(恐怖ポイント9)
間ノ宮を後にしてたどり着いたのはニノ宮だった。 ここも小さな拝殿を中心に回りを無数の鳥居塚や稲荷像が取り囲んでいる。 まさに稲荷像の迷宮である。 きっと無数のそれぞれの稲荷像に悪い思い出が詰まっているに違いない。 そうして鳥居塚の陰から魔物たちが夜の侵入者を舌舐めずりして物色しているに相違ないのだ。 例え臆病風や恐怖心にさいなまれ泣きわめいても、もはや懐かしい人間界に戻る術(すべ)は断たれたのだ。 おまけに急にもよおしてトイレに行きたくなっても先述の如くその道も断たれているのだ。 いずれにせよ、後一時間ぐらいは恐怖心と生理的欲求とに戦わねばならぬ。
(2016年6月11日撮影/ニノ宮の稲荷像)
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昼夜を問わずせっかく稲荷山に登ってたのに四つ辻止まりで下界へ引き返す人もいるが、時間と体力と蛮勇があるなら、是非とも稲荷山頂上まで行きその幽玄の美を堪能すべきだ。 但し夜間については先に説明したとおり基本的に魔物の世界なので、心臓の悪い人、性根の悪い人、心がけの悪い人、信仰心のない人には勧めらない。 これから先はいよいよ稲荷山頂上の一ノ宮に至り更なる恐怖を目撃するだろう。 千本鳥居からここまで約86分、稲荷山徘徊はまだまだ続く。
(2016年6月11日撮影/ニノ宮)
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