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笑顔とやる気の伝導師 鴇田くに奨学基金ビヨンドXプロジェクト早川学校のブログ

鴇田くに奨学基金ビヨンドXプロジェクトのブログを改題しました。ビヨンドXのXは、人により様々です。
エンカレッジ、エンラージ、エンジョイがこの事業の合言葉です。
運営母体:一般社団法人鴇田くに奨学基金ビヨンドXプロジェクト早川学校

俳優の身体性は選択肢として2つに分かれているかと思います。

1つ目は、筋肉のついている鍛え上げられた身体=『筋肉質な身体』
2つ目は、しなやかで柔軟性のある身体=『しなやかで柔軟な身体』

両方を兼ね揃えることは理想ではありますが、
「マッチョ」になり過ぎた『筋肉質な身体』の場合、身体が硬くなってしまうことは詳しくない方でも理解はできるかとは思います。筋肉によって可動域が狭まってしまうからです。

私は基本的に『しなやかで柔軟な身体』を俳優に求めます。
『筋肉質な身体』は舞台上で存在感を示したい場合に有効ではありますが、『自然な演技』の場合においては違和感を感じてしまうことがあるからです。

私の場合は、観客に「感情移入」してもらいたいと思っています。そのため、なるべく舞台上に存在している『違和感』を上演作品から排除したいと考えています。
当然ながら、演じる作品や役によって求められる身体性が変わるのですが、私の感覚では役者には幼少時の身体性が理想的な身体だと考えてます。
何故なら、観客は『無垢な身体』として俳優の身体を受け止めることができるからです。
なかなか成人で『無垢な身体』を持っている人は稀ではあるかと思います。
例えて言うと、理想的な体型としては、アフリカの人々なのかもしれません。

「そもそも理想的な身体とは何か?」
という議論にもなりますが、私の1つの回答としては、
『頭の上に荷物を乗せて、長距離を移動することができる身体』であったりします。

インドやアフリカ地方の方の中で、大きな荷物や水を入れた桶などを頭に乗せて移動している姿を本などで見たことがないでしょうか。
その方々は、歪みのない理想的な真っ直ぐな骨格、身体をしていると言われています。
昔の日本人も頭の上に荷物を乗せて歩くことができたという記録があります。
これが『美しい身体』だと私は定義しています。

さて、何故そのような身体が美しい身体と言えるのでしょうか?
それは舞台上において立ち姿が「自然体」そのものであるためです。
基本的に、人の姿勢と感情や性格は一致します。身体を整えれば性格が明るくなることもありますし、逆に身体を整えないと性格が変化してしまうこともあります。
幼少時の頃から歪みなく成長した身体は、心身共に健康的な身体であると言えるのではないでしょうか?
つまり、それは、見ている観客が「見ていて疲れない』ということでもあります。
『美しい身体』とは、モデル体型であるとか、バレエダンサーの様な矯正されて作られた身体だけを表しているのではなく『無垢なままで成長した身体』の事でもあります。
こういったことから、『無垢なままで成長した身体』が俳優のひとつの理想的な身体であると考えます。

千葉伸吾(演出家:深寅芥)
昨年2019年10月からのビヨンド会議にて「ビヨンドアートプロジェクト」をご提案させて頂きました。その第一弾として予ねてよりご支援をお願いさせて頂いておりました朗読劇「ライブレターズ 」が、先月10月3日・4日の2日間「ライブ配信」という形で無事公演に至る事ができました。

朗読劇「ライブレターズ 」の上演に至るまでの経緯については、脚本を書いてくださったことりさんのブログを読んで頂ければ今までの経緯などはご理解頂けるかと思います。

ことりの巣
【芸人とアイドルの禁断の恋】男女2人の朗読劇を企画する
→https://kotori1107.com/recitation-1/

2020年度前半の上演を準備しながらも、今年前半突如「コロナ禍」に巻き込まれ、結果的に公演日程を2020年10月に延期致しました。

「コロナ禍」の影響を受けながらでの創作活動ではありましたが、「安定したライブ配信環境を準備し公演を実施する」という目標を定め。その目標を無事に達成し、公演を終了した事は嬉しさもひとしおでした。

今まであまり深く調査してこなかったカメラ・パソコン・配信設備など「ライブ配信環境」について諸々検証し、トライ&エラーを繰り返しながら、配信環境を整えてまりいました。

30年近く舞台芸術の世界に身を置きながら「コロナ禍」の影響によって、「ライブ配信」という新たな技術や知識を積み重ねる事は新鮮でありました。
「本番」という重圧が掛かっていたからこそ、責任感を持って取り組む事ができたのが今回の「ライブ配信」の成功に繋がったのではないかと感じております。

また「ライブ配信」には新たな舞台芸術の可能性があると発見する事もできました。

「劇場公演」と「無観客での公演(ライブ配信)」では、それぞれ別々の”演出”を準備する必要があります。

今までの創作は「劇場公演」のみの”演出”を考える事だけで事足りておりましたが、今回「無観客での公演(ライブ配信)」を取り組む事によって、”「観客を動員した公演」と「無観客での公演」の表現の両立”を今後は考えていく必要性があると感じ始めてます。

これはアフターコロナにおいて、これからの「舞台芸術」を創作していく上で大きな影響を持つ取組みなのではないかと考えます。今後も突然の「無観客」での創作を想定しながら公演を考えていかなければなりません。
作品の根幹でもある「脚本」の段階から、「観客を動員した公演」と「無観客での公演」の”2つの側面”を持った「脚本」が理想となります。

その為、現在、私はこの”2つの側面”を持つ「脚本」「題材」を日々考えています。
大変難しい課題であるかとは思いますが、上記のような”制限”があるからこそ、
新しいアイデアが生まれる可能性もあると考えています。

今後も引き続き、コロナ禍の中でも可能な創作を実施してまいりますので、
引き続きご支援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

ビヨンドXプロジェクト 事務局長:千葉伸吾