キュヒョンsideでございます。

【正きも】からのコレってぇのも何ですがー……
初心忘れるべからず?(は?

さてはてこのお話は二人の心がまだ繋がる前段階のお話故。
この先が読みたいよーっ!!なんて方はどうかその思考をフル回転させてエロにまで発展おばっ(黙れ

ではでは時折訪れるギュイェ繋がる前段階を、楽しめるーっ!なんて奇特な方はどぞ。




【VOICE―キュヒョンside―】




今日の収録は結構疲れた………

音声トラブルから始まり、照明のミスだの歌詞間違えだので収録が思ったよりも時間が掛かった。
加えて雑誌の撮影やらインタビューやらで深夜を跨いで殆ど朝から拘束されて。

いい加減身体が疲労を訴え始めていたのだけれど。



(また………寝れてないよなぁ…あの人……)



仕事の終わりは何時もそんな言葉の羅列が自分の思考を占めていく。

「バカ、だよな………ほんと…」

こんな風に声に出して呟く行為は何度目か?
漫画や小説じゃあるまいし。そんな事を誰がするのかと少し前までは思っていたが……

「声に出す事もたまには必要だって……知ってますか……?貴方は………」

言いながら呟く自身の声に思わず。
やっぱり何をやっているのだと自嘲気味に自身の虚しい呟きを聞き流しながら。

「生存確認の………………時間です、と……」

チラリ流し見た時計の針は既に深夜の四時を指し示している。だがきっと彼は……あの人は必ず眠らず自分を待っているから。
だから……………



表示した名前を躊躇う事なく長い指で押し耳を澄ませた。



「おはようございます、ヒョン。」



そう言えば違えず気だるそうに吠える相手に笑みが溢れる。

こうして声を伝える事を、ずっと待っていた癖に…



『…………寝てるとこ、起こすなって。』



嘘だ。とは心に留めて。



「だから、おはようございます。でしょう?」



相手の心は、既に判っている。
彼は……この人は自分の姿を直に見ない限り、眠れない。



(俺はもう、あの時の俺じゃないのに………)



思ったのは瞬間。だけれどと、思う。
これがもしも違う立場であったなら………

もし、自分に起きた出来事が。彼に振り返ったとするならば………?



「僕、疲れてます。」



落ち掛けた思考をどうにか浮上させる。



【もし自分じゃなくて……あの事故傷みを彼が負っていたら………】



そう思うだけで。心の中へと大きな闇水がきっと必ず、堕ちてくる…….。



あんな事態はもう二度と、御免だ。
感じたく無いし………何より。






「疲れました……………ヒョン……」





考えたくも無いし、彼へと置き換えたくも……ない。



『……………ん………頑張ったな…』



(そうですよ……今日も頑張りました。)



「………………もっと」



『お前は何時も、頑張ってる。』



(ええ………あの事故を、貴方だったらと置き換え無い様に…)



「…もっと。」






『………頑張り過ぎなんだよ…何時も。』 






一瞬泣きそうになった。
この兄は確実に違う形で自分を頑張り過ぎなのだと評している。あの事故から奇跡的に生還したと言われた自分……それだけに周りの復帰語の気遣いには嫌でも気付かされていたけれど。

彼は、違う。



【生きる事に、頑張り過ぎだ。】



そう言っているのだ。


直ぐに消えてしまうかもしれない自分達の存在。
それをどれだけ他者へと刻めるか……
そういったギリギリの道を自分達は歩いている。

だけれど時にそれは……精神を擦り減らし、心を蝕む凶器となるのだ。
その事を、電話越しの相手はきっと、判っている。
そうして未だ、その傷が時折痛み疼く事も……

車へと乗る度に、襲い来る死との恐怖が押し寄せる事すらも………彼はきっと……判っている。



「………甘やかし過ぎです……」

『……お前がもっとって言ったんだろ、バカ。』

『言いましたよ?だって……』

「何だよ。」

『僕は……………皆の大切で可愛過ぎる誰からも甘やかされて当然な末っ子で』

「……ッ…少し黙っとけ。」



それには無言で笑うだけで応えて見せて。

自分は、彼の不安を覆す程……そして自分の不安や恐怖すら消し去る位頑張って【生きる】から。



「貴方も、頑張って下さい………」



そうだ人の事よりも自分の事を最優先して欲しいのだ……この人には。



「貴方も……(少しでも長く眠れる様に)……頑張って、下さい。」



きっとこの人は、己の感情に未だ気付いていないのだろう。ただ瀕死の重症を負った弟を心配している……そんな風に思っているのだろうが……


バカだなぁと、キュヒョンは思う。

一体全体、この世の誰が一度死にかけたとはいえ……声を姿を見なければ安堵で眠りに就けぬというのか?

鈍感過ぎるその心へと、思わず笑いそうになる。

だけど、まだ………



「……………キュヒョナ………?」



少し黙った自分へ心配の声を上げる相手へと、尚々笑みは深くなる。



だけどまだ…………言わない。





「……帰ったら……僕を最優先して下さい。」

『…………は?』



困惑したイェソンの返答にキュヒョンは深い微笑みと共に。



「僕を、最優先に……………ね…?」


だから。


「貴方も……………次に僕と逢うまで、頑張ってください。」

『…………………』

「ご飯を食べて。ちゃんと生活しながら僕と逢うまでの日を…………沢山たくさん寝て、頑張ってください。」


『………言われなくてもちゃんとっ』


「ちゃんと。寝て下さいね?」


「ッ………………じゃあなっ!」




そのまま通話は切れてしまい。
それでもキュヒョンの口元へは、緩やかな笑みが残る。


彼の心が自分へと繋がる日は………近い。


弟としての目線では無く………自分という、一人の人間を確かに彼は心の中へと深く刻んでいる。
そうなれば、後は…………



「もう、少し。」



暗転となった携帯画面へと、そんな呟きを一つ。

ずっとずっと……欲しいと思っていたのだ、あの心を。あの声あの姿へと、誰もが魅了し惹き付けられて止まぬ………あの相手を。

何よりも………彼の何処までも優しく、深く柔らかさを伴う心地好い……あの彼の心が、欲しい………



「僕を………もっと……」



もっと………眠っても尚、自分だけを想い自分だけを求め感じて欲すれば、いい。



「後、少し…………」



そうキュヒョンは一つ呟いて。
恐らくは深い眠りに落ちただろう自分へはまだ気持ちが追い付かぬ相手へと。

想いを馳せて、眠りに落ちた………




※…………はれ?
なーんかこのギュ様…………その内鬼畜道に行きそうなそんな感じがチラホラほーら?(やめい

ええ気紛れなアタクシの更新にて。このお話が続として綴られるかは、今の私には皆目見定める立場にございませぬこの先は皆様のご想像にお任せって事でっ←逃げ足忍者並