続きです。

約1ヶ月ぶりの更新でございます。
待っていて下さる方が居るかは判りませんが、長々と更新しないまま本当にスミマセン。
ちょいっと私情がバタバタしておりまして。
Twitterの方も今はお休みしているのですがー……

皆様、ギュイェ愛は健在でしょうか?
私は未だ冷めぬ二人への愛をこう、虎視眈々と胸に秘めつつ煩悩のままに私生活を(何時もの事だろ

さてはて前回のお話を忘れてしまった方も居るやもしれませんね。何せ私も読み返した位←
何だか拙い文章だなぁと読み返す度に反省ばかりですが………


それでは参りましょうっ!!忘れた方は読み返してみてねって堂々宣言しちゃうよ前回は仔犬が大人の顔見せちゃって兄さん危うくパックンいかれちゃいそーだったね。反省からの熱出しちゃった仔犬ちゃんは元気かな?早く二人のアレコレ見たいよ休んでる場合じゃないよ胡蝶さんっ!!なーんて言ってくださる私に甘くない方はどぞっ(Мっ気はありません/え







『ヒョン……何処に行くんですか?』

訝しげに声を上げてユックリと後ろを着いてくる弟に。

『んー?行けば判る。』

そんな事を言いながら、仄かに白く吐き出された自分の息を。あの時の俺は目を細めて眺めてた。



【好きの方程式 18 】



(…………ホントに夢で見るとか……)

ゆるり開けた瞳には、見慣れた天井がボンヤリと映り込む。此処が自分の部屋で、辺りの暗さからまだ眠りに着いてそんなには時間が経っていないのだろう。そこまで思考を巡らせて、イェソンは自分の目元を隠す様に重い腕を押し当てた。

あの日。キュヒョンが熱を出したあの日……
普段は仔犬の様な彼の、男の姿を見た。それは今までに感じた事のナイ、強さと男の色気で以て。強引なその腕にイェソンは思わず頭突きと共に突き放したけれど……反省したらしいキュヒョンはバカみたいに水を頭から浴びて風邪を引いたのは、記憶に新しい。
その時に言われたのだ。


『いつかヒョンが、僕とまたあの星達を…………そう思ってくれた時に………』



貴方を貰います……………



思い出した瞬間、ゾクリと背筋に何かが走るのを感じた。サラリと言ってのけた相手は恐らく本気だろう。だから、困るのだ。
その真摯な眼差しと、なのに何処か柔らかく微笑む姿に胸が煩く騒つく。

(俺、年上なのに………)

何時だって自分を掻き乱す相手に腹立たしさが沸き立つ。だけどソレが嫌ではナイ自分もいて………

あの時、イェソンは確かに思ったのだ。



失われた記憶を、夢で見れたならーーーー………



それを望んでいる自分は、つまり………

「っ違う俺は全くそんな事は思ってナ」

思わず口にしていた言葉に自分自身が驚いた。考えた事を慌てて否定しても、上昇した頬の熱は冷める訳もなく。そうして本当に見てしまった夢は、やはりというか肝心な事を思い出させてはくれないモノで。

(漫画の見すぎか?)

まるで漫画に出て来る登場人物の様な……一人で無用な事を呟くその行動へと若干落ち込む。そのまま頭上の時計へと目を向ければ、まだ深夜の1時過ぎ。
明日は確か、自分だけオフだった筈……
少し考えを巡らせてから、イェソンは充電器へと挿しっぱなしとなった携帯を手にして。ベットからスルリ抜けると、一つの番号を呼び出しつつクローゼットへと手を掛けた。






「こんな時間に呼び出すなんて……やっぱり貴方は常識というモノが欠落してるんですねぇ。」

「お前………相変わらずキツいな…」

至極当然の事を言ったまでだと隣で冷めた目を向ける相手。チャンミンは車のエンジンを止めると、シートベルトを外し大きな音と共に座席を後ろへと引き下げた。

「本当は何処か飲める場所にでもと、思ったんですけどね……」

またチラリ冷たい視線を受けて。それにイェソンはバツが悪そうに外へと目を逸らした。
今のイェソンの姿といえば、寝巻き代わりの白と黒のボーダー入りの薄いトレーナーと黒のスエット。それにジャケットだけを羽織ったという正に軽装。
対してチャンミンはといえば、白のシャツに黒のパンツ。その上から軽めの黒いコートといった、軽装に見えて何処か上品さを兼ね備えた出で立ち。

「どっか行きたかったか?」

呼び出した手前、申し訳なさもありそう声を掛ける。だがチャンミンはそれに軽く溜息を吐き出した後、柔らかい目線と共に頭を座席へと軽く預けた。

「明日も朝から仕事なので、大丈夫です。」

チャンミンの朝からというのは、結構な早さからの仕事なのだろう。しかも聞けば仕事が終わり帰宅途中だったというのだから、申し訳なさが一層胸に広がっていく。それに気付いたのだろう、チャンミンは息抜きにドライブをしようとしていたからと。
そんな風に笑うから、気遣いの出来る弟にイェソンは肩の力が抜けた気がした。

「ユノは別か?」

「ああ、ヒョンは僕より早く終わったんで……今頃部屋を散らかしながらゲームでもしてるでしょう。」

サラリ言ってのける姿にから笑いが出る。片付けの出来ない兄を持つと色々と大変らしい。夜食は朝作っておいたからと平然と言う姿も、自分達のマンネとは大きな違いだとキュヒョンが聞いたら憤慨しそうな事をイェソンは思ってしまう。

「で?僕に何が聞きたいんです?」

突然切り出された事に、落ち着いていた筈の胸がドキリ跳ね上がるのを感じた。

「こんな貢ぎ物を貰ったら、応えない訳にはいかないでしょう?」

クスリ笑いながらイェソンの足元へと置かれた大きな袋を取り上げる。その中にはチャンミンを待っている間にコンビニで買ったのだろう。数種類のパンやオニギリ、それに弁当や多種多様な菓子から飲み物に至るまで……到底一人では食べきれない量のソレが詰め込まれていた。

「このお酒は……貴方のですね。」

カサリ音を立てつつハイ、と手渡されるソレ。甘めの缶チュウハイはチャンミン好みでは当然、ない。それを彼も判っているのだろう自分用にと缶コーヒーを取り出すと、プシュッとプルタブの音を立てて乾杯なのだろうイェソンの持っていた缶へとコツリ。
そのまま缶コーヒーを美味しそうに飲む姿に、イェソンもまた缶チュウハイのフタを開け一気に半分ほど喉へと流し込んだ。

「あいつ、おデコは治りました?」

どう切り出していいのか判らず黙ったままだったイェソンに、チャンミンは軽く声を掛ける。
おデコとは、あの熱を出した日に自分が彼へと頭突きしたアレの事だろう。確かその数日後にキュヒョンはチャンミンと呑みに出掛けていた。だから知っているのだろう事に、イェソンは眉間に皺を寄せつつ口を尖らせる。

「自業自得だろアレは……もっと腫れさせとけば良かった。」

「………素直じゃナイですねぇ…相変わらず。」

ふーんと、クスクス笑いながらチャンミンは袋から取り出したオニギリへと齧り付く。美味しそうに食べる姿は昔から。それをペロリ平らげて次はパンへと手を出すのだから、食欲は昔のままなのかと呆れてしまう。そのまま次々と胃袋へ収まっていく食べ物達に、何故コイツは太らないんだろうと当初の目的も忘れて呆気に取られていた時。


「教えてあげませんよ……僕は。」


不意に発せられた言葉に何を言われたのか、瞬時には理解出来なかった。まさかまた漫画の登場人物達の様に、思った事を口にしていたのだろうか?
しかしソレはどうやら違ったらしい。次に発せられた言葉に、イェソンはその身を固まらせる事となる。


「アイツに貴方が言った言葉は、貴方自身が思い出さないと………ね?」


どうして自分の周りには、こうやって何でも見通してしまう人物が多いのか……
聞きたかった事も、だけど言えずにいた事すら簡単に見破られてしまう。
もしかして、顔にデカデカと文字が書かれているのだろうか?
そう馬鹿げた思考に陥ってしまう位には、的確な言葉だった。

「聞いた所で思い出せないなら、それは何の意味もない……ただの羅列に過ぎないんです。」

チャンミンの声が静かに車内の空気を震わせる。

「人から聞いた言葉は、本当の貴方の言葉じゃない。」

そうしてチャンミンは、傾き始めた月をその瞳へと映して。

「思い出したい……そう思う貴方の心こそ、言葉よりも強い………確かな現実。なら何時か……その本当の言葉を貴方は必ず、見つけられる………」

だからアイツも、待てるんです。


窓ガラスを通してチャンミンは、月を仰ぎ見たまま静かに笑う。


何時かまた、あの星空を共に見たいと……そう思ってくれるまで待つと言った、キュヒョン。

そして焦る必要などない。
思い出したいと願うその心こそ、大切なんだと……
そう優しく伝えてくれる、チャンミン。



「………お前ら………やっぱり、似てる。」

だから彼を呼び出したのかもしれない。

「そりゃ、親友ですから。」

事も無げに告げる瞳にもう月は映っていない。
しっかりとイェソンを見つめたその瞳が、優しく見守る光を帯びて。
その事に、イェソンは思い出せない焦りだとか……
求められる事への重みが緩やかに溶けていく気がした。

「今度美味しいワインバー、連れてく。」

「その時は、もっとマトモな格好して来て下さいね?」


フッと笑って軽口をたたくその顔に、イェソンはハイハイと肩を竦めつつ。この日初めての心からの笑顔を見せた気がした。





※久々更新にて。

キュヒョン氏が全く出てこないっ(ンギャッ
悶々イェソンさんの巻ですなコレは。本当にあの日の出来事を夢で見てしまった兄さん。だけど肝心な事は思い出せないまま……もどかしさから最強様を呼び出しちゃうとか……後でどれだけ貢がされる事やら(え

次は仔犬ちゃんも出ますよエエ必ずっ!!
しかしチャミ様……本当に知ってるのだろうか……←



続きます。