事務所の前で電話してた。

新宿のちょっと細い路地であるが

オフィス街なので

結構人通りも多い。


1人の男が近づいて来た。


歳は50くらいの

小汚いおじさんだ。

いわゆるホームレスっぽいおじさんだ。



声が擦れていてよく聞き取れない。


電話をちょっと待ってもらって

おじさんと話をしてみた。


「かばんと財布を取られて小田原まで帰れません。どうか1,580円貸して頂けませんか?」

と言ってきた。


相当困っているのか、サギなのか(笑)

何度も何度も頭を下げてくる。



ここはオフィス街。

小奇麗なサラリーマンもたくさん通っている。


俺は私服だし、そもそも電話してる。

それなのに

俺に話しかけて来たおじさん。



サギだとしても、相当困っている事に違いはない。

財布はオフィスに置いて来ていたので

少し待ってもらった。

戻ると、おじさんはこちらに気づいて

何度も何度も頭を下げている。



そしておじさんに2,000円渡した。

有難う有難うと何度もおじぎしていった。


正直2,000円かえってこなくていい。

連絡先なんかも聞いてないし(笑)


でも、もしも。

もしも、そのおじさんが後日、

オフィスにお金を返しに来たとしたら…


それだけで素晴らしいじゃないか!

その時は

そのお金でおじさんと

ラーメンでも食べに行こうと思う。