(伏見稲荷大社・稲荷山四つ辻からの夜景)

伏見稲荷大社を訪れ稲荷山を登られる人々の目的の一つが四つ辻からの展望を堪能したいというものだろう。 確かにそこから臨む光景、とくに夜景は絶景だ。 ただし、稲荷山には四つ辻よりも絶景ポイントがある。 稲荷山を四つ辻まで登山して左方向、一ノ峰方向とは逆方向の荒神峰(こうじんみね)の奥にそれはある。 ネットでは多く語られていたその絶景ポイントであるが、そこへと至る道は困難を極める。 意外にも地元の人でさえ知られていない秘密の場所でもある。 私も過去に4回ほどそのポイントへの到達に挑戦したが断念した経験がある。

(四つ辻より見上げる荒神峰への入口)

そうして、ようやく意を決してその絶景ポイントへ至らねば生きて還らずとの固い決意で挑戦する日がやって来た。 先ずは四つ辻より荒神峰への石段を頂上まで登る。 そうして、頂上の田中社権太夫大神の拝殿を右方向に進み、次に鳥居塚の間を左方向に進む。 そうすると木製の外柵にぶち当たる。次にその柵に沿って左方向方向に進むとやがて柵の切れ目に遭遇する。 その切れ目の先は灯一つない暗闇の世界だ。 かつての私もそうであったように多くの訪問者がその時点で暗闇への恐怖心から目的地への到達を諦めるのだ。 だが、その夜の私は違った。 私は思い切ってその暗闇の中に一歩前進していったのだ。 自身の中の恐怖心と闘いながら進むこと約10メートル。 急に視界が広がり目の前に絶景が現れたのだった。

(荒神峰より臨む夜景)

ついに発見した! 私はその喜びに酔いしれた。 以降は、私は稲荷山登山ごとに四つ辻で出会う遠方からの訪問者をここに案内してあげている。 私が夜中の伏見稲荷大社で経験した幽霊話とのセットである(笑)。 最近の夜中の稲荷山には若い女性だけのグループも少なくなく、彼女達を絶景ポイントへの案内と幽霊話で感動させるのが私の楽しみの一つとなってしまった。

おわり。