今……………
「一緒にって……それ、僕との約束の事ですね……?」
ビクリ揺れたまま固まってしまった背に問い掛ける。
あの呟きは、式を挙げる前の日に自分が彼へと贈った言葉だ。イェソンが何を思ってそんな事を呟いていたのかは判らない。だがあの声の響きは明らかに……
「僕のいない所では泣かないって………約束しましたよね?」
優しさを含んだ声での言葉。イェソンは時々キュヒョンのいない所で涙を流す。それは悪い事では無い……辛さを隠して一人泣きたい時もある。それは構わないのだ……だが自分が関わっている事となれば、別。
「僕の事で貴方が痛い想いをするなら、それは僕の責任です。」
だから自分の前で泣きなさいと。
そう約束をしたのだ二人は………
「ここ数日、貴方は何かを堪えている………それは知っていました。」
背を向けたままのイェソンは未だ何も言わない。代わりにキュッと小さな手が自らの服の裾を握り締める姿が目の端に映る。こうなってしまうと思いの外頑ななのだ、彼は。
「だけどそれが僕のせいだとは……正直気付けなかった。」
言葉と同時に肩へと手を置いて。そうすれば弾かれた様に首をフルフルと横に振るイェソンが一人。
「………僕は貴方の、何を傷つけ」
「っ違う!!」
向けられた背はそのまま。苦しさを含んだ声が室内へと響いた。そのまま顔を伏せてイェソンは慌てた様に言葉を紡ぐ。
「こ、今度ラジオで芝居するから……その練しゅ」
「貴方に嘘は無理です。」
「っうそじゃな」
「ならソレを、僕の目を見て言えますか?」
掴んでいた肩を強めに引いて言った事に、イェソンはまた声を詰まらせた。
「ほら………僕に嘘は、通じない。」
瞬間、イェソンはキュヒョンの手を振り払おうと肩を動かした。外れた手にそのままリビングを出て行こうとする体を、しかしそれをキュヒョンが許す筈がない。
「行かせません。」
掴んだ腕をまた振り解こうとイェソンの体が動く。
「ッ………やだっ!離し」
「こらっ、暴れな」
「やっ!バカっ!!はなっ」
「バっ!?…………ちょっ……落ち着きなさい!」
言うと同時に暴れる体を背中から抱き竦めた。
いや正しくは拘束したの間違いかもしれないが、強く抱き締めた体はまたビクリと震えてピタリ動きを止める。それにフゥッと小さく息を吐き出して、キュヒョンはイェソンの肩口へとその額をソッと寄せた。
「………人にバカなんて、言っちゃ駄目でしょう…?」
静まり返った室内にそんな言葉が落とされる。
それはキュヒョンの優しさからの言葉。心を乱したイェソンを落ち着かせる様にと、態と軌道を外してくれるのだ。
「それとも僕の事、本当にバカだって…そう思ってる?」
ん?なんて囁きながら。その体温は肩口から背中……そうしてイェソンの心へと優しい熱を伝えていく。
「確かに僕はバカなのかもしれません……」
動かないままの体を一層強く抱き締めて。
「『バカ』と言うその唇すら、愛しい。」
「……………ッ……そ、つき……」
言った言葉にフルリとイェソンの体が震えた。その体をキュヒョンは黙ったまま抱き締め続ける。
「て、に入れたら……飽きるって……言った。」
「……………………え…?」
ポツリ震える声で囁かれる言葉に疑問が湧く。
「次が…欲しくて、わ……かれたい……って……」
プルプルと震え始めた肩に額を寄せているのは若干酔いそうだ。
「だから俺っ…………もう我が儘、言わない。」
「……………ヒョン?」
嗚咽の入り交じる声に顔を上げても、愛しい人の表情は見えない。
「帰って…くる旦那、様が……気持ちいいって。」
何を言っているのだろう?
「また……帰って来たいって………」
彼は一体何を…………
そう思うキュヒョンの胸の内は置き去りなまま。
大きく揺れた体と共に、顔だけをキュヒョンへと向けて。
「俺………もっと…がん、ばるから………」
部屋も綺麗にして、我が儘も言わないから………
「俺を…捨、てちゃ…………………や。」
息をもつかせぬキスがイェソンへと降り注ぐ。
聞いた言葉を打ち消す様なそのキスは、イェソンの身体の力を根刮ぎ奪うには充分なもの。
そのままカクリ膝の力を失いイェソンの身体は床へと崩れ落ちた。
「ッ………ァ………やっ……」
何とか言葉を紡ごうとする唇。それすらも今は許さないとキュヒョンはその唇を塞いでいく。
「僕が貴方を、捨てる……?」
絡めた舌を甘噛みしながら、熱に浮かされ始めた身体へと指を滑らせる。それにイェソンはヒクリ喉を鳴らして身を捩らせた。
「飽きて、他を探すって……?」
何処か冷たさを帯びる響きはキュヒョンが本気で怒りを胸に秘めた時のもの。
どうしてそんなバカな事を………
イェソンの耳に届くか否かのその呟きの後で。
「なら、判らせてあげましょうか…………貴方の全てに。」
普段は砂糖よりも甘い彼の………キュヒョンの激しいその一面。
「僕の想いを、知ればいい。」
熱く怒りにも似た切情の篭もった瞳に、イェソンは言葉すら発する事が出来なかった。
※前中後編になりますエエまさかの優男大暴走っ!!
なーんて事が起こりうる………?
こんな風に怒る優男が居たなんて、私も思いませんでしたよ皆様後編でお会いしましょうっ←作者振り回され現象勃発中(えー