「えーここで彼は友人のために立ち上がります。ここ重要ー」



銀八先生がが教科書を読みながら解説する3Zの現国の授業。

一番前の席に座っている私は授業もろくに聞かずに目の前にいる気だるそうな担任を見ていた。






恋は恐ろしい。

あんなダメ人間なのにキラキラして見える。



安物のサンダルにダサいメガネ、天パの銀髪に死んだ魚のような目。

どこからどう見ても「まるでダメな男」略してマダオだ。


そのマダオに恋した私も「まるでダメな女」略してマダオなんだろう。









「ここよく聞いとけよ~『俺はお前を許さねぇ。ゴム●ムの・・・』」


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!ちょ、先生!何読んでるんですか!」






新八くんのするどいツッコミで授業が中断される。





「先生なにジャンプ朗読してるんですか!しかもワン●ース!」


「先生!俺はNA●UTOがいいです!」


「そういう問題じゃねぇ・・・」




元気良く手を上げて発言した近藤さんの言葉に土方くんが冷静にツッコむ。







「だってよー教科書よりなんか役に立ちそうじゃね?」


「だからってジャンプ朗読しないでください!」





♪キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン♪






そうこう言ってるうちにチャイムが鳴る。

私はため息をついて白紙のノートをしまおうとした。







「おい島原。」


「えっ、あ、はい。なんですか?」


「お前、授業聞いてなかっただろ?あとで国語準備室来い。」


「えぇ!?授業って先生、ジャンプ読んでただけじゃないですか!」


「絶対来いよ。」



そう言って先生はニヤッと笑い、安物のサンダルをペタペタならしながら教室を出ていった。








「お前、最近よく呼び出されるな。」


「気に入られちゃったんじゃねぇですかぃ?」


「あ・・・ははは・・・」





土方くんと沖田くんの言葉に私は笑うしかなかった。






















「失礼しまぁ~す・・・」




控えめに部屋に入る。

国語準備室っていったってただの名目だ。

普段は誰も来ないので銀八先生の仕事部屋、またの名をサボリ部屋、となっている。







「おう。ちゃんと来たな。」





先生は椅子に座って足をデスクに置いて

お約束のようにジャンプを読んでいた。








「先生・・・あんまり呼び出すとみんなに気づかれちゃいますよ?」


「バレねぇだろ。あいつらバカだし。」


「いや・・・土方くんとか絶対感づいてる・・・」








私はそうぼやきながらカバンをソファに置いた。






「だいたい普段デートとか誘ってくれないのに・・・ってうわぁっ!」





いつ立ったのか、知らない間に銀八先生は傍にいて、

ふわっとタバコの臭いがしたと思ったら先生の腕の中にいた。










「先生!?」


「お前、授業中ずっと俺のこと見てただろ?」


「ッ!」


「ビンゴだな。」







抱きしめられていて顔は見えないけど、先生、絶対ニヤニヤしてる。








「亜姫にあんだけ見つめられちゃうと先生、抑えられなくなっちゃうんだけどなぁ・・・」


「お、抑えてくださいっ」





二人のときは呼び方が島原から亜姫に変わる。

先生の生徒「島原」から先生の彼女「亜姫」へ。









「先生・・・タバコ臭い・・・」


「だぁから~これはタバコじゃなくてレロレロキャンディーだって」


「レロレロってなんですかレロレロって!」


「まぁいいじゃねーか。」


「よくないですよ!タバコの臭い付いちゃうじゃないですか!」


「付けようとしてんだからいいだろ。」


「わざとですか!?」










思わず顔を上げると先生の勝ち誇ったような顔があった。

あぁ、この人はこんな顔もするのか。








「タバコの臭い付けとけば悪い虫が俺の可愛い彼女に寄ってこないしねー虫除けってわけよ。」







真っ赤になって反論しようとした私の口を先生は有無を言わさず塞いだ。








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*作者の一言*


銀魂の中では土方さんがダントツで好きだけど

3Zワールドでは銀八先生が一番好きです。ここ重要。