短編です。
未だ微復活なので、短編等で自分の脳内彼等を呼び覚まさねばなぁと(ハイハイ
それでは参りましょうっ!!短編だろうとギュイェだったら取り敢えず読んどいたるよ支離滅裂は胡蝶さんの専売特許だ仕方ないっ!!なーんて言って下さるナイル川よりも大きな流れを持った方はどぞっ!!
【零香】
深夜誰もが寝静まった頃。普段から眠りの浅いイェソンはふと意識が浮上するのを感じ、嗚呼また目を醒ますのか自分は……そんな言葉と共に薄く瞳を開いた。ボンヤリ霞む景色から徐々にクリアとなる世界……毎度ながらにそんな自分へと小さな息が漏れる。
そのまま眠気が訪れるまで、普段のイェソンならばただ訪れる眠りを瞳を閉じて待つのだけれど。
今宵は何だかそんな気分にもなれなくて……
(喉……乾いた………)
空気が乾燥しているのだろう喉の乾きを覚え、同じ眠れぬのなら動いた所で完全な覚醒に繋がる心配もイェソンには、無い。
一つ小さな息を吐き出すとベットから起き上がり、キッチンへと重い足を踏み出した。
カチャリ……
リビングへと続く扉を開き暗闇の中キッチンへと向かう。そのまま冷蔵庫の扉へと手を掛けた瞬間。
「深夜徘徊………」
聞こえた声に扉を開こうとしたイェソンの手はそのまま動きを止めてしまった。
その動きが見えていたのだろう声を発した相手は空気だけで笑いながら、また言った。
「これで何度目です………?」
起きすぎです。
「……………………キュヒョン……?」
数列の言葉を聞いて、声を発した人物が誰なのかがやっと判ったらしい。イェソンの問いにだがやはり相手は笑って言うのだ。
「こんなに頻度が高いと…もうそれ、病気ですよ?」
言われた事よりも。何故こんな時間にしかも電気も付けず暗闇の中彼がこの場に居るのかという疑問に、イェソンは暫し冷蔵庫の扉を開ける寸前の体制のまま固まっていた。
「こんな時間にそんなの飲んで……トイレが近くなっても知りませんよ?」
軽い口調で告げられる言葉にしかしイェソンは無言のまま手に持っていたカップへと口を付ける。
「カフェインはね?利尿作用と覚醒を促す効果があるそうです。」
そんなのは……….知ってる。
「それを敢えて飲むとか………実は膀胱炎にでもなってたり?」
クスクス笑いながら羅列を述べる人物は、だけれど言葉とは裏腹の空気をその身へと纏ったまま………
だからだろうか?イェソンは言うつもりの無かった言葉を暫く黙った後で、敢えて。
「………無理に喋る必要、あるのか?」
ただ、それだけ。
それだけで恐らく相手は汲み取るだろう。そのまま何事も無かったかの様にイェソンは手に持ったカップの中身……珈琲を静かに口内へと流し込んだ。
「……………こういう時ばっかり、鋭い……」
やはり暫く経ってからの言葉………
こういう時ばかりとはどんな感想だと思ってしまうが、それには何も告げずに無視を決め込む。
そうすれば答えの返って来ない事は元より判っていたのだろう。キュヒョンは同じ様に口を閉ざしそのまま座っていたソファへと深く腰を埋め直した。
灯りの点いていない、暗闇のみが広がるリビング。
何をするでもなく三人掛けソファへと無言で座るキュヒョンと。その肘掛けへと背を向ける形で腰を下ろしたまま、やはり無言で珈琲を啜るイェソン………
「「…………………何やってんだか……」」
互いに20分程だろうか無言のままその体制を維持するのはやはりというか違和感でしかなくて。
そう思ったのは、恐らく同時。互いに発した言葉と羅列が一緒だった事に、二人は思わず闇夜に慣れた目を見合わせて。
この時久しく、二人で声を出さぬまま笑ってしまった。
「寝ないんですか?」
キュヒョンが言えばイェソンも言う。
「……寝ないのか?」
そうしてまた、空気だけで笑みを零し………
「……こんな時間に起きてるんだな…?」
静かな音で、そう尋ねる。
「…そうですね……この時間に貴方をよく見掛ける位には………」
僕は起きているのかも、しれません…………
「……………お前も病気、だな……。」
そう言って笑ったイェソンに、この時初めてキュヒョンはそれまで纏っていた空気を少し……本当に感じ取れるか微妙な程の流れの歪みで以て、小さな息と共に苦笑した。
「………僕はもうずっと………」
「……?」
「ずっと………………」
その先の言の葉は………息と共に暗闇へと溶け込んで、消える。
「ずっと、何だよ?」
「……………さぁ…?何だと思います?」
僅かに笑ってそんな風に相手は言う。
普段の彼とは違うその風その音その空気………
太陽に照らされ何時だって光り輝く強気な何時もの彼とは……全く違う静寂と少しの切なさをその身に纏った色と共に。
それを感じてイェソンはこの日初めて。
「……何か…………お前を初めて、見た気がする……」
初めて。そうだ初めて本当のキュヒョンに逢った気がするのだと。
「何ですかそれ………」
僕は何時だって……
「僕、でしょう?」
そう言って静かに笑う相手に、イェソンは黙ったまま彼を見つめた。
零の、零………
今までの彼も彼である事に変わりはない。
なのに今は違う形へと姿を変えて。
そんな彼を差し引き足しても彼の……キュヒョンの今の香りは、増える事も無ければ減る事も……ない。
だからだろうか?
「……………………お前の匂いが…………しない…」
「………はい?」
「お前の本当は…………何処だ……?」
………………………………さぁ………?
「それを探して、どうするんです?」
それにイェソンは、無言のまま。
探してみたい。そうだ………
イェソンは思う。
皆と共に居る時と、対一で居る時の……
人は必ず風が変わる。
なのに彼は………キュヒョンはその風その色その身の全てが全て、変わらない。
だから………だからこそ、興味が湧く。
「貴方が人に関わるだなんて………」
初めて見た。
「………………お前……?」
「だって貴方は…………」
そうしてまた、キュヒョンは黙って闇夜へ一つ息を堕とした。
「もう本当に、寝ないと……」
やっと発せられた声に言われて気付く、いつの間にか過ぎ去る時と風の流れ。
「………明日は?」
イェソンは無意識のまま言っていた。彼の……キュヒョンの本当を、知りたい。だから明日のこの秒この時間……
また、此処で……
それにキュヒョンは一つ笑って言うのだ。
「駄目ですよ………明日の貴方は……」
深い眠りに堕ちてます。
「………お前は俺じゃ、ない。」
だから判るわけが無い。そう言いながらもイェソンは、明日のこの日この瞬間の自分は恐らく深い眠りへ就いていると確信する。
「貴方は明日………久し振りに眠れます。」
だから今日この一瞬を………
「貴方はまだ………理解できない。」
………だからお前は………俺じゃ無いって……
だがその言の葉は……明日を過ぎた、その先に。
「今度この時間に逢うのは………二日後です。」
言って立ち上がる姿を無言のまま見つめる。
未だ零の香りを纏った、その姿のまま。
「また……二日後の、貴方に。」
おやすみなさい…………
「…………まだ寝ない、癖に。」
ポツリ呟く言葉にも、それでもキュヒョンは崩さぬ笑みのまま言うのだ。
「………今日は、おやすみなさい……」
そのままソファから立ち上がり振り返る事すら無いままリビングから立ち去る背中を、イェソンは音すら告げずに、ただ見つめた。
今宵初めて知った彼の……本当に近い彼の姿。
それを深く己へ刻み付ける為に。
この先揺れず色を変えぬキュヒョンの風が何故なのかを、イェソンは嫌という程知る事となるのだけれど。
それまでは彼の零の香りを何故だろう?自分が理解する為に、追いたい……そうイェソンは思うのだ。
だから彼の言う日にまた、この場へと足を向けよう。そうしてもしも自分達への風が変わるならば………それはそれで……良い。
その時が来るのは…………
だって恐らく……きっと、あと少し。
それまでは続く……自分達の、零の香り…………
※…………んんん?半分以上寝てる中で書いていたので完全落ちかけで覚醒しても何がどうしてこうなってるのか最早自分の中で皆無状態なのですがー……(しっかりしろよ
キュヒョンさん、既に兄さん想ってますよねそりゃ想ってたらば彼の風は変わらんだろうと。
そしてそれに未だ気付かないながらも実は密かにキュヒョン氏を想ってる事に気付きそうで気付かぬボンヤリ兄さんってぇ流れですかねどう思いますか皆様?←
番外………いります?(聞くなよ