明くる日。

起き出してきたオットはしんどそうではあったが、犬を獣医さんへ連れて行ってくれ(このところずっと外耳炎で医者通いをしているので)、その近くにある仕事仲間の家に寄ってきた。
この仕事仲間はワタシと同年代の女性だが、以前にパニック障害で仕事を休んでいたことがあるそう。だからオットの辛さがわかると言って、慰めてくれたそうだ。
実は、オットが家出したとき「そっちへ伺っていませんか?」とワタシは尋ねてしまっていた。詳細は説明してないし、たまたま所在を確認するために電話したという感じだったので、それほど深刻には捉えられていなかった、はず。

だからオットが出かけるときに「あそこには、そっちへ伺ってないか聞いたよ」とだけ伝えておいた。しかしオットが自分で、今の状態を話したらしい
話の中で彼女の経験や対処法などを聞き、少し気分がラクになったようだが、家に戻ってしばらくすると勝手に涙が出てくるらしい
タオルを持ってきて、しきりに顔をぬぐっている。

とりあえず、起きているといろんなことが頭の中をグルグルして気分を害するだろうからと、寝させる。
それでも布団をかぶったまま、何度も涙を拭いていた。

この日は、夫が好きな洋風料理を作ってワインを抜いたが、ほとんど食べないでまた布団に入った。


さらに翌日。
この日は、またワタシの友人が仕事を手伝いに来てくれる。
彼女はオットのことをよく知っているし、本職はカウンセラーである。スクール関係のカウンセリングが専門だけど、当然、心の問題は詳しい。
だから仕事を終わった後で、オットの話を聞いてくれるよう頼んだ。
「いいよ。友だちだから私情が入るのでカウンセリングはできないけれど、どんな状態かはわかるからね」
彼女は、先週の機嫌の悪さを知っているし、ただ怒っているのではない尋常らしからぬものを感じていたようで、快諾してくれた。

オットは仕事中、「さっぱりしたい」と散髪へ行き、本当にすっきりして戻ってきたが、ワタシたちが仕事を終えるまでは布団にこもっていた。


6時に仕事が終わり、入れ替わりにオットを呼んで仕事場で話を聞いてもらった。
それからたっぷり3時間
じっくり話を聞いてくれているよう。遅くまで、すまないなぁ。
かといって、同席すればオットは存分に話せないこともあるだろうし、下におりて食事の支度などするのも気が引ける。だからワタシは、隣の寝室でテレビを視たり本を読んだりして過ごした。8時半ごろに、犬の散歩へ行くため仕事場(うちの仕事場にはドアがないので中が見えるのだ)の前を通ったが、表情が少し和らいでいるように見えた。
よかったな。

そして散歩から戻ってくると、二人は1階に下りてリビングで雑談していた。ときおり笑い声も交じり、少し元気が出たようだ。
彼女は「やっぱりお医者さんへ行ったほうがいいみたいだから、評判のいいところを聞いて連絡するね」と言って帰って行った。

ありがとう
心づかいがしみじみ嬉しい。


それから遅めの夕食をとりながら、「話を聞いてもらってちょっとラクになった?」と聞くと
「うん。早く医者へ行って診てもらう」
この日はあっさりした和食にしたが、あまり食が進まなかったよう。それでもオットがそう言うのでちょっとほっとした。


が・・・。
オットがお茶碗を洗ってくれたのだが、その時にまた怒りが爆発した