「旱 天」 旱天の二十二日を 立ちながら墓は濡れつづけた 水を浴びては濡れつづけた 二枚の板を厚くかさね 用意のひまへ立入りもせず 手向ける傘もないままに 二十二日を濡れつづけた 端然と墓は 濡れつづけた 石原 吉郎 ================== オリジナルの放つ光はいつも眩しい。求める心はまたぞろ卑しい。求めずに放つ、簡単そうでじつはこれが案外むつかしい。もとめて取り繕ったものなぞ、高が知れているのだ。