あれは何年前のことだろうか? 私はひょんなことがきっかけでブルネイとのビジネスに係ることになった。 私の仕事はブルネイ-日本間の通訳(英語)及びビジネス文書作成や翻訳というものだった。 実はそれまで私はブルネイという国を全く知らなかった。 海外事情に興味がなかったわけではなく、全く知的好奇心の対象でなかったということでその位置さえも知らなかったのだ。 ここ昨今はマスコミ等でもブルネイという国が取り上げられて多くの日本人に徐々に認知されてはきてはいるようだ。 さて、ごく普通の旅行記や滞在記は他に譲るとして、ここでは酒と女の話をしたいと思う。 尚、最初に断わっておくが、必ず私がそういう遊びをしたという意味ではない。 私自身の伝聞録である。 また、これを以ってブルネイという国を判断しないで欲しい。 これは私が人から伝え聞いたブルネイのほんの一部だからだ。
(夜の新モスク)
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ブルネイは厳格なイスラム教を国教とする国家で、故に飲酒や売買春や豚肉を食することは御法度である。 ブルネイ人の知人に依れば中でも一番の御法度は豚肉を食べることらしい。 実はブルネイ人の中にはこっそり隣国のマレーシアに遊びに行く者がいるらしいが、そんな彼等でも豚肉を食べる御法度だけは絶対に犯さないらしい。 では、ブルネイでは飲酒も売買春も豚肉食いもできないのか? 豚肉については中華料理屋に行けばいくらでも食える。 飲酒と売買春はどうか? 実はこれも可能だ。 もちろん、大っぴらに呑み屋や風俗店が営業しているわけではない。 あくまでアンダーグランドでの話だ。 
(ブルネイ名物・カンポンアイル/水上集落)
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ブルネイ国内のいずこのホテルのロビーにはたいてい人の良さそうな中国人が屯(たむろ)している。 ホテルそのものが中国人経営というのも少なくない。 彼等に頼めばすぐに中国人女性が部屋にやってくる。 価格は日本とさほど変わらない。 彼女たちはどこからやって来るのだろうか? 実は同じホテルに滞在(出稼ぎ)していたり近隣のホテルからやって来るのだ。 飲酒も彼等中国人に頼めば地下酒場に連れて行ってもらえる。 地下酒場はどこのホテルにもあるというわけにはいかないが、私が連れて行ってもらったのはブルネイの一流ホテル内のある部屋だった。 そこは二重三重に警備が敷かれ鉄製の厚い扉で外の世界と遮断された秘密クラブだった。 内部には多くの地元の中国人たちで溢れかえり商談等に花を咲かせていた。ただ女性による饗応はなくもっぱら男同士でビールを飲みながら談笑するためだけの空間だった。
(南シナ海を臨む)
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ブルネイで不便を感じたことと言えば、当時の私は喫煙者だったのだが、ブルネイに来るごとに禁煙規制が厳しくなったいたことだ。 何でも国王が国民の健康増進のためにそのような政策を打ち出したとのことだった。 スーパーなどではレジの姉さんにタバコが欲しい旨を伝えると、しぶしぶ後ろにある鉄製キャビネットの鍵を開けて取り出して来る有様だ。 街中ではたいていインド人経営の雑貨屋がタバコを扱っており、タバコが欲しい旨を伝えると、しぶしぶ机の引き出しから出してくる有様で、こちらとしては何かやばいものでも購入しているような気になったものだ。 
あれ以来しばらくブルネイは訪問していないが、久々に行ってみたい気もする。 或る意味では、日本より治安が良い国でもある。 また、秘密クラブの妖しげな雰囲気の中でビールでも堪能しようか!?
終わり。