初めての緊急入院&手術を経験し、順調に体のほうは回復に向かっていました。

約2週間入院し、無事退院の運びとなりました。この時点では自分が癌に侵されていることなど知るよしもなかったのです。

何が嬉しかったって、入院まえは極度の鉄分不足からの、不眠、諸々の合併症が体に起こり、いまにして思えば、最悪の状態でした。

手術をするときも、先生がびっくりするほどの鉄分不足から、輸血をしたぐらいでした。
のちに、病棟でたまにお話しさせてもらっていた貧血の症状で入院中の患者さんよりも、ヘモグロビンの数値が低かったことに驚きました。

入院レベルの数値だったようです。

退院し、その鉄分不足も解消され、夜もぐっすり眠れるようになったのは驚きました。
そして、1番嬉しかったのが、なにかあると直ぐに吊ってしまっていた足の痛みから解放されたことでした。

ソフトの練習、試合に限らず、ほぼ毎回決まって両足が吊ってしまい、体力的にもサッカーのようなずっと動きまわることが既に出来なくなっていましたから。

ソフトだからこそ、だましだましプレー出来ていたのかもしれません。
そんな満身創痍な体からも解放され、ここ数年でもっとも幸せな時間でした。

個人的には、20代の体力を手に入れた!と言っても大袈裟ではない状態でした。
とにかく、疲れを知らない体を取り戻したのです♪

しかし、そんな幸せな時間も1週間と続きますませんでした。

退院後、胃の状態が落ち着いたところで、胃カメラを飲む予定が入っておりました。
胃カメラを飲んでる診察中は、先生も手術はしたものの、綺麗な胃だねと、言って下さったのですっかり安心しきっていました。

当然のように、病理検査をし、胃の細胞を採取して終了と相成りました。

次回は約10日後、検査結果を聞きに通院する予定だったのです。

ところが、検査翌日のこと、突然病院から電話がかかってきました。
看護師さんからのお電話でしたが、先生から次回通院前に可能な限り早めに病院へ来て欲しいとのことでした。

もちろん、先生都合ではなく、患者都合で前倒しされたことが電話の状況からも判断できました。

最初は、ピロリ菌検査の結果が良くなかったのかな、ぐらいにしか思いませんでした。

暫くたち、冷静に判断できるようになって、いやいやピロリ菌程度で前倒しなんて普通はないだろうなと直感しました。

直ぐに病院に電話をかけ直し、いまからでも時間があれば、待ってますので来て下さいとのことでした。

これはますます、ヤバい状況!?

病院へ着き、主治医と対面した時の開口一番「緊急ですか?」と、自ら問いました。

先生いわく、「タッキーさん、落ち着いて聞いて下さい。実は先日の検査で胃に癌細胞が発見されてしまいました」と、まさに癌宣告をされた瞬間でした。

さすがに、動転というか、動揺し、頭の中が真っ白になってしまったのを今でも鮮明に覚えてます。

そして、この時点でステージ4という診断だったのでしょうが、さすがにこの時はステージのことは言われませんでした。

ただし、先生の表情や、治療方として、抗がん剤治療しか残された道はないと言われ、ある程度は覚悟というものが出来たのも、事実です。

決して、強くなんかないけれど、案外平気な自分がそこには居ました。

とはいえその後、病院からの道すがら、どの道をどうやって帰ったのか、全く記憶になく、気づいた時には、友人の営む中華屋の駐車場に車を停めていました。

ご飯を食べる気力もなく、友人に話をしたのを覚えてるぐらいかなあ。
男たるもの、人前では絶対に涙なんて見せちゃいけない、と決めていたにも関わらず、涙が止めどなく流れてしまいました。

人間なんて、弱いものです。

とはいえ、現実を受け入れるのには、そんなに長く掛からなかったのは、鈍感であったおかげかなって思ってます(笑)。

まあ、何せこの時点では心身共に超がつくほどに元気だったわけですから、無理もありませんよね。

いま思いだすと、遠い過去の記憶の断片のような感じですが、まだ半年ちょっとしか経っていないのです。

その後、さまざまなことが、起こり現在に至っております。
とりあえず、まだ生きてますんで♪

次回は、現在の体の状態をお話しできたならばなあ、と思ってます……。