仕事関係の人と食事をして9時過ぎに別れ、

帰り道、花を買っていい気分で自転車で帰った。

少し雨が降り始めていた。


荷物を両手で抱え、郵便受けは明日の朝見ることにして、

オートロックを解除しエレベーターで部屋まで上がる。

重い荷物と花をおろし、鍵をかける。

キッチンに入り花を広げようとした時・・・


ピンポーン♪



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1階のオートロックのピンポンが鳴った。



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尋ねてくる人の予定もない。


躊躇しているともう1度ピンポーン♪


何故?誰?どうして?何?



?マークが頭の中を飛びかう。



つけられた?!



でも・・・・・・誰に?!



間違い?




うっ・・・怖っ!



慌てて玄関のチェーンをかける。


ベランダに出てみて表を窺う。


誰もいない?出てこない?



せっかくお花を買っていい気分で帰ってきたのに・・・


何でもないはずの都会の1人暮らしの落とし穴のような恐怖。

普段何気なく生活をしていて考えたことも無いけど、

ふとした拍子に感じる、何が起こってもおかしくはないんだと・・・


東署が徒歩2分のところにあるけど、

以前に中学生の不法侵入で通報した時、来るのに15分かかった。

何か事が起こり、一刻を争う時に警察は当てに出来ないなと思った。




動悸が治まった頃、雨が本降りになってきた。

雷が鳴り、稲妻が光る。



1人いることと見えない誰かを想像してじっとしているのに耐えられず、

ベランダに出て稲妻を探した。


子供の頃、夏休みの夕暮れ、

夕立と稲妻、

窓の側のベッドに転がって空を切り裂く稲妻を見ているのが好きだった。



稲妻は、なぜか私の心を高揚させるから・・

吹き込む雨に濡れながら稲妻を追い、

見えない恐怖を振り払う。