稲荷山を降り千本鳥居まで向かう参拝道の道中は基本的に元来た途を辿るだけなのだが、行きの場合とはガラッと違う光景になるので不思議だ。 それこそが夜間稲荷山徘徊の醍醐味であり、また魔物たちの罠なのかも知れない。 三つ辻から暗く長い参拝道を降り熊鷹社に到達すると、最初に来たときには気づかなかったおどろおどろしい稲荷像に遭遇したり、何よりも闇夜に恐ろしいまでの漆黒の口を開けた底無し池・新池の姿を目の当たりにする。 この新池で水遊びをしようなどとは考えてはならない。 仄暗い池の底から水棲の魔物が現われてあなたを異次元の世界に引きずり込むかも知れないからだ。
(2016年6月11日撮影/熊鷹社にて)
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ここまで来たなら終着点は間近だ。 最後の勇気と体力を振り絞り下界へ急ごう。 ここから先は最後の試練と恐怖があなたを待っている。 だが、怖気付く必要はない。 しかし、侮ってもならない。 なぜならば、魔物はそういうあなたの心の間隙を衝いてくるからだ。 また、ここ熊鷹社ではよく女性修行者に出くわすこともあるが、軟派しようとしたり、されてもならない。 それこそ魔物の思うツボである。 厳に慎みたい。 千本鳥居まであと少し、稲荷山徘徊はまだまだ続く。
(2016年6月11日撮影/熊鷹社より下界を臨む)
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