2018年の8月から9月にかけては雨が多く、故に恒例の夜中の伏見稲荷大社及び稲荷山徘徊が思うに任せなかった。そうして9月の第3週の22日深夜にやっとのことで夜中の伏見稲荷大社を堪能する日がやって来た。しかしながら、噂では夜間の稲荷山登山は台風による参道の復旧作業が完了していないので禁止されているらしい。さりながら、稲荷山登山道は正規のルートだけではなく裏参道や幽界道など多岐にわたる。問題はないと判断し登山を敢行するつもりだった。
(夜間はバリケードがされている稲荷山登山道入口)
果たして、現地に到着すると登山道は閉鎖され灯りも完全に消灯されていた。また、裏登山道へ回ってみるも、やはり「還らざる橋」以降の登山道の灯りが消されていた。私は考えた。今宵は中秋の名月の夜である。危ない思いをして登山を敢行するよりは下界の本殿や千本鳥居付近で夜景は堪能できるだろうと。が、そこへ項垂(うなだ)れて意気消沈した若者が現れた。理由を聞くと山頂からの夜景を楽しみに遠方からやって来たが登山が叶わず途方に暮れているとの事。私は彼らが哀れに思い掟を破ってバリケードを突破し登山することにした。しかし、灯りもなくまるでおばけ屋敷のような真っ暗な登山道である。若者のくせに勇気のない彼らは私に先頭を進んでくれと懇願する。若者たちの先陣を切っての登山は苦しいものがある。まるで陸上自衛隊普通科部隊の隊付准尉にでもなったような気分だ。しかしながら、中腹の四つ辻の展望台に至ったときに疲労困憊してバテていたのは彼ら若者の方だった(笑)。
(四つ辻にて夜景を堪能する若者たち)
その後、彼らを全山を引率してまわり無事におばけ屋敷ツアーは終了した。帰り際に彼らは全員が私に礼を言って頭を下げていた。見かけによらず礼儀正しい若者たちであった。いつもとは違い写真はあまりたくさんは撮れなかったが楽しい夜ではあった。
*伏見稲荷大社の稲荷山登山道は段差や悪路が多く、また本文記載どおり登山道の灯りも消されています。また、灯りが消されていることから猪などの危険な野生動物の出没も多いと思われますので現在の稲荷山夜間登山はお勧めできません。