二話目でございます。
これを書いた当初は前後編で納めようとしたとですがね?
ほら………予定は未定って、さ?(オイ

それでは参りましょうっ!!久々なのに連載そっちのけで続編書いてどーするのさ君?!なーんてツッコミながらも此処の二人もやぱーり好きだし見てやるよっと軽く笑って読んで下さる方はどぞ!!






【正しい気持ちの伝え方(深心・前編)】




「……………で?何で俺がコレを畳んでるんだコラ…」



ドスの効いた声と共に言われたコレとは言わずと知れた洗濯物の山、である。



「日も傾いてきましたからね…」

僕だけじゃあ、終わる頃には日が暮れる。



ああ確かに。納得しかけてそんなに掛かるのか下手くそ!なんて明らかにツッコミどころが違うだろう事に気付かないまま慣れた手付きで乾いた服達を畳んでいくこの人物。イェソンの父親、基、今やキュヒョンの相談役となってしまったヒチョルその人である。



「『貴方の息子が大変です。』なんて聞いたら来ねぇ訳にはいかねぇだろ。」


ったく…。ブツブツ言いながらも何処か優しいその言葉の響きにイェソン以外には容赦の無いキュヒョンも今度ばかりは苦笑でもって心の中で頭を下げた。
それにしても、とキュヒョンは思う。服を畳む手付きが実に軽やかなのだ。慣れたその手付きは普段からしているモノだと誰の目からも明らかで。
嗚呼どこの旦那も奥様には頭が上がらないのか……
そう変な納得をしてしまう。決して口には出さないが。


「んで、アイツは?」


「寝てます。」


「………アレは?」


「………………手直しが必要な、僕のパジャマです…」


ヒチョルが指差した先にはソファの背へと掛けられた少し前までキュヒョンが着ていたパジャマが置かれていた。そのソファの目前にあるローテーブルには数個のボタンと針と糸が置いてある。



「そこまで乱暴では無いですよ、貴方の息子は。」



ヒチョルの考えていた事が手に取る様に判ったキュヒョンはやはり苦笑顔でもって、だがそれ以上は口にはしないまま。

先程までキュヒョンはイェソンを少し手荒く抱いていた。有に二時間はそうしていただろう、お仕置きと題するからにはそれ相応の事をしなければ。
自分でも何だかよく判らないそんな理由でもって、愛する人を延々泣かせていたのだが。

やっとイェソンが微睡み始めベットから降りようとしたキュヒョンは、だが不意にパジャマの胸元を掴まれソレを阻止されたのだ。


『少し寝ないと……』


困った様に微笑んでのその言葉に、だがイェソンは微睡みはそのまま掴んだ手を離さず。そのまま力任せに引っぱり『ブチブチブチンッ』………と。


『……………赤いですよ……目元…』


吹き飛んだボタンの行方には目もくれず、目前で目元をほんのり染める愛しの奥様に苦笑顔でもって、溜息一つ。どうやら大きく開いた自分の胸元に照れてしまったらしい。

『またお仕置き、ですね……?』

ん?なんて頭の両脇へと肘を下ろして。
第二ラウンドの、開始……



そして今に至る、と。



「あれ、直せます?」

「……………ジョンス呼ぶか?」

「イエ、ケッコウデス。」



ボタンの弾けたパジャマを見せたらイェソンを愛して止まない母親ことイトゥクは何を言い出すか判らない。ただでさえ今は悩み事があるのだ。これ以上その種を増やす趣味は生憎持ち合わせてはいない。



「んで……?」

何がどうして大変だって?
洗濯物もあと僅かとなった頃、漸く本題へと入るべく。ヒチョルは若干据わり始めた美しき眼光をジトリとキュヒョンへ向けて一言。
それにキュヒョンはこの日何度目になるのか最早判らない程吐いた息をまた吐き出して、件の出来事を話し始めた。







「相変わらず面白ぇな、お前ら。」

とはヒチョルの意見。

つーかお前、子供を育ててる父親みてぇだなぁなんて事まで言われる始末。

そりゃそうだろう近頃のイェソンときたら本当に小さな悪戯めいた事ばかりをするのだから。
昨日今日に限っては、少し前より大きめの悪戯へと変化したもののその前は作ったオムライスにケチャップで一言【ばか】と書いてみたり。出掛けようと玄関に行けば靴が裏返しにひっくり返り着せてくれようとしたジャケットも裏返しにするという……

それは子供の悪戯の様で、何だか本当に子供を育てる父親の気分に陥るのだ、キュヒョンは。

これが怒っていて、だから自分へと子供じみた事をしているというなら行動の意味は判る。
だがその悪戯に反して、甘える部分も多分に増えた。共にいる時は何時も自分を座椅子の様にし凭れ掛かり、前までは時折……本当に時折だった夜のお強請りも、今や数が格段に増えた。仕事がどんなに忙しくとも、だ………


「僕は正直、本当に疲れています。」


イェソンの相手に、では無く。


「理由が本当に、判らないんです………」


悔しいけれど、自分は彼の全てを理解する事は出来ない。それは当然の事だし、一生埋まる事の無い事実だ。だが、それでも懸命に彼の思考を読み取ろうと努力しているのだキュヒョンという男は。
だけれど今回は本当に判らない。その理由を探す事に、だから正直かなりの疲労を覚えているのだ。


「……お前が判らねぇのに、俺が判るって?」


深く思考に陥りそうになって、それをヒチョルの一言が緩やかに止めた。

「正直俺はほっときゃ良いと思う。」

お前は少し甘やかし過ぎだ。

「だからアイツは、お前に遠慮なく甘える。」

だけどとヒチョルは言うのだ。



「おめぇもアイツも、結局何時もお互いの事ばっか考えてやがる。」



だったら、大丈夫だろ。



「…………………何がですか……」



何が大丈夫なのかと問うた所で答えなど勿論くれないのだ、この父親は。

ただ、とヒチョルは尚も言う。



「最近【タンコマ達】に話し掛ける数が、増えてるんだよなぁ……?」

それには一つ頷いて。
そう。イェソンはキュヒョンが彼へとプレゼントしたサボテン達へと日増しに話し掛ける時間が増えたのだ。暇を見つけてはサボテン達へと話し掛け、一時精神的に追い詰められて鴉と話をしていたチャンミンを思い出した程だ。
病院に連れて行こうかと本気で悩んだのは数日前。


「……怒らせたいって……そりゃ少し違う気がする…」


ポツリ言うヒチョルは、だが彼自身も今回ばかりはイェソンの心理を測り兼ねるらしい。


「じゃあ何だって言うんですか……」


聞いた所で答えなど出てこない。判りそうで判らない門等に、二人は暫し無言の時を過ごす事となり。

それをいつの間にやら起き出して、リビングの扉越しに静かに聞いていたイェソンが、一人。
感情の籠らぬ瞳で扉のノブをただただ無言で見つめていた。





※久々レラ様登場に思わず長くなった今回。またもや話の収拾つかず(陳謝
この後明らかとなる兄さんの想いに当然っ!エロもオプション装備ですよって思ってたのに先延ばしになりそうな予感?

続きます。