2018年7月13日午後11時。今年4回目となる夜間演習という名の撮影にここ伏見稲荷大社にやって来た。例によって到着するや先ずは同神社警備員詰所に赴き当直の警備員への挨拶と猪の被害状況についての情報を受け取る。警備員からは「また来たんでっか? あんたが第1号の猪被害者になりなはれ!そしたら行政や神社も対策に乗り出しわしら警備員も安心して夜中の任務につけまっから(笑)」と冗談とも本気とも受け取れない話を聞く。警備員によれば、最近は猪に怪我は負わされないまでも追いかけられたという情報は数多く寄せられており十分に注意してくださいとのことだった。稲荷山の要所要所には防犯用カメラが設置してあって警備員詰所でモニターできるようになっている。いざという場合には警備員に助けてもらわねばならない。
(夜中の京阪伏見稲荷駅)

さて、その夜はいろんな人に出会った。ドイツからやって来たというカップルには稲荷山秘密の展望台を案内してあげてその美しさに感動させ、その後には以前に撮った稲荷山心霊写真を見せてたっぷり怖がらせて日独友好に貢献した。 また、若い高校生らしきグループにも心霊写真を見せ更に怖い話を語って聞かせて情操教育に邁進してしまった。そして、真夜中の稲荷山頂上付近を徘徊していると白装束を身にまとい鈴の音を鳴らしながら妙齢の女性が現れて私の方が肝を冷やして腰を抜かしかけてしまった。何かの修業をしていたのか、はたまた丑の刻参りをして誰かを呪っていたのか・・・。
(稲荷山四ツ辻にて)

また、同じく稲荷山地獄谷(私が勝手に付けた名称)ではデート中の中年のおっさんカップル(片方のおっさんは似合わぬ長髪だった)に遭遇した。また、稲荷山裏参道付近ではマスクをして懐中電灯を手にしたJKにも遭遇してしまった。こんな丑三つ時に何をしてるんだい?と尋ねる間も無く彼女は暗黒の闇の中に消えていった。
(稲荷山山頂にて)

稲荷山を一回りして四ツ辻付近に戻ってくると、又もや欧米やアジア方面からのグループに遭遇したので彼らに対して再度心霊写真を見せて怖い話をして怖がらせてあげた。きっとそれぞれの母国に帰った後の彼らにとっては良い土産話になったろう。夜中の伏見稲荷大社にはいろんな人がいる。私もいろんな人のうちの一人だ。
(終わり)