(恐怖ポイント11)
何かに追われるがごとく稲荷山々頂の一ノ宮を後にしよう。 麓の千本鳥居から続いていたきつい上り坂の参拝道もここまでだ。 ここからは稲荷山を下りやや緩やかな坂を登った後に休憩地点であった四つ辻に戻ることになる。 だが、稲荷山夜間徘徊の恐怖はこれからもしばし続くのだ。 いや、これまでの恐怖は序章であったのかもしれない。 一ノ宮から稲荷山を下っていくと、これから地獄の底に向かって堕ちていくのではないかという錯覚に陥いる。 ここからは急な下り坂が続き、鳥居と鳥居の間隔も次第に広くなり、周りの暗黒の山中から我々は丸見えになる。 即ち魔物に襲われた時に身を隠す手立てがなくなるのだ。
(2016年6月11日/一ノ宮からの下り坂)
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暫くは四つ辻から一ノ宮まで登ってきたのと同じくらいの距離を下ることになる。 そして、それは稲荷山徘徊中一番恐怖心を感じる道程でもある。 参拝道の周りを注意深く観察していると、獣道やら何処かへの裏道なども垣間見え、ここが常人がくるべき所でないことが伺い知らされる。 また、木々の間にはカラスの巣が見えたり見知らぬ生き物の死骸に遭遇することもある。 当に夜間の稲荷山は異次元の世界である。  千本鳥居からここまで約100分、稲荷山徘徊はまだまだ続く。
(2016年6月11日/一ノ宮よりの下り坂で)
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