玄関に腰かけているワタシを見て、オットは、「何をしているんだ」
「いや、あの・・・・ちょっと出かけようと思って、ハハを待ってるのよ。まだ寝てると思ったから・・・・」
オットはワタシをバカにしたように見下ろしながら、「もう起きてるっ。行ってこいや」と言う。
スケジュール板にもこの日のことは書いてあったし、どのみちバレることだろうし良いか・・・そう思いながら
「じゃぁ悪いけど、ちょっと出かけてきます」と腰を上げると、そこへハハが帰ってきた。
もっと早く帰ってきてくれよ~~
すでに開始の時間は過ぎているので、かなりの遅刻で会場へ着いたワタシ。イベント自体は1時間半ほどのものだったので、ワタシが行って1時間ほどで終わった。
ところが、主催者が受付の手伝いを頼んだ人のうち一人が、ちょっと用事があるからと帰ってしまったそう。この会は、当日の午前・午後に分けて3回催され、ワタシは第2回の予約をしていたのだ。まだもう一回、イベントがある。
主催者は、「悪いけれど、この後用事がなければ受付を手伝ってくれない?」とワタシに言う。
ワタシはいつもお世話になっているんだし、遅刻した手前もあって断れず、「いいですよ」と受付に座った。
暗雲立ちこめる家と違い、気の合う人との会話は楽しく、細々と用事もあって、結局は後片付けまで会場にいたワタシ。
そんなわけで午後1時前に出かけ、4時ごろまでに戻るつもりがすっかり遅くなってしまう。午後5時半に「そろそろ帰りますね」と席を立ち、クロークの荷物を取り出した。この日、携帯は荷物の中に入れていたので、取り出すとメールが入っている。
見ると、オットから。
イヤ~~~~~~な予感を抱きながら開くと、1通目は午後4時59分。
「まだ遊ぶのか?いい加減にしろ。ばあさんは買い物へ出かけたし、キチガイは犬の世話をしとけってか」
そう書かれていた。
慌てて返信するワタシ。
「すいません、お手伝いで遅くなりました。間もなく帰ります」
ところが、入れ違いにもう1通メールが来た。午後5時37分である。
「無視かい。人を追いこむだけ追いこんでおいて、遊興三昧か。この間も今日もキャンセルしようと思えばできたはずだ。オレってなんなんだよ」
と書いてあった。ワタシは駅までの道を急ぎながら、
「すぐ返信できなくてごめんなさい。バッグを預けていたので着信音が聞こえませんでした。無視した訳じゃありません。そういう自虐的なことを言わないでください」
と返信して電車に乗り、家に戻った。
玄関を開けると、いきなりオットの怒鳴る声が聞こえてきた。隣近所に響き渡る大声だ。
あーーーーーもうっ。
靴を脱ぐのももどかしく上がると
「お前やその婆さんの育て方が悪かったから、娘があんなになったんだ。自分勝手で自分ばっかり好き放題して、オレをないがしろにするルール無視の女に育てたのは、あんたの責任だよっ」
オットはハハの部屋のドアを開け、仁王立ちになってハハに罵声を浴びせていた。
「遅くなってごめん」
オットはワタシが戻ってきたことに気付き、こっちに向き直って
「お前は好き勝手して、オレがこんなになったのはお前のせいなのに遊びほうけてっ。先月も先週も今日の集まりも、断ろうと思えば断れたはずなのに、オレを無視して自分の楽しみのために出て行っただろっ」
と、今度はワタシをののしった。
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