ウニとホタテの間に待望の赤ちゃんが宿り、いく日かが過ぎました。

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やっと産まれる!、と、なった時

破水してから、産むまでの時間がかかり過ぎる事から、獣医さんに電話すると、連れて来て欲しいとの事でした。

ウニはまだ幼く、自分の身に起こってる事が理解出来てない様だった。

陣痛に苦しむだけで、イキム事も、産もうとする事も出来ない。

直ぐに緊急手術となった。

そして、可愛い4匹の赤ちゃんが誕生しました。

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母子共に元気!

しかし、この時大変な問題が起きていました。

ウニの育児放棄です。

赤ちゃんに全く興味を示さ無いどころか、赤ちゃんに怯え、恐がり、唸り声を上げる程です。

初乳させ飲ませてはくれませんでした。

母乳も出て無いとの事


「こうなってしまったら、もう殆ど何してもめんどうは見ないので、大変ですが人間の手で育てるしか有りません。」

お医者さんの言葉でした。


お医者さんからの指示を受け、2時間に1回の授乳。

その日から僕と子供達で寝ずの仕事の始まりです。

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ウニの母性をなんとか呼び覚まそうとウニを抱きしめ、動かない様にさせて、赤ちゃんにオッパイをあげようとするが、赤ちゃんが近づいてきただけで大暴れ。

押さえ付けて、なんとか授乳をさせるも隙を見ては逃げ出そうとする。
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3回程同じ事を試みたがウニの母性を呼び覚ますどころか?

唸り声をあげ、赤ちゃんに吠えるしまつ。

獣医さんに相談するも、

「もう、そうなったら100%母性は出ないし、母犬のストレスに成ってしまうので、そういう事はしないで良いです。
しかも、お乳も、出てないと思うので、人間の手であげた方が赤ちゃんも育ちます。」

僕らはウニの助けは諦め、皆んなで頑張っていた。

しかし、そんな折り…夜中に長男から仕事中の僕にメールが入る。

1匹が下血してる。と…


獣医さんに相談するも、

「先天的に腸に問題が有るのかも知れないし、幾つか原因を考える事は出来るが、小さは命過ぎて…してあげられる事は何も無い。ミルクをあげて、生きる力を少しでも持たせる事くらいしか出来ません。」

ミルクを飲む力も弱く、下血もそれから何度かする。

震えながら必死に看病をする長男。

僕も仕事を早く切り上げ、長男を少しでも寝かせてあげようとしたが、心配で中々寝ようとしない。

次の日下血は止まったものの、排出をしなくなり、ミルクを吐き出し、何度も嘔吐する様に成った。

長男は窒息しない様に、鼻に口を当て、嘔吐物を吸い上げては「頑張って。生きて!死なないで!」とずっとずっと励まして首を摩り、お腹を摩り、肛門を刺激しながら排泄を促し続けた。

その状況に先生も、一度連れて来て下さいと言われ2人で病院に連れて行く。

小さな命は僕の手の中で、懸命に頑張っていた。

「もうダメかも知れない。後はこの子の生きる力だけです。この子の此れが運命だったと思って下さい。」

震えながら崩れ落ちる長男

しかし、覚悟を決めて「まだ、諦めない!絶対に死なせない!」

そう言って優しくワンちゃんを抱きしめた長男。


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僕は泣きながら必死に看病してる子供達とワンちゃんを残し仕事に戻ったが、心ここに在らずで……何も手に付かなかった。

娘から数時間後電話が掛かってきた。

涙で何も言葉に成っていなかったが、「諦めて無いんだけど…」「判らないから…」「お父さん来て…」その言葉だけは聞き取れた。

僕は仕事をスタッフに任せて家に着くと、外まで「死なないで」「生きて!」「頑張って」と、泣き叫ぶ声が聞こえていた。

身体中の力が無くなるのを感じて…立っているのもやっとだった。

それでもワンちゃんの待つ部屋に行くと、泣きながら必死に人口呼吸している長男と号泣しながらワンちゃんの腹や首を摩りながら、応援している子供達がいた。

僕は子供からワンちゃんを受け取ると…ワンちゃんは動きを止めていた。

とても安らかな、本当に安らかな顔で旅立っていた。

僕からワンちゃんを奪い、蘇生を続けさせてくれと頼む長男に

「もう、頑張ったよ。君達もワンちゃんも、最後の1秒まで出来る事は全部したよ。でももう休ませてあげよう。逝かせてあげよう。」


子供達は糸が切れた人形の様に崩れ落ちた。

「なんで…」



「こんなに小さいのに」



「何も悪い事してないのに」


「此れから沢山遊んであげれたのに」



「ごめんなさい」


口々に吐き出す様な言葉が漏れた。

長男は、何故自分は病院で先生にもっと「助けて」と喰い下がらなかったのか!

何故家に連れて帰ってきてしまったのか!自分が殺したんだと自分を責め続けた。


他の子供達も、学校なんか休んでずっと一緒にいてあげれば良かった。ごめんなさい。ごめんなさい。と、

自分達を責めた。


「違うよ。誰も悪く無いんだよ。君達は獣医さんの指示の元、寝ずの番で頑張ったよ。
そしてこの子も本当に皆んなの応援に応えようと頑張ったよ。
でも、この子には生きる力が足りなかったの。
此れがこの子の運命だったの。

でもね、たった2日間だけの命だったけど、この子は幸せだったと思うよ。
こんなに愛されて!最後は愛してくれてる人達の手の中で亡くなったんだから。
きっと、この子は神様が君達に命の尊さを教えるために2日間だけ君達に会いに来てくれた犬だったんだよ。
お父さんは本当にそう思う。
だからごめんなさいじゃ無いよ。
ありがとう。って言って送ってあげよう。」


子供達は泣きながら亡骸にすがり、何度も何度も「産まれて来てくれてありがとう。」「会いに来てくれてありがとう」と、声を絞り出していました。


それから2時間くらいが経った。涙が枯れる事は無かったが…

不思議な事が起きた。

他のチビワンちゃん達が居るゲージに母親犬のウニが近づいてきたのだ。

自分の子供を遠巻きに見ては、唸り声をあげ、吠えてたウニが…


ゲージに近づいて来て、下の隙間に頭を押し付け、クンクンと泣き出した。


「入りたいの?」


「赤ちゃん触りたいの?」


そっとゲージの扉を開けるとゆっくりとゲージ内に入るウニ

自分の場所を作り、お腹を出して横になった。

「お乳あげるの?」

赤ちゃんをそっと、ウニに近づけると、赤ちゃん達は、ウニのオッパイを探しだし、お乳を飲み始めた。

その姿を見て、子犬を舐めてあげるウニ。

仔犬の口からは沢山のミルクが溢れていた・・・・・。




泣き腫らした目で奇跡のような光景を目の当たりにしてビックリした子供達。


「死んだワンちゃんがウニに頼んでくれたんだ。」

「絶対にそうだよ。」

「そうだね・・・・・あんなに拒絶して.獣医さんも100%無理と言ってたウニがこんな事するなんて、死んだワンちゃんがお母さん!残った兄妹達をお願い!
それから僕を助けようとしてくれた、お兄ちゃんお姉ちゃん達をこれ以上悲しませ無い様に赤ちゃん達の面倒みて!!って言ってくれたんだね・・・・・・。」


子供達が又泣きながらありがとう。、って言ってました。


子供達は小さな小さな奇跡を見ました。

魂の存在を確信しました。

専門知識で色々分析する人はいるかも知れませんが。

その場にいた人しか判らない奇跡を彼等は体験したんです。





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まだ心の傷は深く、長男は他の赤ちゃんが心配でゲージの横で毎日寝ています。


僕も心に穴がポッカリと、空いてしまった様で、気力が出ません。

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でも、「死んだワンちゃんが見てる!恥ずかしくない様に生きないと!あの子の分まで生きないと!」と言って他のチビワンちゃん達を今も精力的に世話してる長男を見


たった2日間だったのに此処まで深い絆で結ばれる家族となれるのだな。と、悲しみの中にも命の尊さと強さを知れた事。

仔犬に感謝しています。


昨日、森と化していた、裏庭を伐採し、人が通れる様にして、お墓を作って、手厚く葬ってあげました。

ずっと埋葬出来ずに、僕の枕元に置いてあった。ゴールデンレトリバーのグリコのお骨も一緒に埋葬しました。

今では、一時も仔犬から離れず世話をしてる母犬のウニ。

命のバトンはシッカリ繋がれてます。

チビグリコ。


ありがとう。


君に会えて本当に良かったです、本当にありがとう。



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