2016年6月3日、終に夜中の伏見稲荷を訪れる日がやって来た。 不安な気持ちと逸る気持ちを抑えながら大阪市内より伏見稲荷行き最終列車に飛び乗り一路車上の人となった。 そうして列車は午前0時半に駅に到着し、列車が次の駅に向けて去って行った後は程なくして駅舎の灯りは落とされた。 否が応でも最終列車でここまで来てしまった、帰る電車は始発までない事実が身に染みて理解できた。 
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駅から徒歩数分、伏見稲荷大社に着く。 正面門の不気味な稲荷像は私の不安な気持ちを笑っているのか、はたまた「お前は本当にこんな夜中に稲荷山に独りで登るのか?」とこちらの覚悟を問うているのか?  祭殿や本殿あたりはまだ灯りもあるので大丈夫だ。 こちらの肝を試されるのは千本鳥居を抜け、奥社奉拝所を経た稲荷山への入口からだ。 そこから先は要所要所しか灯りはない。
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昼間はあんなに喧騒の激しかった伏見稲荷もこの時間は私独りである。 極たまに出くわす外人ハイカーや肝試しにやって来た高校生らしき小グループ以外は暗闇に響く妖しい獣の鳴声ぐらいである。 すると不気味な足音が聞こえる! 「出たかっ‼︎」 自分の足音だった(爆)  こうして、幽玄の世界に迷いこんでいくのである・・・。(続く)